救う者と救われるもの 第十四話

バチカルに向かう・・・その決定とともにザオ砂漠をルーク達は越える。だがその間に、アクゼリュスはローレライの言っていた通りの事態に陥っていた。






「報告です、アルマンダイン伯爵!アクゼリュス付近の土地が今しがた魔界に姿を消したとの報告が入りました!」
「・・・っ・・・ついに魔界に落ちたか・・・」
カイツールの港に突然飛び込んで来た兵士のあまりよくない知らせに、アルマンダインは来るべき時が来たと顔を暗く下に向ける。だがそれもジューダスから聞かされていたのでアルマンダインは勢いよく頭をあげる。
「これからは出来る限り港と国境から来る人員の制限をする。アクゼリュスが落ちた事はいずれマルクト側から世界に広まるだろうが、それでもキムラスカ国内には出来るだけ情報が広まるのは遅らせたい。もちろん陛下にはこのことはお伝えはするが、陛下もこのことは公表しないように念は押す。国境には重用がない限りはこちらに人は通すなと伝えておいた。お前達は海岸線の見張りに行け。連絡船以外の不審な船なりなんなりがこの地に来た場合はすぐさまこちらに伝えろ。とりあえずは報告だけすればいい、手は出すな。それと魔界に落ちた土地の海側には既に船を配置してある。早くお前達も行って不審者に備えるんだ」
「はっ!」
スラスラと兵士に意を伝えるアルマンダインの言葉は淀みがない。だがそれもジューダスから託されたが故の意志だ。



世界にアクゼリュスが消えたと流れればそれは確実にヴァンの耳にも届く。そしてそれは六神将にも当て嵌まる。だが現状で言えば六神将含めヴァンはキムラスカにいるとアルマンダインの認識にある。もし六神将がマルクトからアクゼリュスの状況を確認しようとすればどうしようもないが、アルマンダインは出来るだけの事はしようとせめてキムラスカ側は情報をえれるように考えたのだ。



「やれる事は全てやらせていただきます・・・私も・・・」
ルークに未来の結末を見せられてからアルマンダインの意識にはルーク達と同じく、自分の手でやれることをやるという自立心が芽生えていた。そしてジューダスにより、主を滞りなく進ませたいという気遣いを学んだ。
この行為は無駄かもしれない、だがそれでもアルマンダインは些細な事でもやらずにはいられなかった。



目の前を通る兵士達がきびきびと港で動き回る様子を見ながら、アルマンダインはバチカルヘ向かっているであろうルーク達を思い、遠くバチカルの方角を見てゆっくりと目をつぶった。






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