救う者と救われるもの 第十八話

・・・各地でルーク達と関わりを持った面々が外殻大地降下の事実を知りその思惑を深めていく中、ここで場所はラジエイトゲートへと戻る。






「・・・よし、これで降下に関してはいいだろう。次はレムの塔に急いで行くぞ、障気の中和にな」
「あぁ!早く戻ろう、皆!」
降下が始まり喜びを見せる暇もなく、ジューダスは気を引き締める為にルークに声をかける。ルークもその声に振り返り、四人に威勢をよくして声をかける。シンク達はその声に首を縦に振ると、再び急いでセフィロトを出る為に入口へ向けて走り出した。





降下する大地に皆足元に違和感を覚えつつ、ラジエイトゲートを上に昇っていった。しかしその違和感以外に他に異常もないので、入口に戻るには特に苦労はなかった。
入口に五人急いで走って戻って来たルーク達。アルビオールの前で待っていたノエルは五人に気付き、急いでアルビオールに乗り込む。五人はその行動に倣い、また走りながらアルビオールに乗り込んで行く。
「ノエル!アクゼリュスが降下した穴から魔界に飛んでくれ!そこからレムの塔の頂上に横付けしてくれ!」
「はい!」
席に急いで着いたルークは魔界にあるレムの塔への行き方を教えていく。ノエルは即座に了承を返しながらも、機器を素早い手つきで動かしていく。
「行きます!」
すぐさま飛び立つ体勢に入りノエルはアルビオールを空に浮かせる。その一言で障気を消す為の地、レムの塔へ勢いよく飛び立っていった。











「ん、あれは・・・」
外殻大地降下が本格的に始まり数十分もしたカイツールの軍港、兵士達が騒いでいた為に場の雰囲気を納めようと指揮を取っていたアルマンダイン。すると落ち着いて来た筈の兵士達が上を見て騒ぎ出した事で、アルマンダインも上を確認してみた。するとそこには人工的に作られたであろう物体、アルビオールの姿がアルマンダインの目にも確認された。
「・・・ルーク様、成功されたのですね・・・」
外殻大地降下が成功したのは自分も今の現象から理解はしていたが、実際にアルビオールというルークの旅を支えた存在を確認することでアルマンダインは安堵することが出来た。
しかしそんなアルビオールを見てアルマンダインは疑問に思う。
「あの方角はアクゼリュスの跡地と言える穴しかないが・・・どうなされるのですか?ルーク様・・・」
まさか今から障気中和に行くとは知らないアルマンダインはその航路を考え、ルークに思いを馳せる。
アルマンダインがそのアルビオールの姿を目撃している時、アルビオール内では真剣な話し合いがされていた。






「シンク、フローリアン。ルークが障気を中和する時はアルビオールで遠く離れて待っていてくれ」
「え・・・なんで・・・?」
アクゼリュスの跡地の穴に近付いている状況で、ジューダスが三人に話を切り出す。しかしフローリアンは話の意味が分からず、なんでと不安そうに訳を聞いてくる。
「障気の中和にはルークの力、超振動が必要だ。その力を使えば障気を中和出来るが、その力は第七音素をローレライの鍵に収束することで最大に力を発揮する。ルークはローレライが守る事が出来るとは言ったが、ルークと同じレプリカで第七音素で体を構成しているシンクとフローリアンは超振動が使われた際に近くにいたら巻き込まれて第七音素になって死ぬ可能性もある」
「!!えっ・・・」
「・・・成程ね」
死の可能性があると言われ驚きを見せるフローリアンに、理論に納得した様子を見せるシンク。
「分かるだろう、全てが終わろうとする今命をかけてまで中和の瞬間に立ち会おうとすることはない。お前達はアルビオールで待っていろ、まさかの可能性を無視して命を失うのは望むところではないだろう?」
「・・・うん」
「・・・ま、仕方ないね」
ここまで来て一つの失敗でシンク達の命を失う事はジューダスにもルークにも心情としてははばかられる。もしもが起こるのは避けたいジューダスの声に、二人はやむなく事情を理解してアルビオールに残る事を決断した。
しかしそこで話は終わらない。



「アリエッタ、お前もアルビオールに残れ。中和には僕とルークの二人でかかる」









10/15ページ
スキ