救う者と救われるもの 第十九話
赤髪でアッシュに瓜二つの容貌、特徴はジェイド達から簡単にそう聞いていたイオンはその姿に喉を鳴らす。
そんなルークが出て来たアルビオールから続いてファブレ公爵が出て、最後にインゴベルト陛下が姿を現す。地面に足をつけたインゴベルト陛下、そしてイオンを見ると陛下は軽く笑みを浮かべ近づいていく。
「久しいな、導師。わしの呼び掛けに応じ、ユリアシティを会談の場として使わせてくれること。感謝している」
「いえ・・・世界を救う為に動く事は当然の事、そこまで言っていただく程の事ではありません」
和やかに話してくれる陛下にイオンは首を軽く横に振り、謙遜しながら返す。だが少し視線がイオンは別に行っている。そんな様子を見た陛下は軽くんっ、と咳ばらいする。
「導師。着いたばかりで悪いが、どこか部屋を一つ貸してはくれないか?少しモースと話がしたい、個人的にな」
「お話・・・ですか?時間はまだありますので構いませんが、僕はアスターとピオニー陛下をお待ちしなければいけませんので・・・ディスト。市長と話をして適当な部屋を借りてもらい、陛下達をお通しするよう場を整えてもらっていいですか?」
「はっ。かしこまりました」
陛下の頼みに少し考えたイオンはディストに自分が離れられない訳を述べ、後の事を頼む。断る理由もないディストは即断で頷く。
「クリムゾン、シンク、アリエッタ、フローリアン。お前達も共に来てくれ。ルークとジューダスはキムラスカ側の人間として出迎えの為にこの場にいてもらう、お前達はわしを警護してくれ」
「・・・わかりました、陛下」
その返事を受け陛下はルークとジューダスを除いたメンバー以外を連れていく事を言い渡す。そんな陛下の命に数名程何かに気付いたように表情を変え、その中の一人であるファブレ公爵は命を賜る。
「では陛下。このディストが案内いたします」
「ぶーっ、僕もルーク達と一緒に待ちたいよー」
「はいはい、後でまたルーク達は遊んでくれるから行くよ。フローリアン」
表情を変えた中の一人であるディストは早速案内しようと街の方へと振り返り、陛下はその後をついていく。しかしフローリアンは納得していないようでほっぺたをぷっくり膨らませるが、シンクが腕を掴んでフローリアンを引きずって行きファブレ公爵達と共にその場を後にしていった。
さて、ここで残されたのはルークとジューダスとイオンの三人だけ。陛下達を見送った三人の中、ジューダスが呆れたように頭に手を添える。
「・・・どうせなら、僕も連れていってくれればよかったものを・・・」
「えっ?どうしたんだよ、ジューダス?」
「いや、お膳立てされた中に何故僕がねじ込まれたのかと思ったんだ・・・お前とティア達・・・その再会の場にな」
「・・・え?・・・あ」
声色が暗く落ちたジューダスの言葉にルークは最初理解出来なかったが、その言葉が意味する物。それを考えルークは気付いた。陛下が自分とジェイド達の再会を邪魔しないために、立ち去ったのだと。
しかしそうなると確かにジューダスに関しては再会を素直に喜ぶような立場にはいない、なにしろ一回も会っていないのだから。ルークもジューダスの考えている事が理解できた、そこに陛下の言葉を代弁するようにイオンが口を開く。
「ジェイド達もジューダスとお話したいと思っているから、気をきかせたんですよ」
「イオン・・・」
「・・・初めまして、って言った方がいいんでしょうか・・・?・・・すみません、話は聞いてはいたんですけど僕からするとルークとは初めてなので・・・」
表情を暗くするイオンを見てルークは口元を緩ませ目をつぶりながら首を縦に振る。
「うん・・・初めまして、でいいよ。イオンがそう感じたんならそれでいい」
死に行く誰かを救う為、その中にはイオンの事もあった。そこで目の前で死んだ人が現れて自分の事を知らないと言われても仕方のないこと、初めましてという考えに到るのが当然だとルークは思った為イオンの感覚を尊重したのだ。
嬉しい気持ちは当然のように満ち溢れている、泣きたい気持ちも同じ程に。だからこそルークは全てをこらえて決心を新たにした、絶対に理不尽な事でイオンのような力のない人が死なない世界を作る事を・・・
