救う者と救われるもの

アッシュを抱きかかえ、天を仰ぎルークは目をつむってそっと呟いた。
「ごめん皆、俺帰れそうにないよ・・・」     

ルークに残された結末は消滅という名の死。その結末をルークは理解し受け止めてはいるが、
「やっぱり生きたかったなぁ・・・」       理解と希望は全くの別物。生きたいという気持ちには嘘をつけない。二つの気持ちを合わせもったこの一言には諦めという感情が篭っていた。


『生きたいか?ルークよ』天を仰いでじっとしていたルークに、先程解放したローレライが近付いて話しかけてきた。
「・・・生きたかったよ」ローレライの質問に暗い表情になり、ルークはうつ向いてしまう。
『生きれるというならどうする?』
「・・・え?」
ローレライの言葉に反応するルーク。明らかに信じられないといった感じで目を見開いている。
『生きたいのだろう?』
「生きたいけど・・・生きれるの?」
『ここまで音素解離が進んでしまった以上我にもそなたを救う事は出来ん。しかしそなたを過去に送れば一先ずの消滅を防ぐ事が出来る』
「過去って・・・そんな事出来るのか!?」
『我を解放してくれた礼だ。それにこのままルークが消滅するのは我も望む所ではない』
「・・・」
そう言われルークは黙り、考え込んでしまった。


「・・・ローレライ、俺を過去に送ってくれ」
そう言い放ったルークの表情には決意が感じとられた。
「・・・過去に戻れるなら死ななくてもよかった人達を助けられるかもしれないんだよな、ローレライ?」『過去に戻って何かをするのは我ではない、そなただルークよ』

ローレライの返答に、より一層決意を強めたルークに最早迷いはなかった。
「頼む、ローレライ!!俺を過去に送ってくれ!!」『承知した』
ローレライの言葉と同時に、ルークを第七音素の光が包みこんだ。そして次第に光が収縮していき、やがてその光が消え去った時にはその場には何も残されていなかった。




世界を変えた英雄は死の運命を覆す為に過去に戻る




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