救う者と救われるもの 第二十三話

「ジューダスがこうやって全てを話してくれているのは、生きる事を了承してのことなんです。貴方がそうやってジューダスを怒っても意味はありませんよ」
「意味はない・・・?そんなことない!ジューダスは自分が生きる事を諦めて、状況がどうしようもないから仕方なく生きようとしてる!そんな気持ちのまま、ジューダスに生きて欲しくないんだ俺は!」
「・・・」
ジェイドの仲介にルークは熱く声を荒げ、ジューダスは自然とルークから視線を逸らす。だがジェイドはそのルークの熱さに全く気圧た様子は見せない。
「ですがこうでもしなければ彼は貴方からローレライの宿った指輪をどうにか受け取って、いずれ時空間に戻っていたでしょう」
「!それは・・・」
そんなジェイドから確実に時間が経っていたらそうなっていただろう予測を言われ、ルークは何も言えない。
・・・そう、ジェイド達がジューダスがどうするかを感づいていなかったら、ルークはジューダスにうまく丸め込まれ指輪を渡していただろう。それが自分でよくわかるだけに、ルークはジェイドに反論が出来なかった。
「貴方の言いたい事はよくわかります、ルーク。しかしジューダスに生きていて欲しいと願っているのはこの場にいる人達全員の共通の考えです。だからこそ私はジューダスが逃げる事が出来ないよう、手を打ったんです・・・ジューダスがこの状態を望まないのをわかっていて、です」
「・・・っ・・・!」
ルークに諭すような口調で、ジェイドは両方の立場に立っての話を真剣な眼差しで行い、最後はジューダスへと向きながら話を終える。ルークはそれを聞いていけば聞く程どうすればいいのかわからないといった複雑な表情になっていき、ジェイドにつられてジューダスへと視線をやればそこにはまた弱った顔があり、苦悶の表情へと変わる。
「そしてそれを彼自身もわかっているんです」
だが近くに来たジェイドの声に驚きを感じてルークがハッと振り返れば、目の前にジェイドがいた。
「言い方はあまりよろしくありませんが、ジューダスに時空間に戻る為の隙と機会を与えるつもりはありません・・・ローレライ、よろしいですか?」
『何だ?』



「我々はこれより、貴方を音譜帯に送りたいと思います」












・・・裏切る者の本意ではない優しさが彼の真意を暴いた



だがその好意は焔と裏切る者に多大なる衝撃と二人の結末を招く



そしてその結末はすぐそこに近付いて来ている・・・





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