救う者と救われるもの 第十九話

外殻大地が魔界に降下して一日が過ぎた。ケセドニアにて休息を取っていたルーク達は外殻大地が降下したことの動揺で街が騒がしい中宿に入ったが、夜になるころにはその騒ぎも収まりいつもと変わらないケセドニアへと戻っていた。

住民の喧騒は自分達に何か起きるのかという不安の表れで、とてつもない事態を想像していたがそれ以外何も起こらない事で拍子抜けした住民の大半は戸惑いながらも何も変化がそれ以上起こらないことから、過ぎ去った事だと平常の生活に戻ったのだ。

ジューダスは訳もなくケセドニアにて休息をと言った訳ではない、両国の国境でもあるこの地でキムラスカ・マルクトの両国の民の反応を見るためでもあった。休むだけならセントビナーやカイツールに行けばよかった事、住民の実態を知れたルーク達は心置きなく休息を取る事が出来た。思った以上に平和なケセドニアの現状を見て、焦ってバチカルに陛下の協力を仰がなくていいと安堵出来る程に。

・・・むろんケセドニアでだけ騒ぎが起きてないだけかもしれないと、ルーク達も考えてはいる。だからこそ、ルーク達は身支度を済ませるとすぐさまその宿を出て行った。









太陽が高く昇る晴天の空の下、ケセドニアを朝発ったルーク達はアルビオールにてバチカル近くの平野に降り立つ。
「じゃあノエル、ちょっと陛下の所まで行ってくるから」
「はい、わかりました」
ルーク達はアルビオールにノエルを残し、バチカルへ行く為アルビオールから降りていく。ヴァンの様子を聞く事と障気中和の報告、この二つを終えればすぐにでもヴァンの元へ。そう考えているからルーク達は報告をしたらすぐにアルビオールに戻る、ルーク達自身もノエルもそう思っていたから軽く会話を終わらせた。






城の前の兵士に口止めをせずに城に入るのも久しぶり、そう思いながらルークは現在陛下がいる私室に向かっている。表向きはヴァンを欺く為にまだマルクトとの和平には賛同していないが、内情はバチカル内にはルークの味方しかいない。故に口止めの必要もないからこそ堂々と城にルークは入って行った。
(・・・出来たら後でナタリアやガイにも会いたい所だけど、それは師匠を止めてからだな・・・)
堂々と入れるからこそ、ルークは誰かに見つかる気兼ねもなく、少し考えにふけながら歩く。今ならナタリアに会っても陛下がルークに付いていく事を押し止めるだろうし、ガイは命令をファブレ公爵から出されなければ同行を認められる事はない。事情を知れば力を貸す、とは両名共に言ってくれそうだが今までの経緯を二人に話して心に傷を負わせたくないルークは出来れば会う事がないようにと心の中で願う。
(でもそういえばジェイドやイオン達はまだここにいんのかな・・・?アルマンダイン伯爵に手紙を預けてしばらく経つからマルクトには和平に応じるって伝わってるって思うんだけど・・・)
そこでもう一つ、和平の使者でここに来たジェイド達がルークの疑問になる。ただ命令待ちの状況でずっとジェイドがここで待っているのか、それに加えイオンの奪還はされているのか?イオンは誘拐されていないにこしたことはないが、ジェイドに関しては何か行動を起こしていないのか?
(わかんないなぁ・・・後で叔父上に聞こう)
どう考えても結論が出ない事で陛下に聞くべきだという考えにたどり着く。なんだかんだで気にはなっている事なだけに、ルークは今までの自分達以外の経過も知る為にと質問の要項を追加する事を心の中で決めた。









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