救う者と救われるもの 第二十三話

『・・・という訳だ』
「「「「・・・」」」」
・・・そして一通り余す事なく、ジューダスが時空間でその生涯を終えると話した時の事をローレライは話し終える。
「・・・まさか、そこまで考えていたとは・・・」
誰もが言葉を発せずにいる中、ジェイドの予想を超えていたジューダスの考えへの複雑そうな心境の伺える小さな声が周りにはっきり届く。
「・・・けど、あんたはその心の内を今明らかにした・・・ってことはもうそうする気はないの?」
「「「「っ・・・」」」」
その声を引き継ぐよう、今度は静寂を作り出した大元であるジューダスにシンクが確かめるよう慎重に問い掛ける。その声にルーク達は一斉に息を呑み、ジューダスの発言を見守る。
「・・・もう僕の思ったようにいかないと感じたから、僕は全てを明かした。ただ・・・それだけのことだ・・・」
だが暗いままの表情が見えないジューダスからはどこか捨て鉢になった口調と心情しか返ってこない。
「・・・ではジューダス、お前は時空間に戻れるというのであれば自らそこに戻ろうと今も思っているのだな?」
返って来た答えにヴァンが確認を取るが、ジューダスから出た答えはコクりと小さな頷きの一つばかり。
『・・・その考えもそなたらが真意を図りきれなかったとはいえ、ジューダスをここに引き止める事でもう実現はしなくなった。正直我も一安心といった所だ・・・』
そこにローレライがあるはずがないのに胸を撫で下ろすといった表現が似合う声が響く。
「・・・なぁ、ローレライ・・・」
だがその声にルークが泣きそうな顔でローレライに訴えかける。
「なんで俺にそのこと、黙ってたんだよ・・・黙っていてくれって言われててもジューダスがそんな風に考えてるなんて、なんで言ってくれなかったんだよ・・・なんで・・・」
『・・・っ』
責めるような物言いであるのに、まるで自分自身を責めているような雰囲気・・・
その言葉を出しているルークの方が明らかに辛そうな様子に、ローレライも何も返せない。
「・・・だから、秘密にしろと言ったんだ。特にルーク、お前には知られたくはなかった・・・」
「・・・ジュー、ダス・・・っ・・・」
そのローレライを庇うかのように、ジューダスは静かに口を開き前を向く。だが前を向いて現れたジューダスのその顔に、ルークは名を呼ぼうとして途端に勢いを失って動揺する。
・・・何故ならそこにあった顔は寂しく悲しく瞳が歪み、哀というもの全てが詰まったかのような想いが一瞬で理解出来る程の物だったのだから。
「そうやってお前達は他人の心配ばかりしてくる、まるで自分の事のように。自分にも大きな問題があるというのに・・・そんな奴らに言える訳がないだろう、わざわざ僕が消えるなどと。これは・・・あくまでも僕自身の問題だ」
「!それはジューダスだけの問題じゃない!」
突き放すような口調であるのに、あまりにも弱いジューダスの声にたまらずルークは声を張り上げてその考えを否定する。









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