救う者と救われるもの 第十五話
・・・そして今オールドラントの命運を左右する一角であり、もっともその行動の意味が大きい存在であるルークはメジオラ高原に来ていた。
「ふぅ・・・ここも終わったよ、皆」
「じゃあ戻ろうよ。そろそろアルビオールとやらも実験飛行を開始し終わったんじゃないの?」
セフィロトのリング前で交わされるルークとシンクの会話。ルーク達はシェリダンにここに来る前に一度足を運んでいた。だがその時点でアルビオールを作っていた作業場に行った時、アルビオールはまだ試験飛行を開始していなかった。そこでまだ時間がかかるから適当に時間を潰してくれとイエモン達に言われたので、ルーク達は先にメジオラ高原に行く事にしたのだ。そして余談だがイエモン達を見て泣きそうになったルークだったが、「どうしたの、ルーク?」というフローリアンからの気遣いになんとか曖昧な笑みではあるが笑ってなんでもないと返して泣く事はなかった。
メジオラ高原からルーク達は戻り、再びシェリダンの集会場に足を運ぶ。すると焦ったイエモン達の顔が彼らの目に飛び込んできた。その事に知っていた事を知らせずにいたことを少し申し訳なくいたルークだったが、ジューダスから試験飛行の事故の事実を示唆することを伝える危険性として二号機に初号機の事件を反映させた改良が出来なくなり自分達の身に墜落の危険が降り懸かるかもしれないと言われた。
(・・・すみません)
イエモン達と飛んでいたギンジに対する謝罪を心で呟き、ルークはイエモン達に近づく。
「あの、どうしたんですか?」
「・・・おぉ、お前さんか・・・実はアルビオールが試験飛行をしている最中、墜落したんじゃ」
「それで困った事に高原の中に落ちてしまってねぇ。それで墜落した場所も悪くて、急いで助けにいかないとギンジが危ないのよ。陛下の勅命でアルビオールを借りに来たあなたたちには悪いけど、この状況をどうにか解決しないとアルビオールは貸し出せないの・・・」
イエモンとタマラの焦りと困惑が入り交じった説明に、ルークはすみませんとまた心で思いつつ一歩踏み締めて切り出す。
「だったら俺達がギンジさんを助けに行きます」
「・・・え?」
「いいのかい?」
「行きたいんです。だから俺達に任せて下さい」
言わなかったのは自らのせいでもあるので、ルークは強くはっきりと告げる。
「・・・なら任せるわ」
強い意志がこもったルークの言葉にタマラが委任すると託す。その瞳にはルークに対する信頼を感じ、優しく見守るような物になっていた。イエモンを見ればタマラの発言に驚いているが。
「それじゃあ早速俺達は行ってきます。アリエッタの友達につかまって行きますからすぐに戻って来れると思うので」
以前とは違いアルビオールを固定してから助けるという手間を省けるだろうとルークはそうイエモン達に告げ、早々と集会場を後にしていく。
「よし、じゃあ行こうか」
「ちょっと待ってよ」
街の外に出た事でアリエッタの魔物達に早く連れていってもらおうとした矢先、シンクの制止の声が響く。心なしか少し楽しげだ。
「思ったけどそんなに人数なんて必要ないんじゃない?人一人を助けるくらいなんだから。せいぜい二人もいれば十分事足りるよ。どうせだから他の三人はバチカルにいた時のようにここで待機でいいんじゃないの?」
「・・・まあ確かにそうだな。だがフローリアンとアリエッタはあまりそういった作業に経験はないし、力仕事という柄でもない。二人は必然的に決まったが最後の一人は僕らの三人の内になるが、誰が残る?」
その質問に間髪入れず、シンクは勝ち誇ったような笑みを口元に浮かべて答えた。
「あんたが残るんだよ、いっつも先に先にって根を詰めて考えてんだからここらで休憩しな」
ここで来たか。シンクのバチカルでの仕返しを仕掛けてきたことにジューダスは苦く下を向いた。
