救う者と救われるもの 第二十二話

「・・・という訳です。ここに来るまでの間に誰か目撃しているかもしれませんが、今までの世界地図には存在しない場所にユリアシティは存在します。確固たる証拠を直に知りたい方はユリアシティを是非訪ねて下さい、創世歴からの情報は出来る限り公開するとのことです」
・・・淡々と聴衆達にわかりやすいよう、創世歴に外殻大地が作られるに到った経緯を話し、アクゼリュスのパッセージリングの限界についてもジェイドは説明し終えた。流石にジェイドなだけあって、理論的な発言に目立った反論が出てこない。
というよりやはり、外殻大地降下のあの感覚を聴衆達が無視出来ない事が大きかった。誰もが納得する理由が誰かから欲しかった、といったところだろう。
「・・・ここで話役をもう一度彼に譲ります」
その聴衆の反応にジェイドは一歩引きルークに譲る。そして拡声器の前に位置を戻すと、ルークは話を引き継ぐ。
「俺は今言われたような内用を聞き、半信半疑のまま行動を始めました。けど擬似超振動を起こした事でティアについたローレライの一部の意識は第七音素が霧散する形でタタル渓谷で消えてしまいました・・・完全に消える前、俺にローレライの鍵を託す形で」
そこでルークはローレライの鍵を両手で持つ形で目の前に掲げ、その存在を聴衆達の目に焼き付ける。ローレライの鍵を知っている者もそうでない者も、ローレライの名がつくだけあって注目度は高い。



それで掲げる時間もそこそこに、ルークはローレライの鍵を下げる。
「・・・ローレライの鍵を託された俺は半信半疑だったローレライの言葉を確かめる為、ローレライにつかれていた時の記憶がないティアを無理に巻き込まないようにエンゲーブに残してアクゼリュスへと向かいました。そこで現状を見た俺は・・・ローレライの言葉を信じざるを得なくなりました。そこで俺はカイツールの港にいたアルマンダイン伯爵に協力をお願いして、住民の人達を一斉に救出することにしたんですが・・・その時に俺はパッセージリングの中にあるセフィロトへと向かおうと考えました、パッセージリングを操作して崩落の危険があるアクゼリュスを無事に外殻大地から切り離す為に・・・結果は誰一人失う事なくアクゼリュスから撤退させた後、無事切り離す事が出来ました」
・・・その話の内用に聴衆達はほぉと、感心した様子を見せる。やはり人の命を救う話を無意味に嫌う人間はそうそういない、ルークに対しての視線が自然と柔らかい物になる。
「そしてもうひとつ重要になることがアクゼリュスで起きました。それは、地核からのローレライの解放です。パッセージリングの操作をしていた時、俺はローレライの力により地核のローレライの元に意識だけ飛ばされました。自分を解放してほしい、そう言われて俺は超振動での地核からの解放を頼まれて意識を取り戻した後・・・俺はローレライを地核から解放しました」
‘おぉ~’
今度は感嘆の声が辺りから響いて来る。そんな逸話があったのか、神に等しい存在を解き放ったルークに更に好意的な視線が強くなっていく。
だがルークはあえて好意的な雰囲気から危機感を感じてもらうよう、話を暗く持って行く。
「・・・そのローレライを解放した時、俺はタタル渓谷からアクゼリュスに到着するまでの間に考えていた事を聞いてみました。もしかしてユリアの残した預言に滅びが詠まれていたから、それを止めたいとユリアが考えていたからローレライは俺にそのことを教えてくれたのか?と・・・」
‘‘‘‘!!?’’’’
ここで話の中身を先に話した滅びと、ユリアの遺した預言について矛先を向ける。その瞬間聴衆達の表情がそれをさっき聞いた時のように変化させていた。







7/19ページ
スキ