救う者と救われるもの

「消滅ではなかったか・・・」
ジューダスは自らの結末を二つ予想していた。一つはリオン・マグナスとして消滅するか、もう一つは異次元空間をさ迷うかのどちらかだと。
「・・・ここで人知れず果てる事が僕にふさわしいということか」
少し自嘲気味な皮肉な彼らしい笑みがそっと浮かぶ。
ジューダスの考えていた自分の末路予想の結果は消滅ではなく、異次元空間をさ迷うことだった。しかし、見方によっては消滅した方が幸せなのかもしれないとジューダスは感じていた。
もし消滅であったとしても、カイル達との別れの後直ぐ様消滅していれば何の後悔もなく逝けただろう。しかし、異次元空間をさ迷うということはいつ死ぬかということが分からない。空間の影響で死ぬ事さえも出来ず、永久に異次元をさ迷い続けるかもしれない。いつ終わるかわからないあてのない孤独ということがどれだけ人の精神を蝕んでいくのかもジューダスは知っている。時間が経てば自分の心は確実に壊れていくだろうと。
「咎人には過ぎるほどの時を過ごしたんだ。これはその代償なのだろう」
だが、ジューダスは待ち受ける孤独の旅路を恐れてはいない。・・・ジューダスを支えているもの、それは過去に得られなかった友との時間。カイル達と共に過ごした時間はジューダスにとってなによりもかけがえのないものとなった。その支えさえあれば孤独の時間も耐えられる、ジューダスはそう思っていた。
「昔の僕ならただ喚いて終わるだけだっただろうな。・・・フッ、僕も変わったな」
今度は皮肉ではない、ただ純粋な柔らかい笑みを浮かべそっとジューダスは目を閉じた。


‘‘カッ’’
「何だ!?」
目を閉じたジューダスの前に突然光が現れた。突如現れたその光にジューダスは見覚えがあった。
「時空移動だと!?馬鹿な!!フォルトゥナは消滅した筈だ!!」
ジューダスが見た光の正体・・・それは時空移動の際に発せられる光。
「なっ・・・引き寄せられる!!」
突如現れた光はジューダスを巻き込もうとしているかの如く、猛烈にジューダスを引き寄せていった。
「クッ・・・ウワァァァァァァー!!」
何が起こったのかは分からないが咄嗟に巻き込まれる訳にはいかない、ジューダスはそう思い時空移動の光から少しでも離れようと懸命にあがいた。だが、あがきも虚しくジューダスは光に引き込まれ包まれていった。そして光がやがて消え去った空間にはジューダスの姿はなかった。




運命に抗い続けた英雄は深淵の地へと足を踏み入れることとなる



二人の英雄が新たな始まりへと向かいだした    



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