救う者と救われるもの 第二十三話

・・・そんな風にジューダスが重大な事をしばし忘れていることもありながら、休息に入っていたルークとジューダス。



だが、その最後の休息も終わりを告げる・・・








数日経ってアスターの屋敷にて、客間にて椅子に座っていたルークとジューダスの元にアスターが近づいて来た。
「ルーク様、ジェイド・カーティス大佐が到着しました」
「え・・・?ジェイドが来たのか・・・?」
「・・・そうか・・・」
そのとうとうとも言える報告に、ルーク・ジューダス共に何とも言いがたい様子に顔を歪める。
「はい、只今こちらに向かっているとのことです。その際は出来る限り人払いを頼むとおっしゃられましたので、我らは席を外したいと思います。どうぞ、ごゆっくり・・・」
「え・・・?」
だがアスターから自分は場にいないようにすると気を使われるように頭を下げられ、外へと退出して行く姿にルークは戸惑うばかりでアスターを止める事が出来ずにいた。
その態度にルークも不穏な空気を改めて感じずにいられなかったのだろう、アスターが出て行った後でジューダスに視線を自然と向けていた。
「・・・それ程重要な話という事だろう、アスターを人払いするということはな」
「・・・そっか」
その視線に答えをすがるように感じたのだろう、ジューダスは。だが答えを知っていながらもジェイド自身が来てから伝える事になっている為に、ジューダスはその重大さだけを悟らせるように言う。ルークもそう言われ、短くしか返せない。






それから何も会話を交わす事なくひたすらにジッと待機する二人。
そして二人の元に続く、屋敷の扉が開かれた。
「お待たせしましたね、二人とも」
「ジェイド、それに皆・・・あれ?セシル少将にフリングス少将まで・・・どうして・・・?」
そこから現れたのはジェイドだけではなくバチカルに向かったインゴベルト陛下を除いた面々に、グランコクマに向かったピオニー陛下を除いた面々。
「いやぁすみませんね。ガイ達もこの話に参加したいと言いましてね、足並みを揃えようと思いましたら少し遅くなってしまいました」
「そうなのか・・・」
そんな疑問の答えをジェイドは少し待たせた事にらしく済まなそうに答え、ルークを納得させる。



(ガイ達にも話すのか・・・確かに一大事と言うには十分だが、何故・・・)
「それではカーティス大佐、我々は領事館に行き話を通しておきます」
「ええ、お願いしますフリングス少将」
ジューダスはその話と面子を見渡しながら疑問の声を内心で出そうとするが、それはジェイドとフリングス少将の会話で遮られる。
「・・・領事館、というのは?」
その会話からフリングス・セシル両少将共に大使館に向かうのか屋敷を足早に出て行き、ジューダスはそんな行動と会話の意味を問い掛ける。
「少し二人には屋敷を警護するように兵士を配置してもいいかという手続きをお願いしたんですよ。両陛下がいないとは言ってもこの場にはまだ何人もやんごとなき身分の方々がおられる上に、これから話す話は重要な物ですからね。それにまだ事態が収まっているとは言えませんので、念には念をと思いまして」
「・・・そうか」
その意図をジェイドは慎重さを多大に含ませた物言いで丁寧に返す。その答えにジューダスは納得したように声を上げるが、内心ではスッキリと出来ていなかった。
(確かに警護は必要ではないとは言えんが、気のせいか・・・?何か不必要に人数が集まりすぎてはいないか・・・?)
改めて難色を顔に出さずにジューダスは、違和感と言える物を感じていた。



確かに面子としてはルークとアッシュに通じる二人の問題、大爆発の事を論じるには場にいる人間は知る資格を満たした者しかいないと言えよう。だがそれでも、このような大人数で論じる事かどうかは否と言えるだろう。何しろこれはルークとアッシュの二人の問題だ、知る資格はあれども中には大爆発の事を知っている者は何人もいる。

その点ジューダスの視点でエルドラントの戦いを経て戻って来たティア達はアッシュが大爆発を起こした事を知っているだろうし、六神将やヴァンに関してもアリエッタを除いて大爆発の事をディストを通して知っている可能性が高い。

純粋に大爆発の事を知らなそうだとジューダスが言える面子は、イオンとフローリアンくらいなものと言える。



(ルークの決断をただ知りたいだけ、などという理由にしては仰々し過ぎる・・・一体何だ・・・?)
だからこそジューダスには解せなかった、何故ジェイドは今更大爆発の事を引き合いに出して場にいる人間を集めたりしたのかと。



「さて・・・こうやってここに来たのには、貴方に関して話があるからです」
だがジェイドはジューダスの思考などお構いなしに話をし始める。







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