救う者と救われるもの 第二十二話
「・・・それでは皆さん、宣言させていただきます」
ルークの後を受けて三人並んだ中で、イオンがゆっくりと真剣に言葉を紡ぐ。
「預言を否定するわけではありません。預言が今までの世界に深く浸透して来た事は誰の目にも明らかです。ですが全てを知ってしまった今、預言に頼る事は出来ません・・・ただ皆さん、誤解しないでください。預言を詠まなくなるからといって、それは預言を捨てるという訳ではありません。預言はユリアの遺志を我々が受け取った事で、ようやくその役目を終える事になる・・・そう解釈してほしいんです。そうでなくては預言を詠む事を止める意味には繋がりませんし、これから数十年先に訪れるだろう預言が自然と無くなる世界で預言に見捨てられたとその時代に生きる人達に思われるようではいけないんです・・・」
発想の転換、そう口にされたイオンの話に負の感情が強かった聴衆達も何か納得したように自然とほぉと息を吐いている。
「だから、私達は宣言します」
聴衆達の空気が心なしか柔らかになっている中で、イオンは前置きを終えて改めての宣言を告げる。
「これより我らはプラネットストームを止めたなら、預言が無くなった世界を争いのない世界を作る事を誓います」
「むろん、預言に重きを置いていた現状で一朝一夕に成し遂げられるようなたやすい事ではないと思ってはいます」
「だが我々はそうと知って尚、民を導く為に力を尽くす次第です」
「今この場にてキムラスカ・マルクト・ダアト・・・三国協同体勢で事に挑む事を宣言します!皆さん、私達を信じて・・・ついて来て下さい!」
・・・イオン・インゴベルト陛下・ピオニー陛下と続き、最後はイオンのしっかりと力強い声がダアトの広場に響き渡る。
その呼び掛けに聴衆達は何も言わず沈黙したまま・・・だったその状況がどんどんと変わっていく。
‘・・・パチパチパチパチ’
初めはまばらに聞こえてくる、小さな小さな個人が叩く拍手の音だけが響いていた。
‘‘パチパチパチパチパチパチ’’
するとその音が徐々に大きさを増していき、手を叩く人の数も明らかに目に見えて増えて来ている。
‘‘‘‘パチパチパチパチパチパチパチパチ・・・!!’’’’
その音が更に激しさを増して行き、次第に拍手をしないものはいなくなっていき・・・全ての人達が拍手するようになっていた時には、拍手は鳴り止まぬ賛美の雨と化してルーク達へと降り注いでいた。
(すごい・・・!)
拍手の雨をしっかりと聞きながらルークは聴衆達が事実を受け止めてくれているという事実に、感嘆の言葉をあげそうになっている。
(こういう風に皆が理解してくれるのって、ジューダスが演説の事を提案してくれたからなんだよな・・・どこにいるんだろう、ジューダス・・・?)
その声を抑えながらもこの場の作るきっかけをくれたジューダスを想い、ルークは拍手の絶えない聴衆達の中に視線をさ迷わせてその姿を探す。だが何千という単位ですら危うい程人が集まっている状況で、そう安々と一人の姿は見つけられない。
(やっぱ・・・見つかんないよな・・・)
ルークはその光景に仕方ないなと目を寂しそうに細める。自分達がうまくやれた、その瞬間を見ているジューダスの姿を見たかった。そういった気持ちがルークにはあった。
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ルークの後を受けて三人並んだ中で、イオンがゆっくりと真剣に言葉を紡ぐ。
「預言を否定するわけではありません。預言が今までの世界に深く浸透して来た事は誰の目にも明らかです。ですが全てを知ってしまった今、預言に頼る事は出来ません・・・ただ皆さん、誤解しないでください。預言を詠まなくなるからといって、それは預言を捨てるという訳ではありません。預言はユリアの遺志を我々が受け取った事で、ようやくその役目を終える事になる・・・そう解釈してほしいんです。そうでなくては預言を詠む事を止める意味には繋がりませんし、これから数十年先に訪れるだろう預言が自然と無くなる世界で預言に見捨てられたとその時代に生きる人達に思われるようではいけないんです・・・」
発想の転換、そう口にされたイオンの話に負の感情が強かった聴衆達も何か納得したように自然とほぉと息を吐いている。
「だから、私達は宣言します」
聴衆達の空気が心なしか柔らかになっている中で、イオンは前置きを終えて改めての宣言を告げる。
「これより我らはプラネットストームを止めたなら、預言が無くなった世界を争いのない世界を作る事を誓います」
「むろん、預言に重きを置いていた現状で一朝一夕に成し遂げられるようなたやすい事ではないと思ってはいます」
「だが我々はそうと知って尚、民を導く為に力を尽くす次第です」
「今この場にてキムラスカ・マルクト・ダアト・・・三国協同体勢で事に挑む事を宣言します!皆さん、私達を信じて・・・ついて来て下さい!」
・・・イオン・インゴベルト陛下・ピオニー陛下と続き、最後はイオンのしっかりと力強い声がダアトの広場に響き渡る。
その呼び掛けに聴衆達は何も言わず沈黙したまま・・・だったその状況がどんどんと変わっていく。
‘・・・パチパチパチパチ’
初めはまばらに聞こえてくる、小さな小さな個人が叩く拍手の音だけが響いていた。
‘‘パチパチパチパチパチパチ’’
するとその音が徐々に大きさを増していき、手を叩く人の数も明らかに目に見えて増えて来ている。
‘‘‘‘パチパチパチパチパチパチパチパチ・・・!!’’’’
その音が更に激しさを増して行き、次第に拍手をしないものはいなくなっていき・・・全ての人達が拍手するようになっていた時には、拍手は鳴り止まぬ賛美の雨と化してルーク達へと降り注いでいた。
(すごい・・・!)
拍手の雨をしっかりと聞きながらルークは聴衆達が事実を受け止めてくれているという事実に、感嘆の言葉をあげそうになっている。
(こういう風に皆が理解してくれるのって、ジューダスが演説の事を提案してくれたからなんだよな・・・どこにいるんだろう、ジューダス・・・?)
その声を抑えながらもこの場の作るきっかけをくれたジューダスを想い、ルークは拍手の絶えない聴衆達の中に視線をさ迷わせてその姿を探す。だが何千という単位ですら危うい程人が集まっている状況で、そう安々と一人の姿は見つけられない。
(やっぱ・・・見つかんないよな・・・)
ルークはその光景に仕方ないなと目を寂しそうに細める。自分達がうまくやれた、その瞬間を見ているジューダスの姿を見たかった。そういった気持ちがルークにはあった。
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