救う者と救われるもの 第二十話
「・・・それでも俺だけでも、いや俺は、ジューダスの事を助ける」
「・・・お前が僕を、か?」
何かただ言葉に現したくて、ジューダスの事を想って出した言葉。沸き上がる想いから出た物にジューダスは疑問で返すが、ルークは顔を上げると泣きじゃくりそうな顔で・・・ジューダスに近づき、衝動のままに抱きしめた。
あまりにも刹那の出来事、ルークの体に抱き留められた事に少し間を空けて気付きジューダスは滅多に見せない動揺で顔が揺れた。
「・・・っ!?なんの真似だ・・・!?」
動揺で語気には険があるがルークに害意がないことがわかるので、ジューダスはその体勢のままルークに行動の意味を問う。
「俺・・・過去に戻って来てからジューダスに助けられてばっかりだった」
すると耳元に届いて来たのは今見せた泣きそうな顔にはそぐわない、酷く反動のある落ち着いたルークの声だった。
「ジューダスのおかげで俺はここまで来れた、皆も死なないように出来た、わかりあう為の時間も取れた。でも・・・ジューダスは一人で問題を抱えてた・・・それを聞いたから、だから・・・」
「俺はジューダスを助けたいんだ、幸せになってほしいんだ・・・っ!」
・・・助けるという宣言ではなくどちらかと言えば懇願が当て嵌まる。ルークの声は一瞬にして崩れた、はち切れんばかりの切なる想いで。
「皆が皆分かってくれない事もあるってこと、俺にもわかる・・・わかるけど、それでも俺はジューダスを受け入れて欲しいんだ、皆に・・・!わがままなのはわかるけど、それでも俺はジューダスが受け入れられずに消えるなんて嫌なんだ・・・だから助けたいんだ・・・」
・・・上手く言葉に乗せる事は出来ていない。だがもはやそのような些細な事は一切ルークの頭の中になかった。ただ・・・助けたい、その一点だけ。
どうやって助けるなどの手段に関しては全く出てこないが、その言葉は下手に飾った方法論を聞くよりも比べるまでもなく安堵を覚える。
ルークはジューダスからどういった答えが帰って来るのか、心臓を警鐘のように鳴らしながら待つと耳元に言葉が囁かれてきた。
「・・・お前の考えはわかった。助けるというからには僕の過去を陛下達に見せた後、お前自身の言葉で僕の話の後に僕を・・・助けてくれ」
・・・初めてと言ってもいいのではないか、ジューダスの答えはもっともらしからぬ答えであった。皮肉も同情も無関心もそのどれでもない、ルークはそう答えから感じていた。
するとジューダスはルークの肩を掴んで体を剥がし、泣きそうな顔から一転した嬉しそうな表情に変わりかけのルークと真剣な眼差しのジューダスの顔が向かい合う。
「・・・それはあくまでも僕が認められなかった場合での話だ。その後でお前が説得してこそ成り立つ話だ、忘れるな」
「あ・・・うん」
いきなり引きはがされたかと思えば念の為の話、やっぱりジューダスはジューダスなんだと感じながらもルークは頷きを返した。
・・・ここでフラッシュバックした映像はルークの中で収まる。最初認められなかった場合、ルークはジューダスから任せると言われ嬉しさがあった。しかし少し場面を思い返して考えてみると、その考えの浅はかさをルークは悔やんでしまった。
もちろんジューダスが認められた方がいいに決まってはいるが、認められなかった場合は・・・自分にかかってくる。ジューダスを擁護するものがいなかったなら味方はせいぜい自分とシンク達くらい、擁護するものが他から全くいなかったら・・・その想像にルークは過去を思い出して身を震わせた。
(お願いします、皆。ジューダスを認めて下さい・・・)
ジューダスの過去を思い返し、自分と共にただ記憶を見せ終わるのを待つ今。最悪の結末を想像をしながらも待つルークは涙を抑え、そうならない事をただ祈るばかりだった。
