「だってこれからはもう普通に暮らす事が出来る訳だろ？ジューダスは。なら急ぐ必要はないだろ、いくらジューダスが叔父上達にどうするか聞きたいって言ってもさ」
「それは・・・確かに、そうですが・・・」
「それに・・・ジューダスの生きる道はジューダス自身が決めるべきだと思うよ、俺」
「！！！！！」
そのあまりにもな正論にさしものジェイドもジューダスの立場を擁立させることを言えずに言葉を濁し、ルークは更にジューダスが生きる事を前提としたどうするかという決意をジューダス自身に決めさせるべきだと言う。しかしその言葉はジューダスに凄まじい衝撃をもたらした、動揺を隠すことも出来ずに目を大きく開き瞳が揺れる程に。
「・・・だからさ、急ぐ必要はないだろ。もちろんジューダスが普通に生活するにはそんなに時間をかけちゃいけないんだろうけど、色々考える時間はそれでもあるはずだろ。だってジューダスはこうやって、ここにいるんだからさ・・・ん・・・ジューダス・・・？」
ジェイド達を納得させるようにジューダスの存在は消えて無くならないと力説するが、ジューダスの方を見てルークは初めてその異変に気付く。同時にジェイド達もジューダスに自然と視線を向ける。
「ど、どうしたんだよジューダス・・・？」
「・・・」
明らかに今まで見たことのないジューダスにルークはその肩を掴み、心配そうに異変の意味を問う。だがジューダスはそのルークから何も言わずに視線を逸らす。その顔は暗い。
「・・・何か言ってくれよ、ジューダス・・・どうして何も答えてくれないんだよ・・・？」
そんなジューダスに不安を煽られて搾り出すように声を出し、体を揺するルーク。
「・・・く、は」
「え？」
するとジューダスから何かがボソボソと呟く声が聞こえてきた。だが声が小さい為にルークははっきりとは聞き取れない。






「・・・僕は、どこかに身を落ち着かせる気はない」






「・・・え？」
しかし二度目に出て来た言葉ははっきりと聞こえてしまっただけに、ルークは今度は自分の耳を疑って呆然とした。
「同様に・・・僕は普通に生きることも考えてはいなかった・・・」
「・・・ちょっ、ちょっとジューダス！いきなり何言ってんだよ！？」
だがジューダスの口は溢れ出て来るように本音が止まらない。どんどん続いていくジューダスの考えの暴露に、ルークは焦りながらその話を止める。
『・・・偽ることを止めたか、ジューダス』
「・・・ローレライ？」
その話の流れに指輪で静観していたローレライが指輪から出て自ら姿を現し、顔の見えないジューダスの頭上に留まる。
『もう逃げられんと思ったから心の内を明かしたのだな？』
「・・・あぁ・・・」
「・・・どういう事なんだよ、ローレライ？」
話の内容が明らかにジューダスの内心を知っていた、そのことからルークはローレライに詰める。
『話していいのか、ジューダス？』
「・・・あぁ、今更煙に巻くことも出来ん・・・頼む・・・」
下を向いたままのジューダスは力無く、ローレライに後を任せる。
（一体何がジューダスをここまで・・・！？）
ルークはここまで弱り果てたジューダスを見た事がなかった。そしてその弱り果てたジューダスから出て来たまさかの言葉が重い空気を漂わせているだけに、どれだけその考えに思い悩んでいるかがわかるからこそより一層、ルークは自然と話を聞き逃すまいと体を強張らせる。



『あぁ・・・では話すぞ、ジューダスが我に明かした自身の末路の予定だった結末を』
そしてローレライは語っていく、シェリダンで自らに明かされたジューダスの話を・・・







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