救う者と救われるもの 第二十二話

「そんなローレライの接触を最初、俺は意味不明な幻聴だと思っていました。度々来るそのチャネリングに頭を悩ませていた時、俺の元にローレライの意志を宿したティアが来ました」
ルークの名指す声にティアがルークの横に出る。そのティアという存在に、一同の誰なのかという視線が一斉に向けられる。
「その時はわからなかった事なんですが、後でローレライに話を聞いたところティアがユリアの子孫だったからこそ俺の所に来させる事が出来たって話です」
視線の答えにルークはユリアの子孫、とここで必要な事を明かす。その事実にざわざわあの人が・・・などとユリアの子孫の事で辺りがざわめく。
ユリアの子孫に当たる人間がティアとヴァン、その事実はダアトで知る人間は多少いてもキムラスカ・マルクト内にもそれを知っている人間は演説の舞台上にいるものくらいしかいない。何故なら二人は事実を認めはしても、それを会う人間一人一人に公言するような事はしていない。つまり全世界規模で言えば事実を公表していないも同然なのだ。
その事を使わない手はない、更にはヴァンに対しての表向きのイメージをいいまま終わらせられる。だからこそユリアの子孫という事を併せてルークは話を続ける。
「それでローレライがティアを俺の所に来させた理由ですけど、ローレライが俺に地核からの脱出を託す為です。ローレライは二千年の間地核に閉じ込められ、どうにか地核から脱出したいと考え自分と同じ力、超振動を使える俺に接触したいと思って俺よりもローレライと近い位置にいたユリアと同じ血の流れるティアを一時自分の意志を宿らせる事で、俺の元にティアを来させました」
事実はローレライが地核からの脱出をルーク・アッシュの二人に託したかった事、偽りはルークの元に来たのは実はヴァンを止める為で自分の意志だった事。
聴衆達はヴァン達を守る為の嘘を真剣に受け止めながら、ルークの話を聞いていく。
「ティアがやってきた時に俺はティアと擬似超振動によってタタル渓谷に飛ばされました・・・そこで、目を覚ました俺はティアに意志をつかせたローレライと初めて対面しました。俺はその時にローレライから地核からの脱出を俺に託したいと言われたんですが、更に続いたローレライの言葉に俺は衝撃を受けました・・・それは」



「オールドラントがそう遠くないうちに滅びる、という言葉に・・・」



‘‘‘‘!?’’’’
不意に落とされた声色、そして内容。まさか、としか言いようがないだろう。聴衆達の顔が一気に驚きに変わる。
だがここで一瞬でも間を空ける事は出来ない、声を一言出させれば一気に形勢は悪化する。ルークはそう肝に命じてるからこそ、すかさず防備の声を上げる。
「ローレライからそう聞いた時は何を馬鹿言ってるんだって、俺は思いました。ですが後々色々調べていく内にその証拠がどんどん見つかっていきました。そのことを話すのには少し前にあった出来事、大地が空中から降りるような感覚が一斉に世界中で起きた事に関係しているんです」
‘あれが・・・?’
一気にまくし立てたルークの話題転換は功を奏して、聴衆達は聞き分けよく素直に話を聞く。そうなるのは一概に外殻大地降下が一般的にまだどうしてそうなったか知らず、聴衆としてもまだ謎として心にこびりついて離れていないから、それを知りたい為だ。
「そのことについてなんですが、俺からはあまりにも専門的な知識が多くてうまく説明出来そうにないのでマルクトのジェイド・カーティス大佐に代わってもらいます」
興味を引き付けながらも、ここでルークはジェイドに話役をバトンタッチしようと合図する。とは言ってもあくまでジェイドは二千年前からの出来事の外殻大地の成り立ちから障気の説明、アクゼリュスの当時の現状を説明するばかり。適材適所で役割を担う、そういった点ではジェイドはうってつけの役だ。
「・・・只今ご紹介にあずかりました、ジェイド・カーティスです。今からお話することは事実に基づいた事です、心してお聞き下さい・・・」
ルークが少し横にどき、スペースの空いたそこにジェイドは立ちさっと断りを入れると話を始めだす・・・







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