救う者と救われるもの 第二十話
「叔父上・・・ピオニー陛下・・・イオン・・・皆・・・」
一糸乱れぬ意志の統一の姿・・・これこそがルークの求めた形・・・ルークはただ会議室の中を見渡して泣きそうな声で顔を歪ませる。だがそれで終わりという訳にはいかないし、終わらせていい訳ではない。そう考えを強く持ったルークは話に戻る。
「・・・ヴァン師匠、リグレット、ラルゴ。本当にありがとうございます。絶対、絶対預言を詠めなくてもすむような世界にします。レプリカ大地を作らなくてもいいような世界にします。だから・・・ヴァン師匠達の為にも、俺も頑張らせてもらいます」
感謝と決意を込め、改めてルークはヴァンに頭を深々と下げる。もうあんな悲しい事は二度と御免であるし、こうわかりあえたのだからその縁を二度と離したくはない。強く深い意志を持った言葉・・・
「・・・ルーク、私は自らの考えを少しだけ譲って手伝う事にしただけだ。むろんやるからには私も尽力はする、お前だけに頑張らせる訳にはいかんからな」
「・・・はい!」
考えを譲る、それだけでもヴァンを知る者は想像だに出来ない出来事だったのだ。師匠としての顔でそう言ってくれた、ルークはたまらず弟子としての声で勢いよく返す。
・・・ルークは掛値なしに幸せを感じていた。だが一つ、そう一つ。まだ心残りがあった。
「・・・それでは導師。キムラスカ・マルクト・ダアトの三国でジューダスの発案した演説をすることは決定した。それを踏まえてまずはキムラスカとマルクトの和平から取り決めよう、そうせねば話にならんからな」
「そうですね。それにそのための場ですから、ここは」
「とはいってもこれからの本題はその演説だ。和平をおざなりにする訳じゃないが、早く条約を結ぼう」
ルークがヴァンとのやり取りを終え皆が真面目な表情でいる中、インゴベルト陛下から和平に関して話し合おうと切り出す。イオン・ピオニーと続くが、ここでインゴベルトが・・・ルークの懸念としていた問題を提起する。
「時に・・・だが、ジューダス。そなたはどの位置で演説の際に臨むのだ?」
「・・・!」
「・・・」
ルークにとってジューダスを認められるかどうかはヴァン達の心が変わる事と同じ程重大な事、ジューダスは何も反応しないがルークは望まぬ言葉が出たらすかさずフォローに入ろうと内心で身構える・・・が、それは全くの杞憂であった。
「もし良ければだがキムラスカの来賓、いや剣士として出席せんか?ルークを助けた功績と剣の腕前、それになによりわしはそなたを気に入った。無理強いはせんがどうだ?」
「・・・!」
その口から出て来たのは否定的ではなく、むしろ友好的以外の何物でもない勧誘の言葉だった。自ら来て欲しいと願い出るその言葉に、ルークは思わず出かけた歓喜の悲鳴を無理矢理に口内に納める。だがその歓喜はそれだけに留まらなかった。
「ああそれならマルクトもお前の事を歓迎するぞ?今すぐ頷いてくれるならジェイドより上の少将の位置を用意してやる」
「ハハハ、随分好待遇ですねぇ陛下。ですが彼を迎え入れるというのは私も賛成です」
続いてピオニーもジェイドの皮肉無しの賛同付きで破格の好条件を出す。もっともジェイドやゼーゼマンなどがその暴挙を止めるだろうから少将の地位にはつけないだろうが、ピオニーはそれを承知でジューダスを招こうとしているのだろう。
「僕もダアトの導師としてジューダスを歓迎したいです。出来る限りお礼もしたいので無理でなければ来てはいただけませんか?」
更にイオンもジューダスを迎え入れると懇切丁寧に、ジューダスの方をまっすぐ向きながら話してくる。
(ジューダス・・・!)
