救う者と救われるもの 第十四話

「これはシェリダンの技術者達に宛てた書状だ。この書状を見せればアルビオールを公にルーク達が使えるよう、願い出れる。アルビオールを円滑に貸し出せるように書いた物だ、持って行くがいい」
「ありがとうございます!」
気遣いにありがたく声を上げ、ルークは書状を受け取る。するとようやく意識を取り戻したモースがルーク達をどこか戸惑いを隠せずに凝視している。その視線に気付いた陛下はモースに目をやる。
「・・・ルークよ、行くがよい。モースは暴走するようであればわしが責任を持って止めさせてもらう。そなたらは早くセフィロトを回って来てくれ」
「・・・はい」
どう転ぶかは時だけが決定権を持つ、ルークは暴走しないことをモースに願いながら陛下の言葉に頷き部屋を後にするべく扉に向かう。ローレライも指輪の中に戻りジューダスと二人だけの状態になると、一礼をして二人は扉を開けて会議場を後にした。









「待たせたな」
「・・・随分かかったね。どうだったの?」
部屋に入り三人に声をかけるジューダス。その声に仮面を外していたシンクが恨みがましい目でジューダスを見ながら経過を聞いてきた。二人はそんなシンクの両脇にいて、純粋な瞳でジューダスの返事を待つ。
「大方成功だ。後は僕たち次第、といった所だな」
「へぇ、なら次はどうするんだい?残りのセフィロトもそんなに数はないけど、次はメジオラ高原辺りに行くの?」
「あぁ、そうだ。ちょうどシェリダンに行く用事も出来た。目指すはシェリダンだ」
「そう。なら行こうか」
いそいそと仮面を被り直すシンクに二人もルーク達の隣に行く。ルーク達が先に部屋を出て、ジューダスがその後に続こうとしたらシンクがその隣に来てボソッと呟いた。
「・・・今度はあんたをあの二人のお守りにつけさせるからね」
その言葉にジューダスは申し訳ない気持ちになり、足を止める。視線からやってくれたなという気持ちは感じ取ってはジューダス自身もいた。
(・・・仕方ないか)
はめる形で二人を押し付けた、それは悪いとも思ってはいたから素直にそれは受けるべき。ジューダスも覚悟はするべきだと表情で申し訳なさそうにしていると、シンクはその顔を見て付け加えてきた。
「あんたもあの時間を味わうべきだ。ま・・・あの時間は不思議と不快じゃなかったしね」
そう皮肉げに楽しそうに呟くとシンクは先に足を進めていく。だがジューダスは告げられた言葉に自嘲じみた笑みを浮かべる。
「僕は十分に満たされているさ」
昔の自分に言われているかのような言葉にジューダスはふとした錯覚を覚えた。この仲間という感覚は他に変えようもない、だからもう少し前に出ろ。シンクは不器用な話し方ながらそう言ったのだと、自分に似ている彼に告げられジューダスとなる前のリオンだった頃の感覚に陥っていた。
「寧ろ知るべき、感じるべきなのはお前だ」
シンクの話し方は遠回りなジューダスへの勧めだが、ジューダスはそれを知っている。だからこそシンクにこそそれをより良く知ってほしいと思い、ジューダスは先を行く後ろ姿を見ながら既視感を覚えて陛下の部屋を後にしていった。














未来は作るだけではない。守り続けなくてはいけない



後を残すに守り手は必須となる



善を知りしことは、善を残す事に繋がる




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