救う者と救われるもの 第十四話
「・・・な・・・何をおっしゃるのですか!陛下!?預言を廃してマルクトと和平を結ぶなどと・・・!?正気ですか!?」
「私はいたって正常だ。そしてこれからのキムラスカの方針として、今の決意を変える気はない」
モースの錯乱に近い声に陛下は揺らがず真っすぐに返す。そして畳みかけて反論を許さないようにするためルーク達に視線を送る。
「ルーク、ローレライを呼び出してくれ」
「はい」
ローレライ、その単語にモースに続きそうだった貴族達の異論反論の声が途端にやむ。
「聞いただろ?出て来てくれ、ローレライ」
『わかっている』
指輪を見ながら喋るルークの呼び掛けにその指輪から声が聞こえてくる。ありえない現象に周りはビクッと驚いて、続けて指輪から現れた第七音素の光の固まりに更に立ち上がり驚愕を尚あらわにする。
「・・・そなたがローレライか。実際にその姿を見れるとは思わなかったな・・・」
『挨拶はいい。我がこの場に呼ばれたのはキムラスカ王の決断を後押ししたものを見せるためだ。大詠師、そしてキムラスカの臣達よ。そなたらにユリアが見た物・・・預言の全てを見せてやろう』
「ロ、ローレライ!?それは真なのですか!?」
常識を越えた幻の存在、ローレライ。更にはルークの呼び掛けに普通ではない登場の仕方。モースは疑うという事もなく、ローレライに喜色をフルに見せて問いただす。
『真だ。預言は今から見せる。皆、心せよ』
その言葉にいくつも固唾を飲む音が会議場に響き渡る。誰もが求めた預言の全貌、それを今知る事が出来る。陛下の預言否定の言葉を一時的に預言の魔力で忘れた一同はローレライの行動を待つ。
‘カッ’
途端、前触れもなくローレライからの光が会議場にいたルーク達を除く面々を包み込んだ。
「・・・ローレライ、僕の言った通りにしてくれたか?」
『あぁ、モースにはジューダスの言っていたようにしておいた』
「・・・どういう事だ、二人とも?」
全員が包み込まれた場にジューダスとローレライの内約らしい会話が響き、詳しい内容を知らない陛下が疑問の声をかける。
『我はジューダスに頼まれた。まずはモースの説得よりもキムラスカの臣達を説得するのが先、だから時間差でモースを光の中に残すようにしてほしいとな』
「・・・陛下も見られたでしょう、預言に狂い自らの望む繁栄への道だけが書かれていた譜石のみを求めて暴走するモースの末路を・・・」
「・・・うむ」
重々しく頷く陛下に、ルークも辛そうに目を伏せる。預言を求め、預言を信じ、預言に渇き第七音素を取り入れ暴走した怪物になったあの姿。あの姿になってまで預言の繁栄だけを望み、都合の悪い預言を信じない預言への絶対の偏信。
「大詠師は過去を、以前を見せて説得したとしても素直にはまず頷いてはくれないでしょう。故に私はキムラスカの臣下を説得した後、大詠師との対談に持ち込みたいのです。・・・それで、彼が私達の話を聞いてくればいいのですが・・・」
「ううむ・・・確かにモースの性格を鑑みれば頑なに事実を否定するであろうな・・・」
だからこそ懸念はモースにあった。預言を成就、それだけが生き甲斐のモースが都合の悪い映像といった物ははなから信じない可能性が高い。どんなに信憑性のあるものでもその異常とも言える預言への信心を考えたら、三人も対話での説得は難しいかと思い難しい表情になっていた。
「・・・陛下、もし大詠師が私達との対話を拒否された場合はバチカルに拘束してくださいませんか」
「・・・というよりそうするしかないとそなたも分かって言っているであろう。ルーク、そなたも分かっておるな?」
依頼ではなくもしもの場合の対応確認に陛下は覚悟していると返し、ルークにも確認を取るとコクンと首を振る。
モースは預言廃止の為の説得という意味で言えばヴァンより説得が難しい。三人はいざとなればモースを捕縛する決意を固めざるをえなかった。
ただ、ローレライだけはある別の決断を迫られるかもしれないと三人とは違う緊迫感を持って臣達が包まれた光を見ていた。
.
