救う者と救われるもの 第二十三話

・・・そしてアブソーブゲートからアルビオールは再び一路、ラジエイトゲートへと飛び立つ。
だが二人共にやはり何かに集中していない時は、自らの考えに没頭して口を一つも開かない。









・・・そんな二人に漂う重苦しい空気、それをノエルははっきり感じ取りながらアルビオールをラジエイトゲートへ着陸させる。



「じゃあノエル、行ってくる」
「・・・はい」
ルークは一人残るノエルに行ってくると言うと、ジューダスとともにラジエイトゲートの中へと向かう。
(大丈夫・・・ですよね、ルークさんにジューダスさん・・・)
だがノエルはいい方向に向かいつつあるのに二人の関係が一気に壊れて無くなるかのような考えになり、その後ろ姿に心配そうな瞳を向ける事以外出来なかった。












・・・ラジエイトゲートの中を行く二人は足を止める事も会話を交わす事もなかった。戸惑いを互いに見せ合わないように、不安を感じさせないように必死になって不自然になっていることを互いに気付けないまま。

・・・そして二人はパッセージリングよりも更に下にあり、暴走したモースと対峙したプラネットストームを止める為の最深部へと到着した。



「これでプラネットストームを止める事が出来るか・・・うん・・・」
ルークは感慨深そうにローレライの鍵を取りだし、頷く。
「・・・早く済ませろ。いくらアルビオールがあるとは言っても、ジェイドに遅れてケセドニアに戻ったのでは話にならん。それに人は熱しやすく冷めやすい、鉄は熱い内に叩いてこそ効果が出る。下手に長引かせればまた預言を詠む事を諦めかねん前のモースのような輩を輩出しかねんぞ」
そんなルークに先を急ぐように、時間の経つことの不利をジューダスは説いていく。
(クッ、仕方ないか・・・ジェイドの思惑は帰りのアルビオールの中で考えるしかない・・・)
・・・本来であればもっと考える時間が欲しいとジューダスは内心で思っていたが、今はルークに言ったように急がねばならない事情という物がある。自身がそう考えてしまいそれを自身で裏切る訳にはいけないと、結論は後でと考えることにしたジューダスにとってそれは・・・



自身で告げてしまったタイム・リミットであった。






「・・・そうだな。じゃあやるよ、ジューダス」
だがジューダスもルークもそのことには気付けない。ルークはジューダスの言葉にもう一度頷き、ローレライの鍵を掲げる。その表情には迷いはない。
(ジェイドの事だから、必要じゃない事なんて言わない。多分俺かジューダス、それかどっちともに関係がある・・・と思う)
そんな中でルークはジェイドの言葉が何を意味しているのかを、自身なりに考えて自身で結論を出した。
(でも・・・どんな事実でも関係ない、俺はその事実を受け入れてやれることをやるだけ・・・だから俺は今はプラネットストームを止める、それだけだ!)
だが今はそんなことはルークには関係ない、プラネットストームを止める。それ以外に悩む必要はないと、思考を目の前のローレライの鍵へと集中させる。
するとルークの足元に、譜陣が浮かび上がる。



「・・・これで、終わりだぁ!」
その言葉は預言に向けられた物なのか第七音素に向けられた物なのか、もしかしたらジューダスに向けられた物なのかはわからない。だがその声と同時に集まっていた第七音素と、譜陣はルークの周りから消え去ってしまったことだけは確かだった。








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