救う者と救われるもの 第二十話
「・・・皆様方、今より私の正体を明かします。これよりの事、私の嘘偽りない事実にございます・・・信じていただけることを切に願います・・・」
・・・椅子から立ち上がり、深く頭を下げるジューダス。一人の人間の身を引き裂かれそうな想いが言葉にこもっている・・・場にいる全員がその姿に目を奪われる。
・・・その瞬間、ルークの脳裏にアスターを待つまでの二人きりの時の場面がフラッシュバックする。
「・・・何故お前はここに残った?」
「・・・なんていっていいのかな・・・とにかくジューダスの雰囲気がいつもと違ってたから・・・」
「・・・まさかお前に悟られるとはな・・・」
(・・・ジューダス)
心配だった、ルークはそうジューダスに言いはしたが本当は「なんのことだ」といつものジューダスらしい斜めに構えた返事を期待していた。だが顔を抑えやれやれと言った自嘲の見えるその色は、自身の感覚が間違っていないとルークの不安が当たっていた事を示していた。
「・・・まあいい。お前がここに残ってくれたのなら手間は省ける」
「え?」
「すまんがローレライ。この場に出て来てくれ」
『・・・何用だ、ジューダス』
(ジューダスッ)
一転してローレライを呼んだジューダスに、ルークは何をするのかが本当に分からず疑問だらけだった。
「お前はルークの記憶を第七音素を媒介として、人に見せる事が出来る。その力を見込んで頼みがある。僕の記憶も・・・読み取る事は出来るか・・・?」
『・・・何故だ、ジューダスよ?』
(ジューダスゥ・・・)
その声は力無く、聞くだけでもルークは物悲しくなっていた。だがだからこそ、その言葉こそがジューダスの考えだと感じたルークはその言葉を聞き逃すまいと意識を集中させた。
「・・・今よりもう一度、ローレライの力により貴方方には過去へ旅だっていただきます」
「「私の半生の記憶の中へ(この世界ではない、僕のいた世界を会議室に集まる全ての者へ見せる為にだ)」」
「何・・・?」
(ジューダス!)
明かしたその内容は個人の記憶、インゴベルト陛下を始め場はどういう事なのか口の中で小さく疑問を表す。だがその言葉の裏側を知るルークは、ただフラッシュバックした映像に耐えていた。
「・・・出来んのか?ローレライ」
『・・・いや、出来ない事はない。だがいいのか?・・・お前は過去を話す事を出来る限り避けていた。それを大多数に見せるという事はその数だけそなたの辛い過去をさらけ出す事となる・・・いいのか?』
「そうだジューダス。あんなにジューダスはディストに辛そうに話をしただろ?あんな風にしなくても話だけでいいんじゃ・・・」
ジューダスの再度の確認に念を押すローレライとその心を案じ、心配するルーク。
「構わん、読み取れるなら早く読み取ってくれ。出来ればアスターが来る前に片付け、説明の手間を省きたい」
そんな二人の気遣いに、ジューダスは早くしろと口調を普通に戻す。
『・・・わかった。少しの間そなたの体を包ませてくれ。記憶を読み取らせてもらう』
「ああ」
そんな姿に観念したのかローレライは協力すると言う。ジューダスが返事を返し目をつむると、すぐさまローレライはジューダスを覆う。
・・・そしてローレライも記憶を読み取り終え、ジューダスからその身を離す。その瞬間、ルークはジューダスへと間を勢いよく詰める。
「なんでジューダス!なんでジューダスがそこまでするんだよ!?」
必死な声と顔でルークはその行動の意味を問う。ジューダスは身を削る必要はない!わざと辛い目に会わなくていいんだ!・・・言葉足らずだが確かに込められた想い。
「・・・百聞は一見にしかず。シンク達は僕の事を信じた、僕の世迷言にも等しい話をな。だがそれも少しの間でも僕との旅があったからこそだ。今から数時間後に控える会合にはせいぜい僕の名前形しか知らん人間ばかりが場に集う事になる。だからこそ必要なんだ、ローレライの力が」
「・・・だからって!」
そこまで自分の感情を殺す事はない。合理的に物事を進めるべきだと言う発言にルークはたまらず、ジューダスの肩を掴む。
だがそこに現れたジューダスの表情は辛そうではなく、穏やかに笑むものだった。
