救う者と救われるもの 第十八話
「・・・へへっ、なんか照れ臭いな。そんなこと言われると」
だが素直に嬉しいと思える辺り、ルークは本来のらしさがあると言える。ふんわり柔らかくジューダスに笑顔を見せる。
「フッ、これくらいの事で満足していていいのか?成長したのはあくまでも昔に比べてだ。そこで満ち足りた顔を見せるようならお前はそこまでの男だということだ」
「うっ・・・わ、わかったよ。俺はこれくらいじゃ満足しない!もっともっと成長してみせる!・・・これでいいだろ?」
口元に皮肉げな笑みを浮かべこんな物かと述べているジューダスに、ルークは詰まりながらも勢いよく誓いを立てる。その答えにジューダスは純粋な笑みを浮かべ直す。
(僕はルークの背を押せればそれでいい、だからこれでいいんだ)
既に自らの中にあるもやもやには目はない、ルークは確かに成長していくだろう。その光景を思い浮かべればジューダスは自身が姿を消す事に異論はない。
「意気は買おう。だがそれも今日のセフィロト二つを無事に回り終えてからだ、先の事を考えるのは。だから今日、外殻大地の降下と障気の中和・・・無事に終えるぞ」
「・・・うん!」
場と意識を引き締めるジューダスのその言葉に、勢いよくルークは首を縦に振る。
誰かの為に・・・その自らの業からはジューダスは離れられない。それはジューダスからしても切っても切れない物。
あれほど心にかかっていたモヤも誰かの為にと問題に対峙すれば、些細な事へとすり替わる。関わりを持つ人間にはジューダスは全力を持って接する、本人が聞けば確実に否定するだろうがそれが彼の本質だ。ただ元からの性格と対人関係の経験値が意外に低い事から、彼の本質に気付いている人間は少なかった。それこそ昔の仲間達、そして今共に行動しているルーク達くらいのものだ。
「そろそろ宿に戻るか、シンク達も起きる頃だ」
「あぁ」
共に、ではないが吹っ切れたようにすっきりした顔になる。宿に戻るべく足を運ぶ二人、だがジューダスは自らの想いをルーク達を助ける為に意識が改めて向いてしまっている。
・・・決意はしているのだが心は揺れている、言い方は悪いのだが心から目を背けている。だがジューダスはそうでもなければ生きたいという想いを、切り捨てる事が出来ないのだ。未だ燻り続ける誰の物でもない、自らの幸せへの渇望を・・・
宿に戻り、中にあるレストランで向かい合って食事を取るルークとジューダス。朝食時にはちょうどいいのもありレストランの中にはぼちぼち人がいる。
「あれ?早いね、二人とも」
朝食を取る場に誰かが来るのはある意味必然で、寝起きとは思えないいつも通りのシンクが二人の座るテーブルまで来た。
「僕もここで食べさせてもらうよ」
「うん」
相席の申し出にルークも快く応じる。するとジューダスの隣の椅子に座るシンクの肩ごしにアリエッタとフローリアンが入口から来るのをルークが見つけた。
「う~・・・眠い~・・・」
「ダメです。寝すぎたらルーク達の出発に遅れる、です。だから目を覚ます、です。フローリアン」
両目を両手の甲でゴシゴシ擦りながら眠そうに歩くフローリアンに、それをたしなめながらアリエッタは横を歩いている。真実姉弟に見えるそのやり取りにルークは頬が緩むのを自覚しながら、二人に向けて手を振る。
「アリエッタ、フローリアン。一緒に食べないか~?」
「あ、ルーク~。うん、食べるよ~・・・ふぁ」
「はい。食べる、です」
その誘いにフローリアンはまだ眠いと間延びした口調で返し、アリエッタはちゃんと起きた声で返す。
・・・これが最後の休息時間、その時間を共に。ルークの誘いを受けた二人もルークの隣にフローリアン・アリエッタと椅子に着く。その横にジューダス・シンクとなり、円になった食卓は朗らかな場として朝食時を過ごしていった・・・
