救う者と救われるもの 第十四話
・・・やはり陛下の言葉はすぐに主立った貴族、及びモースの耳にすぐ届く。陛下の召集に1時間足らずでバチカルの貴族達は会議場に続々と集まった。
続々と会議場に集まった皆が陛下の召集の意味は何なのかと近くにいる人物に話をしていると、最後にアルバインが陛下が座るであろう皆の視線を受ける最上座の横の席に座る。
「・・・うむ、皆。よくぞ集まってくれた」
扉が開き、陛下がモースやファブレ公爵を含む面々の前に姿を表した。
「陛下、もしや例の件で吉報が入られたから我々を集められたのですか?」
入室して席へと向かう陛下に、末席に座っていたモースが嬉々とした様子を隠しきれず立ち上がり陛下に問う。その顔に陛下は否定の声を出そうとしたが、段階を踏むべきだとグッとこらえる。
「いや、一つの報告とある決断を私がしたということを伝える為に皆をここへ集めた。モースよ、とりあえず座るのだ」
「・・・はっ」
違うのか、落胆の色を見せながら着席するその様子に陛下は少し前の自分を思い出しながら自らも席に座りおもむろに切り出す。
「さて、諸君を呼んだのは今モースに話した通りある報告と決断を諸君に伝える為だ」
陛下の決意が見える話し方、表情に貴族達が息を呑む。緊迫した場に陛下の言葉が続く。
「・・・まずは報告からさせてもらう。カイツールにいるアルマンダイン伯爵から報告の手紙が来た。手紙によればアクゼリュスを中心としたデオ峠を含む大地が崩落、いや・・・魔界に降下したとの事だ」
「「「「・・・は?」」」」
報告から始められた事実に一部を除き、陛下の言葉に呆気に取られる貴族達。だがそうなっていないのは・・・
「ヘ、陛下・・・何かの間違いでは・・・?」
「・・・公爵の言う通りです、アルマンダイン伯爵は何か勘違いなされてそうおっしゃっているのでは・・・?」
「・・・何を言う。現場にいないお前達がそう判断する理由がどこにあるというのだ?はっきりと答えてみよ、その訳を」
「「それは・・・!」」
信じたくない、その思いで公爵とモースは陛下に意見を述べる。預言の内容を知るはキムラスカに陛下と公爵のみ。大人数が預言を知ればマルクトに情報がどこかから知られるやも、そういった懸念があったからこそモースはキムラスカでも二人にだけしか預言を明かしていなかった。だから二人の動揺は周りから見れば、他とは違い浮足立った物であった。
「・・・で、ではルーク様はどこにおられるのですか!?そのような事態、もしやマルクトが仕掛けた物やもしれませぬ!ルーク様がその崩落に巻き込まれたのなら・・・!」
言い訳に悩んだのか、モースは苦肉の策を考えついたようにルークの存在を慌てて口にする。モースからすれば預言の要でもあるし、行動に意味があるのだから是非とも聞きたい所なのだろう。だがケセドニアにいるはずのルークを無理矢理マルクトにさらわれたように結び付けるのは悪あがきにも程がある。
「・・・そのルークなら先程帰還した。そこの兵士、別室に控えているルーク達を呼んで来てくれ」
「・・・え?」
陛下は預言を盾にそろそろ来るであろうモースに、今がルーク達を呼ぶべきだと兵士に呼んでくるように命じる。予想外だと戸惑いを見せて停止するモースに構わず、兵士は敬礼を返して部屋を退出していった。
そして再び開けられた会議場に入る扉、そこから入って来たルーク達は堂々と陛下の隣に位置をつける。二人の登場に公爵とモースが何か言いたそうにしていたが、先に陛下が口を開く。
「・・・私が諸君を集めた理由の一つは先程のアルマンダインの報告・・・そして次の理由の私の決断、それは」
「キムラスカはマルクトと和平を結び、預言を詠む事を廃止する。という事だ」
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続々と会議場に集まった皆が陛下の召集の意味は何なのかと近くにいる人物に話をしていると、最後にアルバインが陛下が座るであろう皆の視線を受ける最上座の横の席に座る。
「・・・うむ、皆。よくぞ集まってくれた」
扉が開き、陛下がモースやファブレ公爵を含む面々の前に姿を表した。
「陛下、もしや例の件で吉報が入られたから我々を集められたのですか?」
入室して席へと向かう陛下に、末席に座っていたモースが嬉々とした様子を隠しきれず立ち上がり陛下に問う。その顔に陛下は否定の声を出そうとしたが、段階を踏むべきだとグッとこらえる。
「いや、一つの報告とある決断を私がしたということを伝える為に皆をここへ集めた。モースよ、とりあえず座るのだ」
「・・・はっ」
違うのか、落胆の色を見せながら着席するその様子に陛下は少し前の自分を思い出しながら自らも席に座りおもむろに切り出す。
「さて、諸君を呼んだのは今モースに話した通りある報告と決断を諸君に伝える為だ」
陛下の決意が見える話し方、表情に貴族達が息を呑む。緊迫した場に陛下の言葉が続く。
「・・・まずは報告からさせてもらう。カイツールにいるアルマンダイン伯爵から報告の手紙が来た。手紙によればアクゼリュスを中心としたデオ峠を含む大地が崩落、いや・・・魔界に降下したとの事だ」
「「「「・・・は?」」」」
報告から始められた事実に一部を除き、陛下の言葉に呆気に取られる貴族達。だがそうなっていないのは・・・
「ヘ、陛下・・・何かの間違いでは・・・?」
「・・・公爵の言う通りです、アルマンダイン伯爵は何か勘違いなされてそうおっしゃっているのでは・・・?」
「・・・何を言う。現場にいないお前達がそう判断する理由がどこにあるというのだ?はっきりと答えてみよ、その訳を」
「「それは・・・!」」
信じたくない、その思いで公爵とモースは陛下に意見を述べる。預言の内容を知るはキムラスカに陛下と公爵のみ。大人数が預言を知ればマルクトに情報がどこかから知られるやも、そういった懸念があったからこそモースはキムラスカでも二人にだけしか預言を明かしていなかった。だから二人の動揺は周りから見れば、他とは違い浮足立った物であった。
「・・・で、ではルーク様はどこにおられるのですか!?そのような事態、もしやマルクトが仕掛けた物やもしれませぬ!ルーク様がその崩落に巻き込まれたのなら・・・!」
言い訳に悩んだのか、モースは苦肉の策を考えついたようにルークの存在を慌てて口にする。モースからすれば預言の要でもあるし、行動に意味があるのだから是非とも聞きたい所なのだろう。だがケセドニアにいるはずのルークを無理矢理マルクトにさらわれたように結び付けるのは悪あがきにも程がある。
「・・・そのルークなら先程帰還した。そこの兵士、別室に控えているルーク達を呼んで来てくれ」
「・・・え?」
陛下は預言を盾にそろそろ来るであろうモースに、今がルーク達を呼ぶべきだと兵士に呼んでくるように命じる。予想外だと戸惑いを見せて停止するモースに構わず、兵士は敬礼を返して部屋を退出していった。
そして再び開けられた会議場に入る扉、そこから入って来たルーク達は堂々と陛下の隣に位置をつける。二人の登場に公爵とモースが何か言いたそうにしていたが、先に陛下が口を開く。
「・・・私が諸君を集めた理由の一つは先程のアルマンダインの報告・・・そして次の理由の私の決断、それは」
「キムラスカはマルクトと和平を結び、預言を詠む事を廃止する。という事だ」
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