救う者と救われるもの 第十九話
・・・ジューダスから放たれる空気、それは誰もが不意に言葉を出せる程安穏としたものではない。
ヴァンと面と向かい話し合いたかったルークも、空気から余計な事を言えないと口をつぐんでいる。と、この空気を発しているジューダス自身から声が出て来る。
「・・・陛下。ヴァンとの話は後でいたします。私はこの場に残りケセドニアのアスター氏を待ちますので、皆様と一緒にユリアシティの中にて休息を取られて下さい」
その声には刺はない、だが代わりに強い願い。そうして欲しい、ルークは何故だかジューダスが切に願っているとそう感じてしまい、ふとジューダスの陛下を見るいつもの表情を不意に見ていた。
「・・・あぁ、そうさせてもらおうか。という訳だ、ヴァン。話はここまでにする。ジェイド、俺達はユリアシティの中に行くぞ」
「はっ」
ジューダスの想いを汲み取ったのか、ピオニーはヴァンに話の制止を言い渡しジェイド達を連れて街に入ろうと歩き出す。
「何をしている、ルーク。イオンを連れてお前も行け。ここは僕一人で待っておく」
「え・・・?」
そんなピオニー達を見送ろうとしていたルークに、ジューダスから向こうに行けと声がかかる。
「・・・どうして一人で待つんですか、ジューダス?お出迎えなら導師として僕も行います」
「・・・積もる話もあるだろう、お前らは。少しの間だけでも今の内に話しておけ、この会合が終われば世界はせわしなく動く事になるからな」
「じゃあジューダスはその間、一人で待っているっていうのか?」
「あぁ、だが気にする事はない。会合が始まるまでの間だ、たいした時間じゃない」
・・・久しぶりの再会にジューダスは気遣っている、大半のメンツはそう感じていた。
「では・・・甘えさせてもらいますね」
厚意を断るのはどうかと思ったのだろう、イオンは軽くジューダスに頭を下げる。続いてルークも、と思われたが・・・
「いや、俺はジューダスと一緒にアスターさんを待つよ。イオンだけ陛下達とユリアシティの中でゆっくりしてくれ」
「ルーク・・・?」
断りを入れるルーク、そんな返答にガイは不可解そうにその名を呼ぶ。
「いや、ワリィガイ。ちょっとジューダスと話したいことがあったんだ。だから俺もここに残るよ、ジューダス」
先程から一転して明るく振る舞うルークは、その名を呼びながらジューダスへと視線を向ける。
「・・・話があるというなら仕方がない。ここには私達二人が残ります、陛下はユリアシティにお行き下さい」
「・・・あぁ、済まないな。行くぞ、ジェイド」
・・・再び逆らえない何かを感じたのだろう、ピオニーの声に誰一人声を上げる事なくルークとジューダスの二人を置いて一行はユリアシティの中へと歩き出す・・・
「・・・あんなわざとらしいルーク、障気中和した後の時以来なかったな・・・」
「恐らく、残ったのはジューダス絡みです。ガイの心配するような事はありませんよ」
ルークとジューダスの二人が見えなくなったところで、ガイとジェイドは先程のルークのらしくなさについて話し合う・・・あのように空元気に近いルーク、もしやとガイは考えていたがジェイドはそんな不安を打ち消すよう話題に上がったジューダスの問題だろうと言う。
しかしジューダスに関して何があるのか・・・よく知らないジューダスに関する事の憶測を出せるはずもないジェイドは、必要以上に安心を覚えさせる言葉をガイにかけることはなかった。
交錯する運命、深淵の地に唯一立つ街に成就する
そして交錯より新たに歴史は生まれる
神にも預言にも左右されない、人自身が紡ぐ星の歴史が・・・
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ヴァンと面と向かい話し合いたかったルークも、空気から余計な事を言えないと口をつぐんでいる。と、この空気を発しているジューダス自身から声が出て来る。
「・・・陛下。ヴァンとの話は後でいたします。私はこの場に残りケセドニアのアスター氏を待ちますので、皆様と一緒にユリアシティの中にて休息を取られて下さい」
その声には刺はない、だが代わりに強い願い。そうして欲しい、ルークは何故だかジューダスが切に願っているとそう感じてしまい、ふとジューダスの陛下を見るいつもの表情を不意に見ていた。
「・・・あぁ、そうさせてもらおうか。という訳だ、ヴァン。話はここまでにする。ジェイド、俺達はユリアシティの中に行くぞ」
「はっ」
ジューダスの想いを汲み取ったのか、ピオニーはヴァンに話の制止を言い渡しジェイド達を連れて街に入ろうと歩き出す。
「何をしている、ルーク。イオンを連れてお前も行け。ここは僕一人で待っておく」
「え・・・?」
そんなピオニー達を見送ろうとしていたルークに、ジューダスから向こうに行けと声がかかる。
「・・・どうして一人で待つんですか、ジューダス?お出迎えなら導師として僕も行います」
「・・・積もる話もあるだろう、お前らは。少しの間だけでも今の内に話しておけ、この会合が終われば世界はせわしなく動く事になるからな」
「じゃあジューダスはその間、一人で待っているっていうのか?」
「あぁ、だが気にする事はない。会合が始まるまでの間だ、たいした時間じゃない」
・・・久しぶりの再会にジューダスは気遣っている、大半のメンツはそう感じていた。
「では・・・甘えさせてもらいますね」
厚意を断るのはどうかと思ったのだろう、イオンは軽くジューダスに頭を下げる。続いてルークも、と思われたが・・・
「いや、俺はジューダスと一緒にアスターさんを待つよ。イオンだけ陛下達とユリアシティの中でゆっくりしてくれ」
「ルーク・・・?」
断りを入れるルーク、そんな返答にガイは不可解そうにその名を呼ぶ。
「いや、ワリィガイ。ちょっとジューダスと話したいことがあったんだ。だから俺もここに残るよ、ジューダス」
先程から一転して明るく振る舞うルークは、その名を呼びながらジューダスへと視線を向ける。
「・・・話があるというなら仕方がない。ここには私達二人が残ります、陛下はユリアシティにお行き下さい」
「・・・あぁ、済まないな。行くぞ、ジェイド」
・・・再び逆らえない何かを感じたのだろう、ピオニーの声に誰一人声を上げる事なくルークとジューダスの二人を置いて一行はユリアシティの中へと歩き出す・・・
「・・・あんなわざとらしいルーク、障気中和した後の時以来なかったな・・・」
「恐らく、残ったのはジューダス絡みです。ガイの心配するような事はありませんよ」
ルークとジューダスの二人が見えなくなったところで、ガイとジェイドは先程のルークのらしくなさについて話し合う・・・あのように空元気に近いルーク、もしやとガイは考えていたがジェイドはそんな不安を打ち消すよう話題に上がったジューダスの問題だろうと言う。
しかしジューダスに関して何があるのか・・・よく知らないジューダスに関する事の憶測を出せるはずもないジェイドは、必要以上に安心を覚えさせる言葉をガイにかけることはなかった。
交錯する運命、深淵の地に唯一立つ街に成就する
そして交錯より新たに歴史は生まれる
神にも預言にも左右されない、人自身が紡ぐ星の歴史が・・・
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