認められない所の話ではない、認めるどころかむしろ信頼を強くしている様子を三人とも見せている。
ありのままを受け入れてくれる、ジューダスの事を想ってくれている・・・ルークは懸念が最高の形で消えてくれた事が嬉しくて嬉しくて、たまらず顔を下に向け目に涙を溜めていた。
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一糸乱れぬ意志の統一の姿・・・これこそがルークの求めた形・・・ルークはただ会議室の中を見渡して泣きそうな声で顔を歪ませる。だがそれで終わりという訳にはいかないし、終わらせていい訳ではない。そう考えを強く持ったルークは話に戻る。
「・・・ヴァン師匠、リグレット、ラルゴ。本当にありがとうございます。絶対、絶対預言を詠めなくてもすむような世界にします。レプリカ大地を作らなくてもいいような世界にします。だから・・・ヴァン師匠達の為にも、俺も頑張らせてもらいます」
感謝と決意を込め、改めてルークはヴァンに頭を深々と下げる。もうあんな悲しい事は二度と御免であるし、こうわかりあえたのだからその縁を二度と離したくはない。強く深い意志を持った言葉・・・
「・・・ルーク、私は自らの考えを少しだけ譲って手伝う事にしただけだ。むろんやるからには私も尽力はする、お前だけに頑張らせる訳にはいかんからな」
「・・・はい!」
考えを譲る、それだけでもヴァンを知る者は想像だに出来ない出来事だったのだ。師匠としての顔でそう言ってくれた、ルークはたまらず弟子としての声で勢いよく返す。
・・・ルークは掛値なしに幸せを感じていた。だが一つ、そう一つ。まだ心残りがあった。
「・・・それでは導師。キムラスカ・マルクト・ダアトの三国でジューダスの発案した演説をすることは決定した。それを踏まえてまずはキムラスカとマルクトの和平から取り決めよう、そうせねば話にならんからな」
「そうですね。それにそのための場ですから、ここは」
「とはいってもこれからの本題はその演説だ。和平をおざなりにする訳じゃないが、早く条約を結ぼう」
ルークがヴァンとのやり取りを終え皆が真面目な表情でいる中、インゴベルト陛下から和平に関して話し合おうと切り出す。イオン・ピオニーと続くが、ここでインゴベルトが・・・ルークの懸念としていた問題を提起する。
「時に・・・だが、ジューダス。そなたはどの位置で演説の際に臨むのだ?」
「・・・!」
「・・・」
ルークにとってジューダスを認められるかどうかはヴァン達の心が変わる事と同じ程重大な事、ジューダスは何も反応しないがルークは望まぬ言葉が出たらすかさずフォローに入ろうと内心で身構える・・・が、それは全くの杞憂であった。
「もし良ければだがキムラスカの来賓、いや剣士として出席せんか?ルークを助けた功績と剣の腕前、それになによりわしはそなたを気に入った。無理強いはせんがどうだ?」
「・・・!」
その口から出て来たのは否定的ではなく、むしろ友好的以外の何物でもない勧誘の言葉だった。自ら来て欲しいと願い出るその言葉に、ルークは思わず出かけた歓喜の悲鳴を無理矢理に口内に納める。だがその歓喜はそれだけに留まらなかった。
「ああそれならマルクトもお前の事を歓迎するぞ?今すぐ頷いてくれるならジェイドより上の少将の位置を用意してやる」
「ハハハ、随分好待遇ですねぇ陛下。ですが彼を迎え入れるというのは私も賛成です」
続いてピオニーもジェイドの皮肉無しの賛同付きで破格の好条件を出す。もっともジェイドやゼーゼマンなどがその暴挙を止めるだろうから少将の地位にはつけないだろうが、ピオニーはそれを承知でジューダスを招こうとしているのだろう。
「僕もダアトの導師としてジューダスを歓迎したいです。出来る限りお礼もしたいので無理でなければ来てはいただけませんか?」
更にイオンもジューダスを迎え入れると懇切丁寧に、ジューダスの方をまっすぐ向きながら話してくる。
(ジューダス・・・!)
認められない所の話ではない、認めるどころかむしろ信頼を強くしている様子を三人とも見せている。
ありのままを受け入れてくれる、ジューダスの事を想ってくれている・・・ルークは懸念が最高の形で消えてくれた事が嬉しくて嬉しくて、たまらず顔を下に向け目に涙を溜めていた。
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