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・・・椅子から立ち上がり、深く頭を下げるジューダス。一人の人間の身を引き裂かれそうな想いが言葉にこもっている・・・場にいる全員がその姿に目を奪われる。
・・・その瞬間、ルークの脳裏にアスターを待つまでの二人きりの時の場面がフラッシュバックする。
「・・・何故お前はここに残った?」
「・・・なんていっていいのかな・・・とにかくジューダスの雰囲気がいつもと違ってたから・・・」
「・・・まさかお前に悟られるとはな・・・」
(・・・ジューダス)
心配だった、ルークはそうジューダスに言いはしたが本当は「なんのことだ」といつものジューダスらしい斜めに構えた返事を期待していた。だが顔を抑えやれやれと言った自嘲の見えるその色は、自身の感覚が間違っていないとルークの不安が当たっていた事を示していた。
「・・・まあいい。お前がここに残ってくれたのなら手間は省ける」
「え?」
「すまんがローレライ。この場に出て来てくれ」
『・・・何用だ、ジューダス』
(ジューダスッ)
一転してローレライを呼んだジューダスに、ルークは何をするのかが本当に分からず疑問だらけだった。
「お前はルークの記憶を第七音素を媒介として、人に見せる事が出来る。その力を見込んで頼みがある。僕の記憶も・・・読み取る事は出来るか・・・?」
『・・・何故だ、ジューダスよ?』
(ジューダスゥ・・・)
その声は力無く、聞くだけでもルークは物悲しくなっていた。だがだからこそ、その言葉こそがジューダスの考えだと感じたルークはその言葉を聞き逃すまいと意識を集中させた。
「・・・今よりもう一度、ローレライの力により貴方方には過去へ旅だっていただきます」
「「私の半生の記憶の中へ(この世界ではない、僕のいた世界を会議室に集まる全ての者へ見せる為にだ)」」
「何・・・?」
(ジューダス!)
明かしたその内容は個人の記憶、インゴベルト陛下を始め場はどういう事なのか口の中で小さく疑問を表す。だがその言葉の裏側を知るルークは、ただフラッシュバックした映像に耐えていた。
「・・・出来んのか?ローレライ」
『・・・いや、出来ない事はない。だがいいのか?・・・お前は過去を話す事を出来る限り避けていた。それを大多数に見せるという事はその数だけそなたの辛い過去をさらけ出す事となる・・・いいのか?』
「そうだジューダス。あんなにジューダスはディストに辛そうに話をしただろ?あんな風にしなくても話だけでいいんじゃ・・・」
ジューダスの再度の確認に念を押すローレライとその心を案じ、心配するルーク。
「構わん、読み取れるなら早く読み取ってくれ。出来ればアスターが来る前に片付け、説明の手間を省きたい」
そんな二人の気遣いに、ジューダスは早くしろと口調を普通に戻す。
『・・・わかった。少しの間そなたの体を包ませてくれ。記憶を読み取らせてもらう』
「ああ」
そんな姿に観念したのかローレライは協力すると言う。ジューダスが返事を返し目をつむると、すぐさまローレライはジューダスを覆う。
・・・そしてローレライも記憶を読み取り終え、ジューダスからその身を離す。その瞬間、ルークはジューダスへと間を勢いよく詰める。
「なんでジューダス!なんでジューダスがそこまでするんだよ!?」
必死な声と顔でルークはその行動の意味を問う。ジューダスは身を削る必要はない!わざと辛い目に会わなくていいんだ!・・・言葉足らずだが確かに込められた想い。
「・・・百聞は一見にしかず。シンク達は僕の事を信じた、僕の世迷言にも等しい話をな。だがそれも少しの間でも僕との旅があったからこそだ。今から数時間後に控える会合にはせいぜい僕の名前形しか知らん人間ばかりが場に集う事になる。だからこそ必要なんだ、ローレライの力が」
「・・・だからって!」
そこまで自分の感情を殺す事はない。合理的に物事を進めるべきだと言う発言にルークはたまらず、ジューダスの肩を掴む。
だがそこに現れたジューダスの表情は辛そうではなく、穏やかに笑むものだった。
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