救う者と救われるもの 第二十話
「僕には拠り所がない、僕は別世界の人間だ。それはわかるだろう。だからこそこの記憶を見せた時に、途端に僕の存在が不安定な物となる。今まではお前に協力しているただの一個人という認識、だが記憶を見せたなら瞬間で僕は今までと違う視点で見られる事となる。もしかしたらその場で叩き出されるやもしれんな」
「叩き出されるって、伯父上はそんなこと・・・っ!」
「しないとは言い切れんさ。僕は咎人だ、例え認めてくれる者がいても誰もが皆僕を認めてくれる訳ではない・・・例え一人が認めたとしても歴史は悪役として名を残す、事実僕はそれでいいと思っていたしそうなるとは思っていた」
「・・・?・・・!」
最初ジューダスから何を言われたのかを理解出来ずにいたルークだったが、ジューダスの記憶を思い返しはっとする。
ジューダスの記憶にあるかつての仲間の一人のウッドロウの治める街、ハイデルベルグ。その街に増大な量を誇る図書館があり、そこの一角に千年前の天地戦争と神の眼を巡る騒乱をわかりやすく記したコーナーがあった。数々の詳しい資料がひしめく中、リオンのことを調べてみると・・・神の眼を奪還したヒューゴに荷担した裏切り者のソーディアンマスターと記されてあった。マリアンの為に全てを尽くしたというのはスタン、及びウッドロウ達は知っている事のはずなのに・・・
・・・こればかりは当事者ではないルークは解るよしもないが、これはウッドロウ達の気遣いである。六本あったソーディアンの内一本はヒューゴ改めかつての天上王ミクトランの手に落ち、四本はミクトランを倒した英雄が持っていた・・・ならば気になるのは残り一本の行方、シャルティエ。だがそこでリオンの為に黙秘は出来ない、リオンは客員剣士のソーディアンマスターとして少なからず名を馳せていた。つまりシャルティエはどこに行ったのかとすぐに問題になる、リオンの行方も。
ここでリオンの真実を明かせばその名は裏切り者としては残らなかったであろう、だが歴史書には裏切り者と記されていた。だがその真実を正直に話してジューダスが喜ぶかと言えば・・・否であろう。ジューダスが正直に明かした歴史書を見れば顔をしかめる事まず間違いないだろう、何よりマリアンをダシに使われ自らもであるが彼女に居心地の悪い同情の視線を一気に向けられる事を思い。
マリアンの為を思ったリオンの気持ちを踏みにじる事になる・・・ジューダスを知るウッドロウ達はそう考えたのだろう、あえて裏切り者の汚名のままリオンは歴史に名を残す事となった。無論真っ先に反対しそうなスタンなどは説得に苦労したであろうが・・・
だがルークはそんなことは知るよしもない、歴史の流れがあまりにも無情な事に顔を落とす。
「僕の行動が独りよがりの愚考だと言う者もいるだろう、自己満足の憐れな物だと言う者もいるだろう。誰もが誰もお前のように僕を受け入れるなど有り得るはずがないんだ」
「それが・・・伯父上達に認められるかどうかってことなのか・・・」
「あぁ」
ジューダスの真意が聞けた、だがそれは自らの経験からあまりにも身に覚えがありすぎてルークは言葉を失いかけていた。
アクゼリュスからの変わるという意識表明からルークはティア達と共に旅をして、その行動から次第にティア達の刺も次第に取れては来た。だがそんな変わったルークでもヴァン達は頑なな態度を崩す事はなかった。確かに見解を改めはしただろう、だが総じてレプリカという枠組みから外した見方をしてはくれなかった。だからこそ全てをぶつけて戦い、そんな悲しい事実を変える為に過去に戻って来たのだ。
ジューダスのその言葉はれっきとした重みがあり、理屈としても大いに有り得る事だ。
・・・だがそれでもルークは失いかけた言葉をそのまま失わせる訳にはいかなかった、ジューダスの話した事を現実にしないために。
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「叩き出されるって、伯父上はそんなこと・・・っ!」
「しないとは言い切れんさ。僕は咎人だ、例え認めてくれる者がいても誰もが皆僕を認めてくれる訳ではない・・・例え一人が認めたとしても歴史は悪役として名を残す、事実僕はそれでいいと思っていたしそうなるとは思っていた」
「・・・?・・・!」
最初ジューダスから何を言われたのかを理解出来ずにいたルークだったが、ジューダスの記憶を思い返しはっとする。
ジューダスの記憶にあるかつての仲間の一人のウッドロウの治める街、ハイデルベルグ。その街に増大な量を誇る図書館があり、そこの一角に千年前の天地戦争と神の眼を巡る騒乱をわかりやすく記したコーナーがあった。数々の詳しい資料がひしめく中、リオンのことを調べてみると・・・神の眼を奪還したヒューゴに荷担した裏切り者のソーディアンマスターと記されてあった。マリアンの為に全てを尽くしたというのはスタン、及びウッドロウ達は知っている事のはずなのに・・・
・・・こればかりは当事者ではないルークは解るよしもないが、これはウッドロウ達の気遣いである。六本あったソーディアンの内一本はヒューゴ改めかつての天上王ミクトランの手に落ち、四本はミクトランを倒した英雄が持っていた・・・ならば気になるのは残り一本の行方、シャルティエ。だがそこでリオンの為に黙秘は出来ない、リオンは客員剣士のソーディアンマスターとして少なからず名を馳せていた。つまりシャルティエはどこに行ったのかとすぐに問題になる、リオンの行方も。
ここでリオンの真実を明かせばその名は裏切り者としては残らなかったであろう、だが歴史書には裏切り者と記されていた。だがその真実を正直に話してジューダスが喜ぶかと言えば・・・否であろう。ジューダスが正直に明かした歴史書を見れば顔をしかめる事まず間違いないだろう、何よりマリアンをダシに使われ自らもであるが彼女に居心地の悪い同情の視線を一気に向けられる事を思い。
マリアンの為を思ったリオンの気持ちを踏みにじる事になる・・・ジューダスを知るウッドロウ達はそう考えたのだろう、あえて裏切り者の汚名のままリオンは歴史に名を残す事となった。無論真っ先に反対しそうなスタンなどは説得に苦労したであろうが・・・
だがルークはそんなことは知るよしもない、歴史の流れがあまりにも無情な事に顔を落とす。
「僕の行動が独りよがりの愚考だと言う者もいるだろう、自己満足の憐れな物だと言う者もいるだろう。誰もが誰もお前のように僕を受け入れるなど有り得るはずがないんだ」
「それが・・・伯父上達に認められるかどうかってことなのか・・・」
「あぁ」
ジューダスの真意が聞けた、だがそれは自らの経験からあまりにも身に覚えがありすぎてルークは言葉を失いかけていた。
アクゼリュスからの変わるという意識表明からルークはティア達と共に旅をして、その行動から次第にティア達の刺も次第に取れては来た。だがそんな変わったルークでもヴァン達は頑なな態度を崩す事はなかった。確かに見解を改めはしただろう、だが総じてレプリカという枠組みから外した見方をしてはくれなかった。だからこそ全てをぶつけて戦い、そんな悲しい事実を変える為に過去に戻って来たのだ。
ジューダスのその言葉はれっきとした重みがあり、理屈としても大いに有り得る事だ。
・・・だがそれでもルークは失いかけた言葉をそのまま失わせる訳にはいかなかった、ジューダスの話した事を現実にしないために。
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