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「・・・お前が僕を、か?」
何かただ言葉に現したくて、ジューダスの事を想って出した言葉。沸き上がる想いから出た物にジューダスは疑問で返すが、ルークは顔を上げると泣きじゃくりそうな顔で・・・ジューダスに近づき、衝動のままに抱きしめた。
あまりにも刹那の出来事、ルークの体に抱き留められた事に少し間を空けて気付きジューダスは滅多に見せない動揺で顔が揺れた。
「・・・っ!?なんの真似だ・・・!?」
動揺で語気には険があるがルークに害意がないことがわかるので、ジューダスはその体勢のままルークに行動の意味を問う。
「俺・・・過去に戻って来てからジューダスに助けられてばっかりだった」
すると耳元に届いて来たのは今見せた泣きそうな顔にはそぐわない、酷く反動のある落ち着いたルークの声だった。
「ジューダスのおかげで俺はここまで来れた、皆も死なないように出来た、わかりあう為の時間も取れた。でも・・・ジューダスは一人で問題を抱えてた・・・それを聞いたから、だから・・・」
「俺はジューダスを助けたいんだ、幸せになってほしいんだ・・・っ!」
・・・助けるという宣言ではなくどちらかと言えば懇願が当て嵌まる。ルークの声は一瞬にして崩れた、はち切れんばかりの切なる想いで。
「皆が皆分かってくれない事もあるってこと、俺にもわかる・・・わかるけど、それでも俺はジューダスを受け入れて欲しいんだ、皆に・・・!わがままなのはわかるけど、それでも俺はジューダスが受け入れられずに消えるなんて嫌なんだ・・・だから助けたいんだ・・・」
・・・上手く言葉に乗せる事は出来ていない。だがもはやそのような些細な事は一切ルークの頭の中になかった。ただ・・・助けたい、その一点だけ。
どうやって助けるなどの手段に関しては全く出てこないが、その言葉は下手に飾った方法論を聞くよりも比べるまでもなく安堵を覚える。
ルークはジューダスからどういった答えが帰って来るのか、心臓を警鐘のように鳴らしながら待つと耳元に言葉が囁かれてきた。
「・・・お前の考えはわかった。助けるというからには僕の過去を陛下達に見せた後、お前自身の言葉で僕の話の後に僕を・・・助けてくれ」
・・・初めてと言ってもいいのではないか、ジューダスの答えはもっともらしからぬ答えであった。皮肉も同情も無関心もそのどれでもない、ルークはそう答えから感じていた。
するとジューダスはルークの肩を掴んで体を剥がし、泣きそうな顔から一転した嬉しそうな表情に変わりかけのルークと真剣な眼差しのジューダスの顔が向かい合う。
「・・・それはあくまでも僕が認められなかった場合での話だ。その後でお前が説得してこそ成り立つ話だ、忘れるな」
「あ・・・うん」
いきなり引きはがされたかと思えば念の為の話、やっぱりジューダスはジューダスなんだと感じながらもルークは頷きを返した。
・・・ここでフラッシュバックした映像はルークの中で収まる。最初認められなかった場合、ルークはジューダスから任せると言われ嬉しさがあった。しかし少し場面を思い返して考えてみると、その考えの浅はかさをルークは悔やんでしまった。
もちろんジューダスが認められた方がいいに決まってはいるが、認められなかった場合は・・・自分にかかってくる。ジューダスを擁護するものがいなかったなら味方はせいぜい自分とシンク達くらい、擁護するものが他から全くいなかったら・・・その想像にルークは過去を思い出して身を震わせた。
(お願いします、皆。ジューダスを認めて下さい・・・)
ジューダスの過去を思い返し、自分と共にただ記憶を見せ終わるのを待つ今。最悪の結末を想像をしながらも待つルークは涙を抑え、そうならない事をただ祈るばかりだった。
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