救う者と救われるもの 第十八話
「あ・・・」
「・・・」
隣り合わせの部屋割りだったルークとジューダス、ガチャッと扉を開けると部屋から出たとほぼ同時に顔を合わせる。
「お、おはよう。早いな、ジューダス」
「あぁ・・・お前にしてはやけに早い時間に起きたな、ルーク」
思わぬ遭遇にぎこちなく朝の挨拶をするルーク、それに彼なりの言葉で普通に返すジューダス。
「うん・・・なんか目が冴えちゃってさ。今日の事考えてたらさ」
「・・・その割に表情に陰がないが、悩んでいるという訳ではないようだな」
思い詰めた様子が見えないルークの顔を見て、ジューダスはそう聞きながらもそれでいいと思っている。
「とりあえず外で話さない?まだ朝早いから起きてる人少ないと思うし」
「そうだな」
元々気晴らしに行こうとしていた自分にルークの申し出を断る理由もない、ジューダスは肯定すると行くぞと小さく一声かけ廊下をルークとともに後にする。
二人が話場所に選んだのは宿からすぐそこにあるベンチ前、込み入った話をするわけでもないし人も早朝でそこまで気にする事もない。
「なぁジューダス。俺、どうしたのかな?」
「なんだ、薮から棒に」
周りに気をかけず普通の声量でルークはジューダスに問い掛ける。もちろんいきなりの問い掛けではジューダスも内容を把握出来るはずがない。
「あ、ごめん・・・なんか初めてなんだ、こんな気持ち。何て言うのかな・・・余裕、っていうのかどうなのか・・・」
「・・・お前が余裕と感じているならそれでいい。表情を見れば分かる、以前のお前とは比較にならんほど落ち着きが見えるからな」
自分に芽生えた物をどう表現していいのか、戸惑いながら話すルークにジューダスは自身の感じ方なのだと諭す。変わりに以前のと比較に出されたルークは首を傾げる。
「以前って・・・?」
「忘れたか?僕は以前のルークの旅の記憶を見たんだ。その時の顔は今のような穏やかな物ではなかったな、どちらかと言えば鬼気迫るような物だった」
「あぁ・・・そうか・・・って俺、そんな怖かったのか・・・?」
ジューダスに言われエンゲーブでの初めての指輪の力での出来事を思い出し、ルークは少し気恥ずかしくなる。前はそこまで違っていたのかと。
「いい意味で言えば緊張感に溢れていた、悪い意味で言えば気負い過ぎていた。しかし今のお前は余裕のような物があると言ったな?」
「う、うん」
「それはお前が成長しているからだ」
「え・・・?」
成長という思いがけない言葉に戸惑うルーク。
「何も知らない子供というのは余裕などと言っている暇もないし、見つけられん。口に出してはいても実態はそんなものだ。だがお前は比較がある分、分かりやすい。ルーク、お前は気負いが見ていて少なくなっているんだ」
「・・・そう、なのかな?そんなに時間も経ってないし、成長している感じなんて分からないけど」
「自覚など後々付いてくる物だ、人から指摘され露骨に変化するようならそれは成長ではない。少なくとも僕から見れば以前にない変化があるからこそ成長という言葉を出したんだ」
「・・・成長、かぁ」
変わると宣言した自分、だが成長というのは自分の中にはなかった。
ルーク自身まだ自覚はしていないが、成長でなければ余裕は生まれない。変化する事を目標としていれば余裕など生まれるはずがない。
様々な経験をルークもしてきた、ジューダスとの旅で先を見据えるという考え方も学んで来た。必然足を止める機会があればルークの心に色々思い浮かぶのは当然であり、これからの行動に急ぐ必要はあれど無事に済ませる事が可能性高いとわかっている今考えが別に行くのは当然であった。
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「・・・」
隣り合わせの部屋割りだったルークとジューダス、ガチャッと扉を開けると部屋から出たとほぼ同時に顔を合わせる。
「お、おはよう。早いな、ジューダス」
「あぁ・・・お前にしてはやけに早い時間に起きたな、ルーク」
思わぬ遭遇にぎこちなく朝の挨拶をするルーク、それに彼なりの言葉で普通に返すジューダス。
「うん・・・なんか目が冴えちゃってさ。今日の事考えてたらさ」
「・・・その割に表情に陰がないが、悩んでいるという訳ではないようだな」
思い詰めた様子が見えないルークの顔を見て、ジューダスはそう聞きながらもそれでいいと思っている。
「とりあえず外で話さない?まだ朝早いから起きてる人少ないと思うし」
「そうだな」
元々気晴らしに行こうとしていた自分にルークの申し出を断る理由もない、ジューダスは肯定すると行くぞと小さく一声かけ廊下をルークとともに後にする。
二人が話場所に選んだのは宿からすぐそこにあるベンチ前、込み入った話をするわけでもないし人も早朝でそこまで気にする事もない。
「なぁジューダス。俺、どうしたのかな?」
「なんだ、薮から棒に」
周りに気をかけず普通の声量でルークはジューダスに問い掛ける。もちろんいきなりの問い掛けではジューダスも内容を把握出来るはずがない。
「あ、ごめん・・・なんか初めてなんだ、こんな気持ち。何て言うのかな・・・余裕、っていうのかどうなのか・・・」
「・・・お前が余裕と感じているならそれでいい。表情を見れば分かる、以前のお前とは比較にならんほど落ち着きが見えるからな」
自分に芽生えた物をどう表現していいのか、戸惑いながら話すルークにジューダスは自身の感じ方なのだと諭す。変わりに以前のと比較に出されたルークは首を傾げる。
「以前って・・・?」
「忘れたか?僕は以前のルークの旅の記憶を見たんだ。その時の顔は今のような穏やかな物ではなかったな、どちらかと言えば鬼気迫るような物だった」
「あぁ・・・そうか・・・って俺、そんな怖かったのか・・・?」
ジューダスに言われエンゲーブでの初めての指輪の力での出来事を思い出し、ルークは少し気恥ずかしくなる。前はそこまで違っていたのかと。
「いい意味で言えば緊張感に溢れていた、悪い意味で言えば気負い過ぎていた。しかし今のお前は余裕のような物があると言ったな?」
「う、うん」
「それはお前が成長しているからだ」
「え・・・?」
成長という思いがけない言葉に戸惑うルーク。
「何も知らない子供というのは余裕などと言っている暇もないし、見つけられん。口に出してはいても実態はそんなものだ。だがお前は比較がある分、分かりやすい。ルーク、お前は気負いが見ていて少なくなっているんだ」
「・・・そう、なのかな?そんなに時間も経ってないし、成長している感じなんて分からないけど」
「自覚など後々付いてくる物だ、人から指摘され露骨に変化するようならそれは成長ではない。少なくとも僕から見れば以前にない変化があるからこそ成長という言葉を出したんだ」
「・・・成長、かぁ」
変わると宣言した自分、だが成長というのは自分の中にはなかった。
ルーク自身まだ自覚はしていないが、成長でなければ余裕は生まれない。変化する事を目標としていれば余裕など生まれるはずがない。
様々な経験をルークもしてきた、ジューダスとの旅で先を見据えるという考え方も学んで来た。必然足を止める機会があればルークの心に色々思い浮かぶのは当然であり、これからの行動に急ぐ必要はあれど無事に済ませる事が可能性高いとわかっている今考えが別に行くのは当然であった。
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