救う者と救われるもの 第二十話
全て・・・本当に全てを語り尽くしたのだろう。最後の言葉にジューダスは頭を下げ、何も言わず沈黙と静止を貫く。その空気に全員が感化して、会議室にいる人達も身じろぎ一つすら出来ずにヴァンから出る答えを待つ。
・・・運命は深淵を変える為に動いたのか、はたまた深淵が運命を変える為に動いたのか?・・・否、運命も深淵も変える事が出来たのは紛れも無いただ二人の出会いと行動だった。互いが互いを想い、互いが互いに同じ想いを共有していたからこそ・・・深淵と深淵に住まう人々の運命を変えれたのだ。
そして・・・二人の想いは最後の救いたいと想う人間の生き方も・・・
「・・・レプリカ大地計画を発動しても構わん、といったな。ジューダス、お前は」
・・・静かに、結論に到らないがゆっくり語りかける口調。誰も反応を示さないまま、ヴァンの話は続いていく。
「そのような事はもう今更無理であろう。お前も言ったがルークはそれを許しはしないし、死霊使いにいたっては踏み切る事すらも許してはくれんそうだ?そのような環境では行動を起こす前に終わってしまうだろう。それに私に協力してくれるであろう六神将も今ではリグレットにラルゴの二人といった所だ、この兵力で計画の発動が出来ると思うか?」
この言外な自虐を含んだ話し口に、一同に驚きがさざ波のように広がっていく。ただルークは自らの師匠にらしくない発言に、ある予感で胸を締め付けられれような感情を強く感じ他の面々より驚きの色を強くする。
「そのような状況で解放されたところでやれる事もないだろう。お前が言っているのは自由を選択肢にあげながらその実、巧みな話術で他に何も出来んよう選択肢を狭めているだけだ」
そういいながら自嘲の笑みを浮かばせる顔に険は見えない。今までであればいかなる状況においても、諦める様子など見せずに最期までレプリカ計画を進めようとしていたというのに・・・
「・・・だが・・・その狭まった選択肢・・・悪くはないと思っている自分がいる」
その答えの一端、そしてジューダスのルーク達の頼みの返答の一端。ヴァンは今までの軽口にも似た口調を抑え、目を伏せ悟ったような話になり全員の表情に一斉に期待が入り明るい兆しをもたらす。
その声に一同の期待の視線が注がれる、ヴァンに・・・
そして・・・全てを決める瞬間は訪れた。
「・・・私も、その世界を舞台とした演説に協力させてもらおう」
「「「「!!」」」」
観念したようにジューダスの方を見て、真摯な宣言を立てるヴァン。全員が待ち望んでいた・・・この答えに全員声を上げたそうに一瞬間を空けた。
‘ガタッ’
途端に物音が立てられた。その方向を皆が振り向いてみると、そこには感極まった様子のルークが勢いよく椅子から立ち上がった姿がそこにあった。ジューダスも下げていた頭を上げ、横のルークを心なしか柔らかい表情で見ている。ある程度ジューダスの感情の機微を知っている者にしかそうだと感じれない表情で。
「師匠・・・本当に、俺達に協力してくれるんですか・・・?」
恐る恐るといった表現がピッタリと当て嵌まる、ルークの再度の確認にヴァンは頷きを入れて答える。
「ああ、それは確かに約束しよう。だが・・・リグレット、ラルゴ。お前達はどうする?私はジューダスの案じた舞台がうまくいったなら・・・もうレプリカ計画を発動する気はないだろう。それでも私に、ついてきてくれるか?」
ルークに答えた、と思ったら今度は首をリグレット達へ向かせヴァンはその真意を問う。
「教官・・・」
「・・・お父様・・・」
忘れてはならない二人への確認に、ティアがリグレットを想いナタリアがティアより小さいが想いを込めてその存在を呼ぶ。絶対レプリカ計画に心を残して欲しくはないと、願って。
「・・・私は閣下の行動に従いたい、そう思って行動してきました。ですがそれは閣下の行く先が私の目指す先と同じであったからです。そして今回も目指す先は同じ、違う道を行く理由はございません」
「・・・俺もリグレットと同じ意見だ」
出て来た答えはヴァンに付き従うと、きっぱり強い意志を持った物だった。ルークは安堵を覚えるが、それ以上に安堵していたのはやはり・・・ティアとナタリアの二人だった。
「・・・皆さん、ヴァン達はこのように言っております。そこで改めてお聞きします、皆さんはジューダスの案に賛同していただけますか?」
最難関の人物達が意志を表明したことでイオンは再度、その場にいる全員にジューダスの案を取り上げるかの確認を取る。
・・・その質問に一斉に思い思い縦に振られた首・・・その迷いが見えない様子が皆の心を一つにしているとルーク達に理解させた。
.
