救う者と救われるもの 第十四話
(奴にはルークの経験は受け付けられんだろうな・・・)
意識の中を行くほんの数瞬の間、ローレライはモースを振り返り説得には応じないだろうとジューダス達とは別に確信していた。
(モースは・・・預言の意味を履き違え、ダアトの自分には栄光の恩恵があると思ってしまっている。・・・嘆かわしい・・・)
預言が今尚伝わる真の意味、それが繁栄だとしか考えていない。ローレライはこれだけは伝えたくはないと思いながらも、決意をせざるを得ない事に心苦しさを感じていた。
「・・・な、何だ。今の映像は・・・?」
やはりというか、全てを見終わった後のモースの顔は困惑に満ちている。そこにローレライが現れる。
『見たか?モースよ。そなたが暴走するその様を』
「あれが・・・私?」
『そうだ。あれはそなたが預言を実現させようとしてアクゼリュスが崩落した後、紆余曲折の経過を経て預言にこだわり続けたが故だ』
「あれが・・・私の末路・・・預言の真の内容だと・・・?あんなものただのデタラメだ!預言が人類全滅を記した物だと!?私が死ぬだと!?嘘をつくな!ローレライだと!?このようなふざけた事を抜かすなど、貴様がローレライであるはずがない!」
眦が裂けんばかりに目を見開きローレライに信じるかと力の限り叫ぶモースに、やはりとローレライは嘆息する。そして意を決して心を鬼と化す。
『ならばモースよ。ユリアは何の為に預言を残したと思う?』
「決まっているであろう!我ら人類の繁栄だ!貴様がローレライだと言うならそのくらい知っているだろう!」
即座に返って来た罵声の意味合いが強いモースの言葉に、ルーク達と対峙させれば聞く耳など持たなかっただろうと判断したローレライは間違ってはいない。まともな説得では、というより預言を否定する限りモースとルーク達は永遠に分かり会えなかっただろうと伺える。
だがモースの怒りに比例するように、ローレライも口調が厳しくなってくる。
『ならば問おう。貴様は預言により失われた命をどう思っている?』
「そのような物、何故気にせねばならん!必要なのは預言により民衆を導く我々と、預言に選ばれた者達の繁栄だ!預言に詠まれているのならそれが繁栄への道、そのための犠牲になれればそれがそいつにとって幸福な事なのだ!」
『・・・貴様は、それでも本当にユリアの遺志を理解出来ている、というのか・・・?』
「・・・!?」
激しく尚語られる預言が第一と偏りの塊とも言えるモースの言葉に、腹の底から搾り出した深い深い怒りの静かに放たれるローレライの言葉。モースはがらりと雰囲気が変わったことで一気に言葉を止めて、恐怖に顔を歪ませ引きながら黙る。
『ユリアが・・・どれだけ・・・っ・・・預言を残す際に苦しんだのか・・・知らんからそのような事が軽々と言えるのだ!』
「なっ・・・!何を言う!ローレライではない貴様の言葉など信用出来る物か!ユリアは預言通りにすれば繁栄に違いないから預言を守って欲しいと祈っていた!それは今までの歴史が物語っておる!」
『そう思うなら・・・貴様にある物を見せてやる。これを見てまだ考えが変わらぬというなら・・・心底お前には救いが無くなる。・・・だから頼む、ルークの想いまでも無駄にしないでくれ・・・』
その怒りをぶつけて尚もローレライに激しく預言の意義を肯定でしか返さないモースに、ローレライは怒りから切実な嘆願口調になってモースをまた自らの光を持って間を空けずに包み込んだ。
(頼む、モースよ・・・想いを・・・ルーク達の願いを聞き届けてくれ・・・)
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意識の中を行くほんの数瞬の間、ローレライはモースを振り返り説得には応じないだろうとジューダス達とは別に確信していた。
(モースは・・・預言の意味を履き違え、ダアトの自分には栄光の恩恵があると思ってしまっている。・・・嘆かわしい・・・)
預言が今尚伝わる真の意味、それが繁栄だとしか考えていない。ローレライはこれだけは伝えたくはないと思いながらも、決意をせざるを得ない事に心苦しさを感じていた。
「・・・な、何だ。今の映像は・・・?」
やはりというか、全てを見終わった後のモースの顔は困惑に満ちている。そこにローレライが現れる。
『見たか?モースよ。そなたが暴走するその様を』
「あれが・・・私?」
『そうだ。あれはそなたが預言を実現させようとしてアクゼリュスが崩落した後、紆余曲折の経過を経て預言にこだわり続けたが故だ』
「あれが・・・私の末路・・・預言の真の内容だと・・・?あんなものただのデタラメだ!預言が人類全滅を記した物だと!?私が死ぬだと!?嘘をつくな!ローレライだと!?このようなふざけた事を抜かすなど、貴様がローレライであるはずがない!」
眦が裂けんばかりに目を見開きローレライに信じるかと力の限り叫ぶモースに、やはりとローレライは嘆息する。そして意を決して心を鬼と化す。
『ならばモースよ。ユリアは何の為に預言を残したと思う?』
「決まっているであろう!我ら人類の繁栄だ!貴様がローレライだと言うならそのくらい知っているだろう!」
即座に返って来た罵声の意味合いが強いモースの言葉に、ルーク達と対峙させれば聞く耳など持たなかっただろうと判断したローレライは間違ってはいない。まともな説得では、というより預言を否定する限りモースとルーク達は永遠に分かり会えなかっただろうと伺える。
だがモースの怒りに比例するように、ローレライも口調が厳しくなってくる。
『ならば問おう。貴様は預言により失われた命をどう思っている?』
「そのような物、何故気にせねばならん!必要なのは預言により民衆を導く我々と、預言に選ばれた者達の繁栄だ!預言に詠まれているのならそれが繁栄への道、そのための犠牲になれればそれがそいつにとって幸福な事なのだ!」
『・・・貴様は、それでも本当にユリアの遺志を理解出来ている、というのか・・・?』
「・・・!?」
激しく尚語られる預言が第一と偏りの塊とも言えるモースの言葉に、腹の底から搾り出した深い深い怒りの静かに放たれるローレライの言葉。モースはがらりと雰囲気が変わったことで一気に言葉を止めて、恐怖に顔を歪ませ引きながら黙る。
『ユリアが・・・どれだけ・・・っ・・・預言を残す際に苦しんだのか・・・知らんからそのような事が軽々と言えるのだ!』
「なっ・・・!何を言う!ローレライではない貴様の言葉など信用出来る物か!ユリアは預言通りにすれば繁栄に違いないから預言を守って欲しいと祈っていた!それは今までの歴史が物語っておる!」
『そう思うなら・・・貴様にある物を見せてやる。これを見てまだ考えが変わらぬというなら・・・心底お前には救いが無くなる。・・・だから頼む、ルークの想いまでも無駄にしないでくれ・・・』
その怒りをぶつけて尚もローレライに激しく預言の意義を肯定でしか返さないモースに、ローレライは怒りから切実な嘆願口調になってモースをまた自らの光を持って間を空けずに包み込んだ。
(頼む、モースよ・・・想いを・・・ルーク達の願いを聞き届けてくれ・・・)
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