「私はいたって正常だ。そしてこれからのキムラスカの方針として、今の決意を変える気はない」
モースの錯乱に近い声に陛下は揺らがず真っすぐに返す。そして畳みかけて反論を許さないようにするためルーク達に視線を送る。
「ルーク、ローレライを呼び出してくれ」
「はい」
ローレライ、その単語にモースに続きそうだった貴族達の異論反論の声が途端にやむ。
「聞いただろ?出て来てくれ、ローレライ」
『わかっている』
指輪を見ながら喋るルークの呼び掛けにその指輪から声が聞こえてくる。ありえない現象に周りはビクッと驚いて、続けて指輪から現れた第七音素の光の固まりに更に立ち上がり驚愕を尚あらわにする。
「・・・そなたがローレライか。実際にその姿を見れるとは思わなかったな・・・」
『挨拶はいい。我がこの場に呼ばれたのはキムラスカ王の決断を後押ししたものを見せるためだ。大詠師、そしてキムラスカの臣達よ。そなたらにユリアが見た物・・・預言の全てを見せてやろう』
「ロ、ローレライ!?それは真なのですか!?」
常識を越えた幻の存在、ローレライ。更にはルークの呼び掛けに普通ではない登場の仕方。モースは疑うという事もなく、ローレライに喜色をフルに見せて問いただす。
『真だ。預言は今から見せる。皆、心せよ』
その言葉にいくつも固唾を飲む音が会議場に響き渡る。誰もが求めた預言の全貌、それを今知る事が出来る。陛下の預言否定の言葉を一時的に預言の魔力で忘れた一同はローレライの行動を待つ。
‘カッ’
途端、前触れもなくローレライからの光が会議場にいたルーク達を除く面々を包み込んだ。
「・・・ローレライ、僕の言った通りにしてくれたか?」
『あぁ、モースにはジューダスの言っていたようにしておいた』
「・・・どういう事だ、二人とも?」
全員が包み込まれた場にジューダスとローレライの内約らしい会話が響き、詳しい内容を知らない陛下が疑問の声をかける。
『我はジューダスに頼まれた。まずはモースの説得よりもキムラスカの臣達を説得するのが先、だから時間差でモースを光の中に残すようにしてほしいとな』
「・・・陛下も見られたでしょう、預言に狂い自らの望む繁栄への道だけが書かれていた譜石のみを求めて暴走するモースの末路を・・・」
「・・・うむ」
重々しく頷く陛下に、ルークも辛そうに目を伏せる。預言を求め、預言を信じ、預言に渇き第七音素を取り入れ暴走した怪物になったあの姿。あの姿になってまで預言の繁栄だけを望み、都合の悪い預言を信じない預言への絶対の偏信。
「大詠師は過去を、以前を見せて説得したとしても素直にはまず頷いてはくれないでしょう。故に私はキムラスカの臣下を説得した後、大詠師との対談に持ち込みたいのです。・・・それで、彼が私達の話を聞いてくればいいのですが・・・」
「ううむ・・・確かにモースの性格を鑑みれば頑なに事実を否定するであろうな・・・」
だからこそ懸念はモースにあった。預言を成就、それだけが生き甲斐のモースが都合の悪い映像といった物ははなから信じない可能性が高い。どんなに信憑性のあるものでもその異常とも言える預言への信心を考えたら、三人も対話での説得は難しいかと思い難しい表情になっていた。
「・・・陛下、もし大詠師が私達との対話を拒否された場合はバチカルに拘束してくださいませんか」
「・・・というよりそうするしかないとそなたも分かって言っているであろう。ルーク、そなたも分かっておるな?」
依頼ではなくもしもの場合の対応確認に陛下は覚悟していると返し、ルークにも確認を取るとコクンと首を振る。
モースは預言廃止の為の説得という意味で言えばヴァンより説得が難しい。三人はいざとなればモースを捕縛する決意を固めざるをえなかった。
ただ、ローレライだけはある別の決断を迫られるかもしれないと三人とは違う緊迫感を持って臣達が包まれた光を見ていた。
.