救う者と救われるもの 第十八話
・・・ここで少しだけ、外殻大地降下の瞬間から時は戻る。
ベルケンド付近の地にてヴァン達を無事捕らえたジェイド達。ジェイド達は神託の盾が使っていたタルタロスに自分達と、ヴァン・ラルゴ・リグレットとのみ乗り合わせている。
フリングス少将達が乗って来たタルタロスは神託の盾兵士を牢屋に入れる形で、ジェイド達の乗るタルタロスの後ろに付けている。
こんな状況になっているのはひとえにジェイド達がその状況を望んだからだ。
先を行くタルタロスの中、ジェイド達は見張りをするために共にブリッジの中に縄で縛ったヴァン達三人を壁にもたれ掛からせていた。
「う・・・ん・・・」
ブリッジでタルタロスの操作に神経を集中していたジェイド達、そこに何かはっきりしない唸り声が届いて来た。
「・・・ここは?」
「お目覚めですか?」
声の主は目を今覚ましたヴァン、何回か目をまばたかせていると声に気付いたジェイドがヴァンに歩み寄る。
「・・・貴様!死霊使い!」
眼前に迫ったジェイドに一瞬で意識を覚醒させたヴァンは勢いよく立ち上がろうとする。しかし縄が身体に食い込んでいることと、封印術で弱体化していることもあり両足で立とうとした瞬間立ちくらみを起こし、左膝をつく。
「無理はしないほうがいいですよ。もっとも無理などこれからさせるつもりはありませんがね」
その様子にジェイドは眼鏡をクイッと上げ、ジェイドらしい言葉で何度でも止めると暗に示す。
「・・・クッ、私を捕らえどこかに連行しているという事は・・・ティアから話を聞いた、ということか・・・」
眼鏡の先の視線に隙の見えない光を宿らせるジェイドを見てヴァンは彼なりの結論にたどり着き、忌ま忌ましいと悪態を乗せた瞳でジェイドを射抜こうとする。しかし視線に答えたのはジェイドではなく、そのジェイドの横につけたティアだ。
「違うわ、兄さん。私達は兄さん達のやろうとしていた事を見て来たから、こうやって止めたの」
「見て来ただと・・・?どういう事だ、ティア・・・」
「はいはーい。そのお話をするならこちらのお二人も起こしましょう、手間を省く意味でもね」
ヴァン達が起きたら全てを明かそう、それはジェイド達が話し合った上でヴァン達を諦めさせる為に決めた事だ。
過程も結末も既に今は異なる、そしてヴァン達の目指す過程と目的はほとんど達成が難しくなっている。
「・・・」
コクりと頷き壁にもたれ掛からせていた二人にティアはジェイドと近付く。起こしてから話すという事で抵抗の術がないヴァンはただ待つしかなかった。
リグレットの気付けをティア、ラルゴの気付けをジェイドがして二人も虚ろな目をしながら目覚める。最初は二人もこの状況に警戒心をあらわにしてジェイド達を見ていたが、隣にいたヴァンを見てこんな行動を取った理由を話すと飄々とした表情ではなく、真面目な顔で口にした事なので二人も黙って聞く事にした。
「では、話しますよ・・・」
その一言でジェイドから、滔々と語られていく。彼らの、自分達の、そしてルークのエルドラントまでの軌跡が・・・
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ベルケンド付近の地にてヴァン達を無事捕らえたジェイド達。ジェイド達は神託の盾が使っていたタルタロスに自分達と、ヴァン・ラルゴ・リグレットとのみ乗り合わせている。
フリングス少将達が乗って来たタルタロスは神託の盾兵士を牢屋に入れる形で、ジェイド達の乗るタルタロスの後ろに付けている。
こんな状況になっているのはひとえにジェイド達がその状況を望んだからだ。
先を行くタルタロスの中、ジェイド達は見張りをするために共にブリッジの中に縄で縛ったヴァン達三人を壁にもたれ掛からせていた。
「う・・・ん・・・」
ブリッジでタルタロスの操作に神経を集中していたジェイド達、そこに何かはっきりしない唸り声が届いて来た。
「・・・ここは?」
「お目覚めですか?」
声の主は目を今覚ましたヴァン、何回か目をまばたかせていると声に気付いたジェイドがヴァンに歩み寄る。
「・・・貴様!死霊使い!」
眼前に迫ったジェイドに一瞬で意識を覚醒させたヴァンは勢いよく立ち上がろうとする。しかし縄が身体に食い込んでいることと、封印術で弱体化していることもあり両足で立とうとした瞬間立ちくらみを起こし、左膝をつく。
「無理はしないほうがいいですよ。もっとも無理などこれからさせるつもりはありませんがね」
その様子にジェイドは眼鏡をクイッと上げ、ジェイドらしい言葉で何度でも止めると暗に示す。
「・・・クッ、私を捕らえどこかに連行しているという事は・・・ティアから話を聞いた、ということか・・・」
眼鏡の先の視線に隙の見えない光を宿らせるジェイドを見てヴァンは彼なりの結論にたどり着き、忌ま忌ましいと悪態を乗せた瞳でジェイドを射抜こうとする。しかし視線に答えたのはジェイドではなく、そのジェイドの横につけたティアだ。
「違うわ、兄さん。私達は兄さん達のやろうとしていた事を見て来たから、こうやって止めたの」
「見て来ただと・・・?どういう事だ、ティア・・・」
「はいはーい。そのお話をするならこちらのお二人も起こしましょう、手間を省く意味でもね」
ヴァン達が起きたら全てを明かそう、それはジェイド達が話し合った上でヴァン達を諦めさせる為に決めた事だ。
過程も結末も既に今は異なる、そしてヴァン達の目指す過程と目的はほとんど達成が難しくなっている。
「・・・」
コクりと頷き壁にもたれ掛からせていた二人にティアはジェイドと近付く。起こしてから話すという事で抵抗の術がないヴァンはただ待つしかなかった。
リグレットの気付けをティア、ラルゴの気付けをジェイドがして二人も虚ろな目をしながら目覚める。最初は二人もこの状況に警戒心をあらわにしてジェイド達を見ていたが、隣にいたヴァンを見てこんな行動を取った理由を話すと飄々とした表情ではなく、真面目な顔で口にした事なので二人も黙って聞く事にした。
「では、話しますよ・・・」
その一言でジェイドから、滔々と語られていく。彼らの、自分達の、そしてルークのエルドラントまでの軌跡が・・・
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