救う者と救われるもの 第十五話

「・・・うむ、すまんな導師よ。だがカーティス大佐、そなたらはどうするのだ?一度グランコクマに戻るか?」
イオンに礼を言い、ジェイドに行動指針を聞く陛下。その質問にジェイドは瞳を細くして、「少しいいですか」と前置きをして四人に振り返る。
「私の個人的な考えですが、彼らに追いつける可能性はもうほとんどないと思います。ですので私達は別に世界を救う為に尽力するべきだと思います。今から私が考えたこれからの道筋を述べますので、聞いていただけますか?」
ジェイドの前置きに一先ず話を聞くべきだと、全員が真面目な顔になり首を縦に振る。それを確認するとジェイドは陛下に向かい直り、「すみません」と謝り陛下に真剣に切り出す。
「話をするにあたり出来れば陛下に協力していただきたいことがあるのですが・・・よろしいのでしょうか?」
「うむ、なんだ?わしに出来る事があれば出来る限りは協力しよう」
「ありがとうございます・・・では話をさせていただきます・・・」



「                                                          」







「・・・という流れにしたいのです」
ジェイドの話が全て終わり、私室にいる面々はそれぞれに変わった表情を見せている。陛下はどこか難しく表情が明るく見えない様子でうなっている。ナタリアはそんな陛下に心配の目を向けている。イオンも少し考えるように手を頬に持って行き、困惑の表情になっている。ティア、ガイ、アニスの三人はイオンと同じように困惑気味ではあるが互いを見やる視線には共通に頷ける物があると言っていた。それは‘いけるかもしれない’という希望に満ちた物だった。
「・・・・・・大変厳しい事ではあるが出来ない事はないだろう。今なら貴族達の了解も取れるだろうからな・・・協力しよう」
「ありがとうございます。それでもちろんマルクトとしましてもキムラスカにだけ負担をかける訳にはいきません。こちらもピオニー陛下に申し上げ、同じようにするようにさせていただきますので」
案自体には反対ではない陛下も苦々しい顔をしながらもジェイドの案に乗り気だ。ティア達は陛下の言葉に少し申し訳なさ気ながらも、感謝の意を思わず礼をすることで表している。



「それでは我々はしばらくバチカルに滞在させていただきます。グランコクマから返答が届きましたら直ちに出立しますので」
「うむ、しばしの間ではあるがゆっくりされるがよい」
「では陛下、僕はモースと一緒にダアトに戻りたいと思います」
「そうか。気をつけるがよい」
「それではイオン様、途中まで見送らせていただきます。陛下、失礼してもよろしいでしょうか?」
「うむ」
退出して全てに備えるべきだというイオンを見送るべく、ジェイド達も陛下の部屋を出て行った。







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