救う者と救われるもの 第四話

「すみません、神託の盾の服を着た女の人はどこに行きましたか・・・?」
ライガと別れ、エンゲーブの宿にティアとの合流の為に戻ってきた二人。だが宿の中にティアの姿がなく、不思議に思ったルークは宿屋の主に質問していた。
「あぁ、あの子なら今朝ここを出ていったよ」
「えっ!?それは本当ですか?」
「本当だよ、間違いないさ」
主の言葉に何でだろうと首を傾げるルーク。
「・・・では伝言を頼まれてくれないか?もしかしたら行き違いになってしまったのかもしれん、戻ってきたら伝えて欲しい事があるんだ」
するとジューダスが主に伝言を頼みだした。ルークは突然のジューダスのその言葉に戸惑っている。
「あぁ、いいよ」
「すまない・・・それと宿の一室を貸してくれ。伝言とは言ったが、書き置きを書いてくる。それを渡してもらうだけでいい」
すると戸惑いの様相を見せているルークに気付いたジューダスは、急遽書き置きすると言ってきた。
「わかった、じゃあ部屋は昨日泊まった部屋を使いな」
「ああ」
ジューダスは頷くと、ルークを目で部屋へ移れと合図してきた。その視線に気付いたルークも部屋へ移ったら話を聞こうと移動していった。




「どういう事なんだ、ジューダス?」
部屋に入るなり、ジューダスに詰め寄るルーク。それも見越していたのか、ジューダスはその勢いに構わず冷静にルークと会話を始めた。
「ルーク、ティアはルークの置き手紙を見てチーグルの森にいったはずだ。置き手紙には僕達がチーグルの森に行くと書いたのだろう?」
「あっ、うん」
「恐らくティアは僕達の心配をして宿を出たのだろう。ならば今頃はチーグルの森だ。だが、今からティアとの合流の為にチーグルの森に行けばジェイド達と鉢合わせる。そうすれば僕達は六神将と顔を合わせる事になり、ヴァンより先駆けて行動するのは事実上不可能に近くなってくる」
「でもチーグルの森に行ったって言ってなかったけど・・・」
「だから書き置きすると言ったんだ。それにこれは好機だ。ティアにこれからの行動をいちいち説明しながらというのは時間がかかる。今の僕達には時間がないんだ・・・酷いようだがティアとも離れて行く」
「そんな・・・」
「・・・確かにティアは身勝手に消えたと思うだろう。だが僕は他人からどのように思われようと実を選ぶ。誰にも認められず、否定されようとも預言とヴァンの計画を最善の形で止める。その為ならば僕はルーク、お前に嫌われてもいい。だから僕の案を黙って聞いて欲しい・・・」
揺らぎなき決意を瞳に宿したジューダスの言葉に、ルークはジューダスへの信頼を心で感じていた。
「ジューダス・・・俺、ジューダスの事信じる。だから・・・書き置きを残して先に行こう」
人の視線というものをジューダスは気にせず、ルークの為に考えてくれると言った。その心にルークは答えたい、そう思いあえて茨の道を選ぼうと決心した。
「そうか、なら早く書き置きを書いて行くぞ」
「うん!!」
ルークの返事に微笑を口元に浮かべ、ジューダスは先に行く事を促す。ルークも勢いよく返事を返し、ペンをとって紙に向かい合った。





かつての焔を求める者達は知らない。焔は運命を裏切る者と共に深淵を変えるために既に動き出しているということを




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