救う者と救われるもの 第十五話
「・・・では僕は一人でローレライと話してくる。返答はどのような形であれ、後で伝えにくる。部屋からは出るな」
指輪をルークの掌からつかみ取り、踵を返して部屋の出入口で立ち止まる。そして待っていろと釘をさすと、ジューダスは瞳に悲しみを燈したままうなだれるルークを一瞥し、扉を開けその場を後にしていった。
・・・そしてシェリダンの街の中、狭い路地の袋小路で壁に背をもたれ掛かる状態になると、ジューダスは手の中の指輪を見ながらおもむろに口を開く。
「話は聞いていただろう?ローレライ」
『・・・あぁ』
一応街の中ということで、ローレライは姿を見せる事なく小声でジューダスに答える。
『ルークの超振動での障気中和・・・ルークが乖離するか、そして第七音素の問題についてだが』
「それについては問題ない、そう言いたいのだろう。ローレライ」
『・・・何?』
呼び出しに簡潔に答えようとしたローレライ、だがジューダスはそれより早く疑問ではなく確信をしているという響きで返す。
『何故そう言い切れる?そなたは先程我に可能性を問いたいと言ったはずだ』
「それは未来のローレライが送った、この指輪だ。やり直すルークに気遣うように様々な異能をこの指輪はことごとく発揮してきた。更に言えば指輪には今のお前を地核から呼び寄せるようにも仕組まれていた。そして今お前は指輪に何の違和感もなく、同化している・・・仮定ではあるが僕はそれらを繋ぎ合わせ、ある結論に達した。それは障気中和をルークが消えないよう、サポートすることが指輪の最大の目的ではないかという結論にな」
『・・・っ!?』
指輪と同化しているローレライではあるが、戸惑いの声が出そうになるのをぐっと抑える。その動作なきこぼれた息に、ジューダスは強い視線を向ける。
「図星か」
『・・・確かに間違いはない。未来の我はルークが乖離を起こさぬようにと、心を痛めぬようにと自らの力をこの指輪に込めた・・・そもそもその力の源は我が第七音素集合体である事からわかるように、第七音素だ。我が同化するに苦労の余地はない、何せ我自身なのだからな。そして今この指輪に宿る理由は第七音素を障気中和の時に不足なきよう、我が監視役を務めあげる事だったのだ』
「だからお前はアクゼリュスで最初からついていくつもりだったと言ったんだな?」
『その通りだ』
見透かされたローレライ、いや未来のローレライの思考。確かに全てジューダスの考え通りだ。人類が生き延びる以上、ルークは障気中和は絶対必要だと言うだろう。だがどうなるかはわからないルークの歩む道、もしかすれば障気中和はタルタロスで行うのではなく超振動で行わなければならない事態も未来のローレライは考えた。そこで指輪に込めた最大の役割、それは第七音素を今のローレライとともに補給させてルークと一万以上のレプリカの代用にさせるというのが最も大きな物だったのだ。むろん今までの指輪の力もルークの為ではあるが、これが本題と言っても過言ではなかった。
・・・ジューダスは尚もその思考を読み取っていた。もしくは中和の問題をどうするかと考えていた時に引っ掛かりを覚え、思考を深くし続けて今までの点を組み合わせたのだろう。
そのことにローレライは感心をするしかないが、同時に疑問を覚える。
『・・・何故、ルークを遠ざけた?』
そこまでの考えにたどり着いているのなら、ジューダスの性格ならルークの目の前で堂々と聞くはず。だがジューダスはルークを来ないよう、突き放すように自分と一対一の対談を作った。これはおかしいとローレライは思いながらジューダスに質問する。
「・・・これはあいつらに話していい内容じゃない。だから僕はこういう形を作りたかったんだ」
返って来た言葉は重かった。ローレライはジューダスのフイと向けられた横の壁を見る顔に、苦々しさを表すものがあると見て取って沈黙する。
.
指輪をルークの掌からつかみ取り、踵を返して部屋の出入口で立ち止まる。そして待っていろと釘をさすと、ジューダスは瞳に悲しみを燈したままうなだれるルークを一瞥し、扉を開けその場を後にしていった。
・・・そしてシェリダンの街の中、狭い路地の袋小路で壁に背をもたれ掛かる状態になると、ジューダスは手の中の指輪を見ながらおもむろに口を開く。
「話は聞いていただろう?ローレライ」
『・・・あぁ』
一応街の中ということで、ローレライは姿を見せる事なく小声でジューダスに答える。
『ルークの超振動での障気中和・・・ルークが乖離するか、そして第七音素の問題についてだが』
「それについては問題ない、そう言いたいのだろう。ローレライ」
『・・・何?』
呼び出しに簡潔に答えようとしたローレライ、だがジューダスはそれより早く疑問ではなく確信をしているという響きで返す。
『何故そう言い切れる?そなたは先程我に可能性を問いたいと言ったはずだ』
「それは未来のローレライが送った、この指輪だ。やり直すルークに気遣うように様々な異能をこの指輪はことごとく発揮してきた。更に言えば指輪には今のお前を地核から呼び寄せるようにも仕組まれていた。そして今お前は指輪に何の違和感もなく、同化している・・・仮定ではあるが僕はそれらを繋ぎ合わせ、ある結論に達した。それは障気中和をルークが消えないよう、サポートすることが指輪の最大の目的ではないかという結論にな」
『・・・っ!?』
指輪と同化しているローレライではあるが、戸惑いの声が出そうになるのをぐっと抑える。その動作なきこぼれた息に、ジューダスは強い視線を向ける。
「図星か」
『・・・確かに間違いはない。未来の我はルークが乖離を起こさぬようにと、心を痛めぬようにと自らの力をこの指輪に込めた・・・そもそもその力の源は我が第七音素集合体である事からわかるように、第七音素だ。我が同化するに苦労の余地はない、何せ我自身なのだからな。そして今この指輪に宿る理由は第七音素を障気中和の時に不足なきよう、我が監視役を務めあげる事だったのだ』
「だからお前はアクゼリュスで最初からついていくつもりだったと言ったんだな?」
『その通りだ』
見透かされたローレライ、いや未来のローレライの思考。確かに全てジューダスの考え通りだ。人類が生き延びる以上、ルークは障気中和は絶対必要だと言うだろう。だがどうなるかはわからないルークの歩む道、もしかすれば障気中和はタルタロスで行うのではなく超振動で行わなければならない事態も未来のローレライは考えた。そこで指輪に込めた最大の役割、それは第七音素を今のローレライとともに補給させてルークと一万以上のレプリカの代用にさせるというのが最も大きな物だったのだ。むろん今までの指輪の力もルークの為ではあるが、これが本題と言っても過言ではなかった。
・・・ジューダスは尚もその思考を読み取っていた。もしくは中和の問題をどうするかと考えていた時に引っ掛かりを覚え、思考を深くし続けて今までの点を組み合わせたのだろう。
そのことにローレライは感心をするしかないが、同時に疑問を覚える。
『・・・何故、ルークを遠ざけた?』
そこまでの考えにたどり着いているのなら、ジューダスの性格ならルークの目の前で堂々と聞くはず。だがジューダスはルークを来ないよう、突き放すように自分と一対一の対談を作った。これはおかしいとローレライは思いながらジューダスに質問する。
「・・・これはあいつらに話していい内容じゃない。だから僕はこういう形を作りたかったんだ」
返って来た言葉は重かった。ローレライはジューダスのフイと向けられた横の壁を見る顔に、苦々しさを表すものがあると見て取って沈黙する。
.