救う者と救われるもの 第二十話
・・・数時間経った。ユリアシティにキムラスカ・マルクト・ダアトの三国代表が揃い、そして最後の自治区でもあるケセドニアの代表アスターがユリアシティに着いたとイオンの元へ情報が届いた。ルークとジューダスの二人によって。
「もう少ししたら会合は始まりますが、お二人はジェイド達の元で待っていて下さい。あちらの方にいますので」
「いや、俺達は会合が始まるまで二人でいるよ」
「え・・・?」
その時報告に来たルーク達にティア達との時間を過ごす事をイオンは勧めたが、ルークはその勧めを断りジューダスとともにその場を立ち去った。
そんな二人の姿は何者にも立ち入る事は出来ない・・・イオンは理屈抜きに何かを感じ取り、その足を止める為の言葉が出て来る事はなかった。
奇妙な程ルーク達の間に連帯感が生まれているという状況、それをイオンは気にしてはいたが必要以上に心を傾ける訳にはいかない。全ての代表が揃った、なら場を整え会合を行わなければならない。
準備を終えたイオンは全員に会合を始める事を伝えさせ自らは市長とモース、そしてディストとともに会議場の1番奥の席で全員が揃うのを緊迫した雰囲気で待つ。
・・・続々と会議場に入って来る関係者達。入口から向かって左側の席に着くのはキムラスカのインゴベルト陛下とファブレ公爵とナタリア、その後ろにセシル少将・シンク・アリエッタ・フローリアンが立って位置に着く。右側の席に着くのはピオニー陛下とガイ、その後ろにジェイド・アッシュ・ティア・アニス・フリングス少将と来てヴァン・リグレット・ラルゴが兵士による拘束を受けそこに立って位置に着く。ケセドニアの代表アスターはナタリアの隣に座る。
そして最後に・・・ルークとジューダスの二人がその場に現れた。世界を救わんとする二人の登場、と同時にキムラスカの側に座るかと皆が注目を二人に寄せる。だが二人はキムラスカ側の席を通り過ぎ、イオンに近寄る。
「どうしたんですか?」
「あの・・・イオン、俺とジューダスの二人は入口側のこの席とは逆の席に座っていいかな?」
「・・・どうして、ですか?」
そんな突然の申し出に、不可解な顔になるイオン。その疑問に、ルークは真摯な顔で答える。
「・・・これから話す事って国の間だけの話じゃないのはわかるだろ。この星全体の問題だ。けどジューダスは・・・どこかの国の、どこかに住んでいると区分けすることが出来ないから・・・だから・・・それを説明するためにも、俺達は敢えてどの国にも属さない位置で話をしたいんだ」
場にいるシンク・アリエッタ・フローリアンの三人以外はなんの事やら理解が出来ず内心で首を傾げる、だが事情を知っている三人はルークの覚悟とジューダスの決心を感じ取り二人の後ろまで歩いて行き思い思いにフォローを入れる。
「私からもお願いします。二人の言葉を受け入れてはいただけないでしょうか?」
「イオン様、アリエッタからもお願いです・・・」
「お願い・・・」
三人はこの戻って来た時に於いて二人との時間を一番長く過ごして来た身、ジューダスが意味もない発言を許容する理由はないと理解している。だからこそ話の内容から感じ取っていた・・・ジューダスは全てを明かす為に、ルークと一緒に後ろ盾を持つ事なくありのままの過去を話すと決めたのだと。
「・・・わかりました。それでは市長。二人の椅子を用意していただけませんか?」
「はっ、はい。わかりました」
その純粋に想う言葉にイオンは観念したように、場を改めて整えるようテオドーロに頼む。
テオドーロは慌てたように外に出る中、他の面々は余程の決意なのだと感じ取ったのか余計な口を挟む者はいない。
「・・・すまない」
静寂が場を支配する中ジューダスはルークとイオンと三人にしか聞こえない程小さな声で礼を言う。
・・・その声に若干の安堵が篭っていたという事までは、ジューダス自身は気付いていない。もちろんルーク達も声量の小ささからそこまで感じ取る事は出来ていない。ただ少しの微細な事ではあるが・・・ジューダスは三人の声を受けてその優しさだけ、気が楽になっていた・・・