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そんなルークが出て来たアルビオールから続いてファブレ公爵が出て、最後にインゴベルト陛下が姿を現す。地面に足をつけたインゴベルト陛下、そしてイオンを見ると陛下は軽く笑みを浮かべ近づいていく。
「久しいな、導師。わしの呼び掛けに応じ、ユリアシティを会談の場として使わせてくれること。感謝している」
「いえ・・・世界を救う為に動く事は当然の事、そこまで言っていただく程の事ではありません」
和やかに話してくれる陛下にイオンは首を軽く横に振り、謙遜しながら返す。だが少し視線がイオンは別に行っている。そんな様子を見た陛下は軽くんっ、と咳ばらいする。
「導師。着いたばかりで悪いが、どこか部屋を一つ貸してはくれないか?少しモースと話がしたい、個人的にな」
「お話・・・ですか?時間はまだありますので構いませんが、僕はアスターとピオニー陛下をお待ちしなければいけませんので・・・ディスト。市長と話をして適当な部屋を借りてもらい、陛下達をお通しするよう場を整えてもらっていいですか?」
「はっ。かしこまりました」
陛下の頼みに少し考えたイオンはディストに自分が離れられない訳を述べ、後の事を頼む。断る理由もないディストは即断で頷く。
「クリムゾン、シンク、アリエッタ、フローリアン。お前達も共に来てくれ。ルークとジューダスはキムラスカ側の人間として出迎えの為にこの場にいてもらう、お前達はわしを警護してくれ」
「・・・わかりました、陛下」
その返事を受け陛下はルークとジューダスを除いたメンバー以外を連れていく事を言い渡す。そんな陛下の命に数名程何かに気付いたように表情を変え、その中の一人であるファブレ公爵は命を賜る。
「では陛下。このディストが案内いたします」
「ぶーっ、僕もルーク達と一緒に待ちたいよー」
「はいはい、後でまたルーク達は遊んでくれるから行くよ。フローリアン」
表情を変えた中の一人であるディストは早速案内しようと街の方へと振り返り、陛下はその後をついていく。しかしフローリアンは納得していないようでほっぺたをぷっくり膨らませるが、シンクが腕を掴んでフローリアンを引きずって行きファブレ公爵達と共にその場を後にしていった。
さて、ここで残されたのはルークとジューダスとイオンの三人だけ。陛下達を見送った三人の中、ジューダスが呆れたように頭に手を添える。
「・・・どうせなら、僕も連れていってくれればよかったものを・・・」
「えっ?どうしたんだよ、ジューダス?」
「いや、お膳立てされた中に何故僕がねじ込まれたのかと思ったんだ・・・お前とティア達・・・その再会の場にな」
「・・・え?・・・あ」
声色が暗く落ちたジューダスの言葉にルークは最初理解出来なかったが、その言葉が意味する物。それを考えルークは気付いた。陛下が自分とジェイド達の再会を邪魔しないために、立ち去ったのだと。
しかしそうなると確かにジューダスに関しては再会を素直に喜ぶような立場にはいない、なにしろ一回も会っていないのだから。ルークもジューダスの考えている事が理解できた、そこに陛下の言葉を代弁するようにイオンが口を開く。
「ジェイド達もジューダスとお話したいと思っているから、気をきかせたんですよ」
「イオン・・・」
「・・・初めまして、って言った方がいいんでしょうか・・・?・・・すみません、話は聞いてはいたんですけど僕からするとルークとは初めてなので・・・」
表情を暗くするイオンを見てルークは口元を緩ませ目をつぶりながら首を縦に振る。
「うん・・・初めまして、でいいよ。イオンがそう感じたんならそれでいい」
死に行く誰かを救う為、その中にはイオンの事もあった。そこで目の前で死んだ人が現れて自分の事を知らないと言われても仕方のないこと、初めましてという考えに到るのが当然だとルークは思った為イオンの感覚を尊重したのだ。
嬉しい気持ちは当然のように満ち溢れている、泣きたい気持ちも同じ程に。だからこそルークは全てをこらえて決心を新たにした、絶対に理不尽な事でイオンのような力のない人が死なない世界を作る事を・・・
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