救う者と救われるもの 第二十三話

「イヒヒ、ルーク様、ジューダス様。バチカルとグランコクマより報告の手紙がまいりました。演説は両国ともに成功、とのことでございます」
「・・・そうですか・・・次は俺達がアブソーブゲートとラジエイトゲートに行く番だな、ジューダス」
「あぁ」
手紙を手に持ち二人の前に立ったアスターは成功の報告をして、ルーク達はその報告に互いに顔を見合わせ頷くと入口に体を向けようとする。
「少しお待ちください、二人共。バチカルより送られた手紙に、二人宛ての言伝が添えられております」
「バチカルの方から・・・ですか?」
「はい、こちらです」
するとアスターはすぐに二人を呼び止め、手紙を差し出す。それを受け取ると、ルークとジューダスは文章に目を通す。



『ラジエイトゲートにてプラネットストームを止められたなら、またケセドニアに戻って来てください。数日の内に私がそちらにまいります、重要な話をしに行く為に。そうしてくださるよう、お願いします         ジェイド』



「ジェイド・・・?なんだろ、重要な話って・・・?」
「・・・」
差出人ジェイド。その内容からジューダスは一瞬顔を悲しげに歪めるが、その表情をすぐに消し手紙の意図に気づけないルークに声をかける。
「それは僕達がラジエイトゲートから帰って来れば判明する事だ。さっさと行くぞ」
「・・・そうだな。うん、行こう」
その声にルークは少し間を空けて肯定を返し、アスターの方を向く。
「それじゃあアスターさん、俺達行きます。お世話になりました」
「いえいえ、お気になさらないでください。それにプラネットストームを止められたなら真っ先にケセドニアに来られるのでしょう?その時は成功を祝ってお二人をお出迎えしますので、楽しみにしてください、イヒヒ」
「・・・はい!」
アスターなりの激励を受けてルークは自然に笑顔になりながら元気よく返事を返し、頭を下げてジューダスとともにアスターの屋敷を退出していく。












・・・ケセドニアを出てまずはアブソーブゲートに行き、その次にラジエイトゲートへと向かう為にアルビオールに乗っているルークとジューダス。外殻大地降下の時のように障気と時間の勝負をしなければいけないわけではないので、比較的安定した速度で、アブソーブゲートに向かっていた。

だが本来ならここで会話の一つも交わしていいはず・・・であるが、二人の間に会話は一切なかった。その原因はやはりというかアスターの屋敷にいた時から悩んでいた問題について考えていたからであるが、ルークに関しては悩みが一つ追加している・・・それはジェイドの重大な話、の点だ。

何について話すのかルークには皆目見当もつかない、それがなんなのかと見えない思惑に不安を煽っていく。だがその表面上の意図を知っているジューダスはあえてその意図を言えずにいて、逆に悶々とした思いに捕らわれていた。

・・・端から見れば全てが滞りなく行き順風満帆に行っていると思えるだろうが、当の本人達は最後の重い問題にぶち当たっている。操縦桿を握っているノエルも雰囲気を重く感じ何も二人に話しかける事なく、真剣に目的地の方角のみを見据えていた。












・・・そしてたどり着いたアブソーブゲート、その最深部でルークはローレライの鍵を取り出す。
「このまま鍵の状態で使ってもいいのか?ローレライ」
『ああ、問題ない』
以前は宝珠単体でアブソーブゲートを閉じた為に鍵の状態で大丈夫なのか問うルークに、ローレライは即答で返す。
「そうか・・・なら」
ルークはそこまで言うと言葉を切り、ローレライの鍵を掲げる。そして集中するように目を閉じると、足元に譜陣が浮かび上がり、ローレライの鍵に第七音素が集まっていく。
・・・数秒後、第七音素の収束は収まり、ルークが目を開く。
「終わったよ、ジューダス・・・次は、ラジエイトゲートだ」
「ああ」
ここでやる作業は終わった、そして残っているのはラジエイトゲートのみ。
最後の仕上げに入るべく、ルークとジューダスは言葉少なく会話を終えてアブソーブゲートを出ようとその場を背に立ち去って行った・・・







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