救う者と救われるもの 第十七話

・・・残るセフィロトは後三つ。いや、後二つ。ダアトからケテルブルク近くの平野にまで飛んだアルビオール、その着陸地点からケテルブルクを経由したルーク達はロニール雪山までノンストップで行き、ルーク達はロニール雪山のセフィロトを何事もなく解除することが出来た。これで残すはアブソーブとラジエイトゲート・・・この二大セフィロトの二つのみ。







ルーク達はセフィロトの前にて否応なしに、緊張してしまう。
「いよいよか・・・」
操作板の操作を終え、上のリングの状態を表す板をルークは見上げる。
「あぁ、残り二つ。ここまで来れば一気に行く。今までとは違い、アブソーブゲートからラジエイトゲート。そしてそこからだ、重要なのは」
「・・・うん」
同じように四人上を見つめる中、ジューダスが確認をするように声をかける。ルークも心得ていると首を縦に振ると、ジューダスが一人視線をいつものようにまっすぐ向ける。
「戻るぞ、感傷に浸るのはケテルブルクで休む時でいい」
「そうだね、戻ろうか」
シンクの同意の声をきっかけに、アリエッタとフローリアンもそうしようと首を振る。
「うん、今日はゆっくり休もう。じゃあ戻ろう」
ルークの声も出て来た事で、五人共セフィロトを後にしていく。






今日は休む、それはジューダスが提案した事だ。文字通り明日にルーク達はこの星の命運をかけた、二大セフィロトへの行軍をすることにした。更に言えばアブソーブからラジエイトと、休憩を挟まず外殻大地降下の作業に向かう事も。

そして・・・その後、外殻大地降下中にレムの塔に行き障気中和を続けざまにやる事も。

障気中和は外殻大地降下後の人々の混乱や障気の脅威を一刻も早く退け避ける為にも必要だが、何故レムの塔なのか?それはユリアシティ以外で唯一残る大地で、預言保守派やヴァン達が邪魔しない土地であるからだ。よもやレムの塔で障気を中和などと考えつかないだろうし、これは誰にも告げていない。この考えは誰にも読めないだろうと、四人はジューダスに太鼓判を押した。

だがこれは強行軍とも言える程、重要事項を一日二日で詰め込んだ無茶な物だ。しかしルーク達は以前アブソーブゲートからヴァンを倒してから超振動でラジエイトゲートに行ってセフィロトを操作しようとしていた。以前と違い妨害のない現状、ルークはこの強行軍を出来る物と信じてジューダスの案を受け入れた。

ケテルブルクで休むと言ったのは強行軍の前の鋭気を養う為、それが目的だ。全てを明日に、ジューダスは急ぐ事も大事だがと前日の休養に転じる事にした。

そしてノエルには以前アルビオールでケテルブルクに来た時、機器が凍り付きメンテナンスが必要になるという状況があったと話しておいた。ノエルはそれらを踏まえ対策を取りますと言っていたので、彼女も休養に使える余裕の時間は多くなるだろう。






ケテルブルクに戻り、宿を取ったルーク達。数多の時を経てようやく掴みかけた希望、それを叶える為の一晩の休養。

熱くなるこの想いにルークは宿を取った後そのまま部屋の中でじっと出来ず、宿から出てケテルブルクの街の中で一人佇んでいた。






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