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「ふぅ・・・ここも終わったよ、皆」
「じゃあ戻ろうよ。そろそろアルビオールとやらも実験飛行を開始し終わったんじゃないの?」
セフィロトのリング前で交わされるルークとシンクの会話。ルーク達はシェリダンにここに来る前に一度足を運んでいた。だがその時点でアルビオールを作っていた作業場に行った時、アルビオールはまだ試験飛行を開始していなかった。そこでまだ時間がかかるから適当に時間を潰してくれとイエモン達に言われたので、ルーク達は先にメジオラ高原に行く事にしたのだ。そして余談だがイエモン達を見て泣きそうになったルークだったが、「どうしたの、ルーク?」というフローリアンからの気遣いになんとか曖昧な笑みではあるが笑ってなんでもないと返して泣く事はなかった。
メジオラ高原からルーク達は戻り、再びシェリダンの集会場に足を運ぶ。すると焦ったイエモン達の顔が彼らの目に飛び込んできた。その事に知っていた事を知らせずにいたことを少し申し訳なくいたルークだったが、ジューダスから試験飛行の事故の事実を示唆することを伝える危険性として二号機に初号機の事件を反映させた改良が出来なくなり自分達の身に墜落の危険が降り懸かるかもしれないと言われた。
(・・・すみません)
イエモン達と飛んでいたギンジに対する謝罪を心で呟き、ルークはイエモン達に近づく。
「あの、どうしたんですか?」
「・・・おぉ、お前さんか・・・実はアルビオールが試験飛行をしている最中、墜落したんじゃ」
「それで困った事に高原の中に落ちてしまってねぇ。それで墜落した場所も悪くて、急いで助けにいかないとギンジが危ないのよ。陛下の勅命でアルビオールを借りに来たあなたたちには悪いけど、この状況をどうにか解決しないとアルビオールは貸し出せないの・・・」
イエモンとタマラの焦りと困惑が入り交じった説明に、ルークはすみませんとまた心で思いつつ一歩踏み締めて切り出す。
「だったら俺達がギンジさんを助けに行きます」
「・・・え?」
「いいのかい?」
「行きたいんです。だから俺達に任せて下さい」
言わなかったのは自らのせいでもあるので、ルークは強くはっきりと告げる。
「・・・なら任せるわ」
強い意志がこもったルークの言葉にタマラが委任すると託す。その瞳にはルークに対する信頼を感じ、優しく見守るような物になっていた。イエモンを見ればタマラの発言に驚いているが。
「それじゃあ早速俺達は行ってきます。アリエッタの友達につかまって行きますからすぐに戻って来れると思うので」
以前とは違いアルビオールを固定してから助けるという手間を省けるだろうとルークはそうイエモン達に告げ、早々と集会場を後にしていく。
「よし、じゃあ行こうか」
「ちょっと待ってよ」
街の外に出た事でアリエッタの魔物達に早く連れていってもらおうとした矢先、シンクの制止の声が響く。心なしか少し楽しげだ。
「思ったけどそんなに人数なんて必要ないんじゃない?人一人を助けるくらいなんだから。せいぜい二人もいれば十分事足りるよ。どうせだから他の三人はバチカルにいた時のようにここで待機でいいんじゃないの?」
「・・・まあ確かにそうだな。だがフローリアンとアリエッタはあまりそういった作業に経験はないし、力仕事という柄でもない。二人は必然的に決まったが最後の一人は僕らの三人の内になるが、誰が残る?」
その質問に間髪入れず、シンクは勝ち誇ったような笑みを口元に浮かべて答えた。
「あんたが残るんだよ、いっつも先に先にって根を詰めて考えてんだからここらで休憩しな」
ここで来たか。シンクのバチカルでの仕返しを仕掛けてきたことにジューダスは苦く下を向いた。
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