救う者と救われるもの 第二十三話

・・・そしてルーク達がアスターの屋敷に向かった数時間後、再び演説の舞台は整えられダアトで行われたように演説は開始された。まず、結論から言うなら演説の成否は成功と言える状態で終える事が出来たと言える。

無論これはダアトで先に演説をしていたというのが大きかったのもあり、おおむね反感を受ける事もなく納得した様子を受けて演説は終わりを告げれたのである。






・・・演説が終わりアスターの屋敷にて各国の主要メンバーが集まって話をしている。一同が終わった後で何を話しているのかと言うと・・・



「それでは大詠師、謡将、シンク殿、アリエッタ殿、ラルゴ殿、ガルディオス伯爵、セシル少将、ファブレ公爵。我々は先にグランコクマに出立致しましょう」
「うむ」
話を終えた所でピオニーの隣にいたフリングス少将が今のメンバーに声をかけながら、退出してグランコクマに向かう事を丁寧に言い出す。その答えにファブレ公爵が確かに頷くと、公爵はインゴベルト陛下へと向き直る。
「では陛下、我らはグランコクマに参り無事に事を成してまいりたいと思います」
「うむ・・・そちら側はお任せしましたぞ、ピオニー陛下」
「ええ、そちらもお任せします。バチカルを・・・じゃあ行くぞ、アスラン」
「はっ!」
公爵から陛下へと続き陛下同士の挨拶を終えると、ピオニー陛下はフリングス少将に行くと告げ、敬礼を受けつつもアスターの屋敷を退出するため足を運ぶ。そして今の話題に上がったメンツは思い思いに頭を下げてピオニーの後に続くよう、アスターの屋敷を退出していく。



・・・さて、ピオニー陛下達の間で交わされた会話の意味。それは何なのかと言えば、二つの国で同時に演説を行う為だ。

ここまで来た時点でもう世界中には演説の話の中身は伝わりきっているだろう。ならばこそここで預言を詠まなくなるようにする最終段階、ラジエイトゲートが始発点でアブソーブゲート帰結点のプラネットストームを止めていい段階に入ってもいいと皆判断した。

尚、メンバーが妙に入り混じった形で編成されているのは三国共同体制で行っていると理解してもらうために各国の代表を入れた形にしているからだ。



「・・・ではルーク、ジューダス。そなたらはこの地にて待ちなさい。我々もこれよりバチカルに向かう、そなたらに吉報を届ける為にな」
「はい、叔父上」
ピオニー陛下が退出して少し後、インゴベルト陛下が自分もバチカルに向かうと言いながらも、ルークとジューダスにケセドニアで待つように優しく言う。



だからこそ新たな障気を生み出さない為にも、そして下手に時間を空けていらぬ詮索をされては元も子もない。そう考えた一同はアルビオールとルークとジューダスをあえてケセドニアに残し、バチカルとグランコクマでの演説がうまくいき次第手紙をケセドニアに送り、その結果を知ってすぐにプラネットストームを止めれるように二人を配置することにしたのだ。

何故二人かと言えばローレライの加護を受けていると民衆に見られるルークは実質的な外殻大地降下の功労者でもあるし、だからこそルークがプラネットストームを止める事が一番相応しいと見られ波風が立ちにくいだろうという理由から。ジューダスは演説の際に参加しないという理由から、必然的に演説に参加する為に手一杯のメンバーを割けない事でルークの同行という事になった。

・・・本来なら二人だけで行く、というのはあまり好ましい物ではない。そこまで二人にとってではないとはいえ、アブソーブゲートとラジエイトゲートには魔物がいて、危険もないことはない。だが二人はそういった危機もシンク達とわかりあえるようになるまで、二人で乗り越えて来た。故に二つに分けた演説メンバーを更に変に数を減らすよりはいっそ二人でいいと、二人ともに言ったのだ。










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