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「もう少ししたら会合は始まりますが、お二人はジェイド達の元で待っていて下さい。あちらの方にいますので」
「いや、俺達は会合が始まるまで二人でいるよ」
「え・・・?」
その時報告に来たルーク達にティア達との時間を過ごす事をイオンは勧めたが、ルークはその勧めを断りジューダスとともにその場を立ち去った。
そんな二人の姿は何者にも立ち入る事は出来ない・・・イオンは理屈抜きに何かを感じ取り、その足を止める為の言葉が出て来る事はなかった。
奇妙な程ルーク達の間に連帯感が生まれているという状況、それをイオンは気にしてはいたが必要以上に心を傾ける訳にはいかない。全ての代表が揃った、なら場を整え会合を行わなければならない。
準備を終えたイオンは全員に会合を始める事を伝えさせ自らは市長とモース、そしてディストとともに会議場の1番奥の席で全員が揃うのを緊迫した雰囲気で待つ。
・・・続々と会議場に入って来る関係者達。入口から向かって左側の席に着くのはキムラスカのインゴベルト陛下とファブレ公爵とナタリア、その後ろにセシル少将・シンク・アリエッタ・フローリアンが立って位置に着く。右側の席に着くのはピオニー陛下とガイ、その後ろにジェイド・アッシュ・ティア・アニス・フリングス少将と来てヴァン・リグレット・ラルゴが兵士による拘束を受けそこに立って位置に着く。ケセドニアの代表アスターはナタリアの隣に座る。
そして最後に・・・ルークとジューダスの二人がその場に現れた。世界を救わんとする二人の登場、と同時にキムラスカの側に座るかと皆が注目を二人に寄せる。だが二人はキムラスカ側の席を通り過ぎ、イオンに近寄る。
「どうしたんですか?」
「あの・・・イオン、俺とジューダスの二人は入口側のこの席とは逆の席に座っていいかな?」
「・・・どうして、ですか?」
そんな突然の申し出に、不可解な顔になるイオン。その疑問に、ルークは真摯な顔で答える。
「・・・これから話す事って国の間だけの話じゃないのはわかるだろ。この星全体の問題だ。けどジューダスは・・・どこかの国の、どこかに住んでいると区分けすることが出来ないから・・・だから・・・それを説明するためにも、俺達は敢えてどの国にも属さない位置で話をしたいんだ」
場にいるシンク・アリエッタ・フローリアンの三人以外はなんの事やら理解が出来ず内心で首を傾げる、だが事情を知っている三人はルークの覚悟とジューダスの決心を感じ取り二人の後ろまで歩いて行き思い思いにフォローを入れる。
「私からもお願いします。二人の言葉を受け入れてはいただけないでしょうか?」
「イオン様、アリエッタからもお願いです・・・」
「お願い・・・」
三人はこの戻って来た時に於いて二人との時間を一番長く過ごして来た身、ジューダスが意味もない発言を許容する理由はないと理解している。だからこそ話の内容から感じ取っていた・・・ジューダスは全てを明かす為に、ルークと一緒に後ろ盾を持つ事なくありのままの過去を話すと決めたのだと。
「・・・わかりました。それでは市長。二人の椅子を用意していただけませんか?」
「はっ、はい。わかりました」
その純粋に想う言葉にイオンは観念したように、場を改めて整えるようテオドーロに頼む。
テオドーロは慌てたように外に出る中、他の面々は余程の決意なのだと感じ取ったのか余計な口を挟む者はいない。
「・・・すまない」
静寂が場を支配する中ジューダスはルークとイオンと三人にしか聞こえない程小さな声で礼を言う。
・・・その声に若干の安堵が篭っていたという事までは、ジューダス自身は気付いていない。もちろんルーク達も声量の小ささからそこまで感じ取る事は出来ていない。ただ少しの微細な事ではあるが・・・ジューダスは三人の声を受けてその優しさだけ、気が楽になっていた・・・
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