救う者と救われるもの 第十五話
「ロ・・・ローレライ・・・?」
「うむ。導師や他の皆は直に見た訳でも聞いた訳でもないからその存在を疑う所であろう。だがそれは紛れも無い事実、わしが見た物を全て合わせて説明をしよう・・・」
イオン筆頭にローレライと聞きどういう事だと戸惑うが陛下は間違いないと断言する。そしてそれらを核心とさせるため、陛下は今までのルークとの経緯を話し出した・・・
「・・・という訳だ」
「・・・ローレライから渡された指輪・・・ですか・・・」
「そうだ。ルークが見せた過去はそなたらの記憶と違いないはずだ。何なら何かわしに質問をしてみよ」
「いえ、結構です。ローレライならそのような力を持っていてある意味当然ですので、疑う余地もありません」
手紙の中身も交えた説明を聞いたティア達はだからか、と納得してしまう。だが重要な部分、過去を知らないイオンに対し彼の死だけは話してはいない。シンク・フローリアンの事とイオンがレプリカだと全員が知っていたというと、イオンは悲しそうに目を一瞬だけ伏せたが事実を受け止めるとまた話を改めて真っすぐな瞳で聞いていた。これならイオンは大丈夫だと確信する分には十分過ぎる物だと、ティア達は思った。
「とはいえ、六神将の二人との接触はジューダスの目論見にもなかった事。二人の件については上手くいったからよかったが、ルーク達には時間というより心理的な余裕が少なくなった。恐らくではあるが、ルーク達は残りのセフィロト全てを回りきるまではバチカルには戻ってはこんな」
「そうでしょうね・・・ローレライからの協力がある以上、我々に力を貸してくれと申し出る必要がない。それに我々より先駆けてシェリダンに行っている可能性が高い。アルビオールを借りられるだろうから、彼らには追いつける可能性はほとんどありません」
事情を把握したジェイドからのルークへの接触は無理だとの暗に示した言葉に、どうするべきかとの迷いの表情が現れる。
さぁ、これからは何の為に行動を起こす?
そう問われている面々の中で、時間をかけて考え表情を新たにしたのはイオンであった。
「・・・僕はダアトに戻らせていただきます」
「・・・イオン様?」
「アニス、僕は今の状況ではルークという人達の力になれそうにはなさそうです。ダアト式封呪の解除はローレライが行っているようですし」
「そんな!イオン様!」
「落ち着いて下さいアニス。僕はダアトに戻り、預言が無くなった後に備えてその後の対策を考えたいんです」
「対策、ですか?」
「はい。あなたたちから預言が詠めなくなった後の世界の話を聞き、そしてその世界とは大きく違う変革をしていると知りました。そんな今、僕も導師としてダアトを導かなくてはいけません。預言が無くなった後にダアトの人達は混乱すると思われるので、その対策を考えたいんです」
「・・・そういう事なんですね」
「はい。ですがアニスはルークという人をジェイド達と共に助けたいのでしょう。だから導師の名にかけて命じます。今この時をもってアニス・タトリン、あなたを導師守護役を解除します。そしてこれからあなたはジェイド達と共に行動して、ルークという人達を助け世界を救って下さい」
「・・・はい!」
自らの考えを教えてくれるイオンにアニスは嬉しくもあり、懐かしい物を覚える。前も導師守護役を解任された時は詳しい事情は知らせてはくれなかった。目の前にモースがいたとはいえ、何も告げずに去られた時は辛い物があった。だが今ははっきりと自分のやりたい事を認め、その枷になる立場を廃除してくれた。
真顔で告げられた解任宣告にアニスが曇りない笑顔で返すと、イオンもやんわりと笑みを返し、
「がんばって下さい」
とアニスに告げた。
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「うむ。導師や他の皆は直に見た訳でも聞いた訳でもないからその存在を疑う所であろう。だがそれは紛れも無い事実、わしが見た物を全て合わせて説明をしよう・・・」
イオン筆頭にローレライと聞きどういう事だと戸惑うが陛下は間違いないと断言する。そしてそれらを核心とさせるため、陛下は今までのルークとの経緯を話し出した・・・
「・・・という訳だ」
「・・・ローレライから渡された指輪・・・ですか・・・」
「そうだ。ルークが見せた過去はそなたらの記憶と違いないはずだ。何なら何かわしに質問をしてみよ」
「いえ、結構です。ローレライならそのような力を持っていてある意味当然ですので、疑う余地もありません」
手紙の中身も交えた説明を聞いたティア達はだからか、と納得してしまう。だが重要な部分、過去を知らないイオンに対し彼の死だけは話してはいない。シンク・フローリアンの事とイオンがレプリカだと全員が知っていたというと、イオンは悲しそうに目を一瞬だけ伏せたが事実を受け止めるとまた話を改めて真っすぐな瞳で聞いていた。これならイオンは大丈夫だと確信する分には十分過ぎる物だと、ティア達は思った。
「とはいえ、六神将の二人との接触はジューダスの目論見にもなかった事。二人の件については上手くいったからよかったが、ルーク達には時間というより心理的な余裕が少なくなった。恐らくではあるが、ルーク達は残りのセフィロト全てを回りきるまではバチカルには戻ってはこんな」
「そうでしょうね・・・ローレライからの協力がある以上、我々に力を貸してくれと申し出る必要がない。それに我々より先駆けてシェリダンに行っている可能性が高い。アルビオールを借りられるだろうから、彼らには追いつける可能性はほとんどありません」
事情を把握したジェイドからのルークへの接触は無理だとの暗に示した言葉に、どうするべきかとの迷いの表情が現れる。
さぁ、これからは何の為に行動を起こす?
そう問われている面々の中で、時間をかけて考え表情を新たにしたのはイオンであった。
「・・・僕はダアトに戻らせていただきます」
「・・・イオン様?」
「アニス、僕は今の状況ではルークという人達の力になれそうにはなさそうです。ダアト式封呪の解除はローレライが行っているようですし」
「そんな!イオン様!」
「落ち着いて下さいアニス。僕はダアトに戻り、預言が無くなった後に備えてその後の対策を考えたいんです」
「対策、ですか?」
「はい。あなたたちから預言が詠めなくなった後の世界の話を聞き、そしてその世界とは大きく違う変革をしていると知りました。そんな今、僕も導師としてダアトを導かなくてはいけません。預言が無くなった後にダアトの人達は混乱すると思われるので、その対策を考えたいんです」
「・・・そういう事なんですね」
「はい。ですがアニスはルークという人をジェイド達と共に助けたいのでしょう。だから導師の名にかけて命じます。今この時をもってアニス・タトリン、あなたを導師守護役を解除します。そしてこれからあなたはジェイド達と共に行動して、ルークという人達を助け世界を救って下さい」
「・・・はい!」
自らの考えを教えてくれるイオンにアニスは嬉しくもあり、懐かしい物を覚える。前も導師守護役を解任された時は詳しい事情は知らせてはくれなかった。目の前にモースがいたとはいえ、何も告げずに去られた時は辛い物があった。だが今ははっきりと自分のやりたい事を認め、その枷になる立場を廃除してくれた。
真顔で告げられた解任宣告にアニスが曇りない笑顔で返すと、イオンもやんわりと笑みを返し、
「がんばって下さい」
とアニスに告げた。
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