「大爆発によってもたらされる偶然、いや奇跡と言えるような生存はもう有り得ません。だからこそ大爆発を根本的に止める方法を見つけねば、貴方かアッシュ・・・どちらかは消滅してしまいます。それで、私は先頃大爆発についてアッシュにお話をしました。大爆発がもし起こってしまう可能性があるとするならルークと一緒に活動する気はあるのかと・・・」
ルークはアッシュの重大な決心を感じる問い掛けに自然と、アッシュに視線を向ける。そこには黙って首を振るアッシュ。
「答えは、そのような事なら自分はルークと離れて活動すると言ってくれました。彼は」
「！！」
「そのことについて、彼は父親であるファブレ公爵にも話を通しています。公爵はアッシュの受け入れをしたいと言っています、貴方と一緒に。ですがアッシュは大爆発の問題が片付かない限りは、貴方とは一緒にいれないと言ってます・・・そこでルーク、貴方にお聞きします。貴方はアッシュと一つになることもアッシュだけ一人死ぬ事もなく、二人一緒に生きたいと思っていますか？」
「それは・・・一緒に生きたいよ・・・」
アッシュの意志と自身の生の渇望。二つの考えは似ていてはいるが、根本的な所で問題が生じている。
ルークはどういった対策を取るかを考えられず、ただ自身の望みをルークは声を小さくして弱く答える。
「・・・貴方からそう聞けたなら、私から一つ提案があります。聞いてもらえますか？」
ルークの意志が確認できた事で、ジェイドの声は更に踏み込んだように緊迫感を増していく。
「・・・提案って？」
「私とサフィールは大爆発を止めようと今、研究を続けています。ですがそれが確実に実るかは保障出来ませんし、大爆発がこれより起こるかもはっきりとはわかりません。そのような不安定な状態ですみませんが、私達を信じる形でアッシュの意志を汲み取るようアッシュと離れて暮らしていただけませんか？」
「・・・えっ？」
「無論、これもファブレ公爵には話は通してあります。何も意味もなくどちらかを放り出すような事はしません、公爵は生活の保障は十分にすると言っています。そしてその生活もいつ終わるかは確約は出来ませんが、私達の研究がうまくいけば大爆発に怯える事なく大手を振って生きる事が出来るようになります。その話にアッシュはもうそうすることを決心しています。後は・・・ルーク、貴方の気持ちだけです。貴方はこの話に・・・乗りますか？」
「・・・俺は・・・」
本題を全て言い終え、後はルークから答えを聞くだけ。ジェイドだけでなく周りの目までもが、静まり返る空気の中で下を向いてしまったルークの答えを真剣に待つ。



（アッシュは決心してる・・・なら俺は・・・）
全員の視線が自分に集まっている、だがルークの中にある答えはもう姿を現している。
ルークは顔を上げる、真っすぐな視線でジェイドを決心したように見据え。
「・・・俺も、それでいい」
「いいんですか？」
「うん、俺やアッシュの為にそんなふうに考えてくれるジェイド達や父上達にも断ったら申し訳がないし、何よりアッシュ自身が俺の事も考えてくれて出した結論なんだ・・・ジェイド、ディスト、父上。ただ頼るような形になってすみません、俺達二人の事をよろしくお願いします・・・」
真っすぐな瞳でルークは姿勢を正して深く、アッシュも含めた二人と言い頭を下げる。
「あっ・・・おっ、俺もよろしくお願い、します・・・」
その深い礼に昔のアッシュからは考えられないルークへの反発を見せず、逆に慌てたようにルークの隣へ行きジェイド達へ同じよう頭を下げる。
その動作にルークとアッシュの険悪さを実際に見てきたティア達は、意外な物を見たという驚きで目を丸くしている。






・・・ルークは旅においてジューダスに助けられているという自覚が非常に強かった、そしてそれに報いたいという気持ちも。そういった恩義という点においても成長している為に、ルークは彼の立場もあってジューダスを助けたいと常に考えてる。

ただ大爆発に関する今の状況に対しては、助けられるだけは嫌だが今はそれに報いるだけの術を持たない。そういった状態なだけにルークが出来る事は謝意を精一杯伝える事、それくらいしか出来なかった為にルークは頭を下げたのだ。

そして、達とアッシュを一くくりにしたのは、ルークが真にアッシュと今度こそ一緒に向かい合うと決めたからだ。大爆発と・・・






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