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だが素直に嬉しいと思える辺り、ルークは本来のらしさがあると言える。ふんわり柔らかくジューダスに笑顔を見せる。
「フッ、これくらいの事で満足していていいのか?成長したのはあくまでも昔に比べてだ。そこで満ち足りた顔を見せるようならお前はそこまでの男だということだ」
「うっ・・・わ、わかったよ。俺はこれくらいじゃ満足しない!もっともっと成長してみせる!・・・これでいいだろ?」
口元に皮肉げな笑みを浮かべこんな物かと述べているジューダスに、ルークは詰まりながらも勢いよく誓いを立てる。その答えにジューダスは純粋な笑みを浮かべ直す。
(僕はルークの背を押せればそれでいい、だからこれでいいんだ)
既に自らの中にあるもやもやには目はない、ルークは確かに成長していくだろう。その光景を思い浮かべればジューダスは自身が姿を消す事に異論はない。
「意気は買おう。だがそれも今日のセフィロト二つを無事に回り終えてからだ、先の事を考えるのは。だから今日、外殻大地の降下と障気の中和・・・無事に終えるぞ」
「・・・うん!」
場と意識を引き締めるジューダスのその言葉に、勢いよくルークは首を縦に振る。
誰かの為に・・・その自らの業からはジューダスは離れられない。それはジューダスからしても切っても切れない物。
あれほど心にかかっていたモヤも誰かの為にと問題に対峙すれば、些細な事へとすり替わる。関わりを持つ人間にはジューダスは全力を持って接する、本人が聞けば確実に否定するだろうがそれが彼の本質だ。ただ元からの性格と対人関係の経験値が意外に低い事から、彼の本質に気付いている人間は少なかった。それこそ昔の仲間達、そして今共に行動しているルーク達くらいのものだ。
「そろそろ宿に戻るか、シンク達も起きる頃だ」
「あぁ」
共に、ではないが吹っ切れたようにすっきりした顔になる。宿に戻るべく足を運ぶ二人、だがジューダスは自らの想いをルーク達を助ける為に意識が改めて向いてしまっている。
・・・決意はしているのだが心は揺れている、言い方は悪いのだが心から目を背けている。だがジューダスはそうでもなければ生きたいという想いを、切り捨てる事が出来ないのだ。未だ燻り続ける誰の物でもない、自らの幸せへの渇望を・・・
宿に戻り、中にあるレストランで向かい合って食事を取るルークとジューダス。朝食時にはちょうどいいのもありレストランの中にはぼちぼち人がいる。
「あれ?早いね、二人とも」
朝食を取る場に誰かが来るのはある意味必然で、寝起きとは思えないいつも通りのシンクが二人の座るテーブルまで来た。
「僕もここで食べさせてもらうよ」
「うん」
相席の申し出にルークも快く応じる。するとジューダスの隣の椅子に座るシンクの肩ごしにアリエッタとフローリアンが入口から来るのをルークが見つけた。
「う~・・・眠い~・・・」
「ダメです。寝すぎたらルーク達の出発に遅れる、です。だから目を覚ます、です。フローリアン」
両目を両手の甲でゴシゴシ擦りながら眠そうに歩くフローリアンに、それをたしなめながらアリエッタは横を歩いている。真実姉弟に見えるそのやり取りにルークは頬が緩むのを自覚しながら、二人に向けて手を振る。
「アリエッタ、フローリアン。一緒に食べないか~?」
「あ、ルーク~。うん、食べるよ~・・・ふぁ」
「はい。食べる、です」
その誘いにフローリアンはまだ眠いと間延びした口調で返し、アリエッタはちゃんと起きた声で返す。
・・・これが最後の休息時間、その時間を共に。ルークの誘いを受けた二人もルークの隣にフローリアン・アリエッタと椅子に着く。その横にジューダス・シンクとなり、円になった食卓は朗らかな場として朝食時を過ごしていった・・・
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