救う者と救われるもの 第十四話

「・・・あっ、おかえり!」
「食糧は買えた、ですか?」
ケセドニアの街をキムラスカ側の出口から出て少しした平野、三人が来た事を確認するとルークとアリエッタはフレスベルグ達との触れ合いから視線をジューダス達に向ける。
「あぁ、そいつらも休養は取れたか?」
「大丈夫、です・・・この子達、ジューダスの気遣いが嬉しいって言ってます。・・・それに頑張るからっていうのも」
ギャアッと一つ鳴き、意志を伝えたフレスベルグが相当に機嫌をよくしてジューダスの元に近寄り、その足をフレスベルグは差し出す。
「そうか、なら伝えてくれ。ザオ遺跡まで行ってくれ、とな・・・」
「わかりました!」
アリエッタの通訳の言葉になんでもないといった様子で淡々と返しつつ、ジューダスは右手を差し出す前に左手でフレスベルグの体を優しくなぞるように撫でる。ささやかな謝意を込めたさりげないその仕草にアリエッタは些細な喜びを感じつつ、同じようにフレスベルグの手を取ったルーク達を見回し自らもフレスベルグに手を掴ませた。
「行くです!」
宣言されたアリエッタの出発進行の言葉に、フレスベルグ達はルーク達を連れて灼熱の砂漠へと飛び立って行った。














・・・そしてザオ遺跡、誰もいない無人の遺跡に妨害の手など入る余地もない。ルーク達はあっさりと扉を開け、セフィロトのパッセージリングの前へとたどり着いた。



「ここで四ヶ所目、順調だね。次はメジオラ高原か、ダアトってとこ?」
リングの操作を終え一息入れたルークを尻目に、シンクはジューダスに今後の針路方向を腕を組みながら話し掛ける。
『・・・どうやらそうも言ってられない事態になるかもしれんぞ』
「・・・え?」
するとその声に答えたのはジューダスではなく、ルークのはめてる指輪から姿を現わしたローレライであった。
「・・・どういう事なのさ、ローレライ?」
『アクゼリュスのセフィロトのパッセージリング表示を見てみろ』
ローレライの言葉を受け、皆が一斉に上を見上げる。そこにはある異変が書き加えられていた。
「え・・・あの暗くなってる場所以外にあの右上の場所・・・なんかシュレーの丘とかでルークが書いたのとは違う文字が書かれてる・・・そうだよね?」
『そうだ。あのパッセージリングはアクゼリュスのセフィロト。そしてあそこに新たに現れた書かれた文字は古代イスパニア文字で・・・リング限界、他のリングとの連結を絶つ。だ』
「つまり・・・後何日もしない内にはアクゼリュスは魔界に落ちるという事か。そしてその噂はすぐに全世界に広まる・・・」
『だからこそ、だ。ジューダス、次の目的地はバチカルで間違いないはずだ』
「・・・そうだな。ルーク、セフィロト巡りはバチカルで事を終えてからだ。それでいいな?」
「うん!勿論だ!」
ぐっと手を握り、ルークはジューダスの問い掛けに真顔で答えを返す。
「という訳だ。ここでの用事もすんだ、だから急ぐぞ」
「うん!行こう!」
「急ぐです!」
「ま、こんなところにいつまでもいるわけにはいかないしね」
ルークの決定も取れた事で今度は三人に確認を取る。そしてすぐさま帰って来た言葉は二人は元気よく、一人はやれやれといった彼ら特有の表情での同調。
「よし!じゃあ行こう!」
その一言に皆が首を縦に振る。そしてルークを先頭に一行はパッセージリングを後にしていった。






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