救う者と救われるもの 第二十三話

・・・ジューダスが後の為に自らの行動を焦る中、アルビオールはルーク達を乗せてケセドニアへと戻ってきた。

着いてアスターの屋敷に報告に行ったルーク達は、盛大な歓迎を受けた。プラネットストームを無事に止める事が出来た祝福の歓迎を。



そして祝福を受けたルーク達はプラネットストームを止めて数日間、ジェイドは船でこちらに向かって来るだろうからアルビオールで迂闊に迎えに行って行き違いにするような事も出来ないのでアスターの屋敷にて、ジェイドの到着を待っていた。

だがその数日間の間のケセドニアで、少しばかり小さな別れがあった。



「え・・・シェリダンに戻る?」
「はい・・・ケセドニアで演説をする際に事情を説明した手紙を送ったんですが、さっき兄さん達から手紙が送られて来て・・・」
アスターの屋敷の中、ルークとジューダスは手紙を手にしたノエルと話し合っていた。
「プラネットストームを止めたなら一度シェリダンに戻って来て、自分達の元でアルビオールを整備しにこいとありました。私も外殻大地降下からしばらく酷使させてきたので、私自身で整備していることはしているんですが、やはりちゃんとこの辺りで整備したほうがいいんじゃないかと思いまして・・・」
「成程、時間がある今にシェリダンに戻ろうと思っているんだな?」
「はい・・・」
手紙の内容を話しながら自分も戻る方がいいというノエルにジューダスは納得したように腕を組む。
だが一応陛下からアルビオールを貸し出すよう命じられた身、それを考えているノエルは二人の意志を仰がなければいけない。
二人に判断を委ねるノエルの声に、二人は迷う様子を見せずに答える。
「いいと思うけどな、俺は」
「あぁ、今は別段アルビオールに頼らなければならん事態ではないし時間もある。ここらでアルビオールを大々的に整備しても問題はないな」
二人共に賛成の意見を上げた。やはりアルビオールに世話になっていることと外殻大地降下から無理をさせているとの言葉を聞いて、更に時間があるのならそれを生かさない手はない。
「ありがとうございます、すみません」
共通してアルビオールを気遣うルーク達にノエルは頭を下げる。
「いや、いいよ。それよりもシェリダンに戻るんだろ?だったら後は気にしなくていいから」
「・・・ありがとうございます。整備が終わりましたら、またケセドニアに戻って来ますので・・・失礼します」
そんなノエルに笑いかけながら行っていいと送り出すようにルークは言い、頭を上げるとノエルは再び戻ると言い残しアスターの屋敷を退出していく。



(・・・アルビオールが整備が必要なのは当然だな。エネルギーの問題もあるのだろうが、千年後にも普通に整備無しで動くイクシフォスラーの方が異常だ)
ノエルがおらず、アルビオールもケセドニアにはない。
そんな状況を受け入れて、ジューダスは屋敷の椅子に座り少しばかり時空間に戻ることではなく、昔を思い返していた。
(今更なことだが、ハロルドは天才だったんだな)
脳裏に浮かぶハロルドの姿にジューダスは苦笑を浮かべかける。
空中都市郡を代表として挙げる天地戦争時代の驚異の技術、そんな中でハロルドは圧倒的劣勢であった地上軍にてソーディアン・イクシフォスラーなど天上軍でも発明しなかった画期的な発明をやってのけた。しかも千年経ってもちゃんと使えた空中都市郡と同じように。
その点でアルビオールはレンズエネルギーや材質や技術レベルの違いがあるからだろうが、ちゃんとこまめに整備をしなければ重大な不良を起こすかもしれない。そう考えるとジューダスはつくづくハロルドを天才だと思えてならなかった。








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