・・・運命は深淵を変える為に動いたのか、はたまた深淵が運命を変える為に動いたのか?・・・否、運命も深淵も変える事が出来たのは紛れも無いただ二人の出会いと行動だった。互いが互いを想い、互いが互いに同じ想いを共有していたからこそ・・・深淵と深淵に住まう人々の運命を変えれたのだ。
そして・・・二人の想いは最後の救いたいと想う人間の生き方も・・・
「・・・レプリカ大地計画を発動しても構わん、といったな。ジューダス、お前は」
・・・静かに、結論に到らないがゆっくり語りかける口調。誰も反応を示さないまま、ヴァンの話は続いていく。
「そのような事はもう今更無理であろう。お前も言ったがルークはそれを許しはしないし、死霊使いにいたっては踏み切る事すらも許してはくれんそうだ?そのような環境では行動を起こす前に終わってしまうだろう。それに私に協力してくれるであろう六神将も今ではリグレットにラルゴの二人といった所だ、この兵力で計画の発動が出来ると思うか?」
この言外な自虐を含んだ話し口に、一同に驚きがさざ波のように広がっていく。ただルークは自らの師匠にらしくない発言に、ある予感で胸を締め付けられれような感情を強く感じ他の面々より驚きの色を強くする。
「そのような状況で解放されたところでやれる事もないだろう。お前が言っているのは自由を選択肢にあげながらその実、巧みな話術で他に何も出来んよう選択肢を狭めているだけだ」
そういいながら自嘲の笑みを浮かばせる顔に険は見えない。今までであればいかなる状況においても、諦める様子など見せずに最期までレプリカ計画を進めようとしていたというのに・・・
「・・・だが・・・その狭まった選択肢・・・悪くはないと思っている自分がいる」
その答えの一端、そしてジューダスのルーク達の頼みの返答の一端。ヴァンは今までの軽口にも似た口調を抑え、目を伏せ悟ったような話になり全員の表情に一斉に期待が入り明るい兆しをもたらす。
その声に一同の期待の視線が注がれる、ヴァンに・・・
そして・・・全てを決める瞬間は訪れた。
「・・・私も、その世界を舞台とした演説に協力させてもらおう」
「「「「!!」」」」
観念したようにジューダスの方を見て、真摯な宣言を立てるヴァン。全員が待ち望んでいた・・・この答えに全員声を上げたそうに一瞬間を空けた。
‘ガタッ’
途端に物音が立てられた。その方向を皆が振り向いてみると、そこには感極まった様子のルークが勢いよく椅子から立ち上がった姿がそこにあった。ジューダスも下げていた頭を上げ、横のルークを心なしか柔らかい表情で見ている。ある程度ジューダスの感情の機微を知っている者にしかそうだと感じれない表情で。
「師匠・・・本当に、俺達に協力してくれるんですか・・・?」
恐る恐るといった表現がピッタリと当て嵌まる、ルークの再度の確認にヴァンは頷きを入れて答える。
「ああ、それは確かに約束しよう。だが・・・リグレット、ラルゴ。お前達はどうする?私はジューダスの案じた舞台がうまくいったなら・・・もうレプリカ計画を発動する気はないだろう。それでも私に、ついてきてくれるか?」
ルークに答えた、と思ったら今度は首をリグレット達へ向かせヴァンはその真意を問う。
「教官・・・」
「・・・お父様・・・」
忘れてはならない二人への確認に、ティアがリグレットを想いナタリアがティアより小さいが想いを込めてその存在を呼ぶ。絶対レプリカ計画に心を残して欲しくはないと、願って。
「・・・私は閣下の行動に従いたい、そう思って行動してきました。ですがそれは閣下の行く先が私の目指す先と同じであったからです。そして今回も目指す先は同じ、違う道を行く理由はございません」
「・・・俺もリグレットと同じ意見だ」
出て来た答えはヴァンに付き従うと、きっぱり強い意志を持った物だった。ルークは安堵を覚えるが、それ以上に安堵していたのはやはり・・・ティアとナタリアの二人だった。
「・・・皆さん、ヴァン達はこのように言っております。そこで改めてお聞きします、皆さんはジューダスの案に賛同していただけますか?」
最難関の人物達が意志を表明したことでイオンは再度、その場にいる全員にジューダスの案を取り上げるかの確認を取る。
・・・その質問に一斉に思い思い縦に振られた首・・・その迷いが見えない様子が皆の心を一つにしているとルーク達に理解させた。
.