救う者と救われるもの 第三話

「ん・・・ううん・・・」
「目覚めたか」
「ん・・・?うわぁ!!」
ルークは側にいたジューダスの声にビクッ!!と体をこわばらせて飛び起きた。
「いきなり大声を出すな、耳に響く」
耳を押さえながら顔をしかめるジューダスに寝起きながらもルークは申し訳なさそうな顔になる。
「あ・・・ご、ごめん」
「起きたなら宿に行くぞ」
「えっ・・・えと・・・」
俺って寝てたの、そうルークが呟くとジューダスははあと溜め息をついた。
「そうだ。僕も先程起きたばかりだが横を見たらお前が普通に寝ていたのでな、起きるまで待っていた」
そのジューダスの言葉にルークは顔が真っ赤になっていた。
(うわ、てことは俺あの後すぐに寝てしまったんだ・・・それでこの人に起きるまで待ってもらったって事だよな。・・・すっげぇ恥ずかしい)
実際ルークは意思決意をして天を見上げた後、そっと目を閉じていると本人も気付かない内に熟睡してしまっていた。
「・・・どうでもいいが宿に向かうぞ。あの女が待っている」
ルークが羞恥心に身悶えていると、立ち直る時間を待つのがもったいないと思ったジューダスが仕方ないという雰囲気で出発を促した。
辺りは既に夕焼けの風景になっていることから、もう食糧騒ぎも収まっているとルークは思い出していた。
「あ・・・わかった」
「・・・貴様には聞くことがある。話は夜だ」
そう言い、ジューダスは先に宿へと向かっていった。
(そうだ・・・ちゃんと話をしなきゃ)
彼に自分の事を説明しなければいけない。しかし、
(どう説明したらいいんだろう・・・)
ルークはお世辞にも口がうまいと言えるような柄ではない。現状の自分だけでも精一杯なルークにちゃんと説明出来るか不安であった。
(でも・・・伝えなきゃ)
話さなければ話にもならない事はルークにも分かってる、どう説明しようかと宿に戻りながらルークは考えていた。



宿に入り、ティアと合流した二人。その後の宿での行動はルークは一人で何かを考え込み、ジューダスは地図とにらめっこ、ティアは二人があまりにも真剣な表情なので話しかける事が出来ずに手持ちぶさたでいる。その場にいるティアは気まずさで潰されそうな程に居心地が悪そうだ。



(・・・余りにも地形が違う。時間が経っても地形にここまでの変化は起きん。やはりここは異世界になるのか・・・)
今まで聞いたことのない地理を意味する単語、その単語の意味を調べてみようとジューダスは宿の主人に地図を借りた。その地図を見てジューダスは仮定としていたもう一つの異世界に来てしまうという結論にたどりついてしまった。
(僕にどうしろというんだ・・・)
ジューダスもこの状況に対応出来ていない。だがそれも当然であろう。イレギュラーに人は総じて弱い。ジューダスも例外ではなかった。更には自らの存在意義というものが確立出来ていない事がジューダスの混乱に拍車をかけていた。
最初はマリアンの為、次はカイル達の為、しかし今回は?ジューダスは何をするべきか、何のために行動すればいいのかと迷っていた。
(・・・ヤツの話を聞かねばどうにもならんな)
自分が何のために行動するのか、それを判断するには知る必要があるとジューダスは早くゆっくり話せる時間になってくれと願っていった。





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