救う者と救われるもの 第十三話
「結論から先に言わせていただきます。我々・・・ここに今いるティアにガイ、アニスとナタリア王女と私は未来から戻って来たのです」
「・・・え?」
「・・・カーティス大佐、一体何を・・・」
「静かにしろ、ゼーゼマン。それに周りも。俺はジェイドの話を聞きたいんだ」
「・・・はっ」
ジェイドの発言に場がざわめき、ゼーゼマンが何事かと批難に近い声をあげる。だがゼーゼマンと周囲の声をピオニーは真剣な眼差しの一喝で黙らせる。
「悪かった・・・続けてくれ、ジェイド」
「お気遣いありがとうございます・・・私達は未来で共に行動していた仲間・・・聖なる焔の光、ルーク・フォン・ファブレを助ける為に過去に戻って来たのです」
「ルーク・フォン・ファブレ・・・」
「はい・・・未来で私達は滅びの預言を知り、どうにか預言を覆すべく行動を起こしていきました・・・その過程を話すのは今は省かせていただきますが、その中で様々な命が失われていき、彼は心を痛め・・・そして・・・彼はローレライの解放を終えた所で、彼自身の命も失われてしまう所でした。ですが絶命という状況を救ったのが解放されたローレライなのです。それでローレライは彼を過去・・・アクゼリュスが消滅する前に送り込みました。そのことを知った私達は彼が失われた命の為にも過去に戻ったという事で、手助けしたいと思いこの場に戻って来たのです」
「・・・だからアニス達はルークという人に会う事を目標としていたのですね・・・?」
「・・・黙っていてすみません、イオン様。このことはあまり大事にしたくはなかったので、戻った我々以外にそれを出来るだけ明らかにしたくはなかったのです」
実際イオンに事情を話せば、何故自分が一緒に戻って来ていないのかと質問されかねない。イオンとルークが浅からぬ関わりを持っていたという事を知れば尚更だ。多少そらとぼけた言い回しで、ルークとそんなに関わっていないとジェイドが言っているように聞こえるのは彼なりの気遣い故の事だ。
「いえ・・・そういう事なら仕方ないですから」
「ありがとうございます・・・それでアクゼリュスが崩落する事を以前の経験から知っている彼は内密に預言を実行させようとしている預言遵守派を欺いて、彼独自のやり方でアクゼリュスの住民を救出していったのです。その手続き、及び作業には我々は一切関わっていません」
「・・・だからお前は追い付く事が出来なかったから、和平を結ぶ為にグランコクマに戻って来た・・・そういう事か?」
「その通りです。我々の調べではインゴベルト陛下は彼に協力しています。それにこの親書は預言の事を自ら出して、マルクトに真の和平の意があると信じてもらおうとインゴベルト陛下は引き合いに出したのですよ。陛下は我々までもが戻って来たとはその時点では知らなかった、だから意に偽りはないと示す為にこの内容だったのです」
「お前達が最初から返答の試写だったら別の内容で和平の書簡は届けられていた、というのか?」
「はい。このように真意を明らかにした内容ではなく、和平に合意するという事を言うだけで我々の事を黙ったまま終わらせようとしたでしょう・・・ですが、陛下。今までの話を全て信じて下さるのですか?」
「お前は冗談は言うが、言いにくい事は出来るだけ言い出さないし、色々と腹に溜め込む奴だ。だが根も葉も無い言葉を真面目一徹に皮肉無しに口にするような奴じゃない。俺はそれを知ってる。それでいいだろう?」
「陛下・・・」
自らを信じてくれている皮肉混じりのピオニーの返答にジェイドは少し声のトーンを上げ、眼鏡を抑える。
「それに和平は実質成功したようなもんなんだ!失われた命もない、喜ばしい事だろ?なぁ、ゼーゼマン?」
「えっ!?・・・はっ、はいそうですね」
振り撒く笑みを辺りに見せ、ピオニーは本当に嬉しそうにゼーゼマンに玉座から身を乗り出してだろ?と同調を求める。ゼーゼマンは勢いに負け、あたふたしながら返した。
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「・・・え?」
「・・・カーティス大佐、一体何を・・・」
「静かにしろ、ゼーゼマン。それに周りも。俺はジェイドの話を聞きたいんだ」
「・・・はっ」
ジェイドの発言に場がざわめき、ゼーゼマンが何事かと批難に近い声をあげる。だがゼーゼマンと周囲の声をピオニーは真剣な眼差しの一喝で黙らせる。
「悪かった・・・続けてくれ、ジェイド」
「お気遣いありがとうございます・・・私達は未来で共に行動していた仲間・・・聖なる焔の光、ルーク・フォン・ファブレを助ける為に過去に戻って来たのです」
「ルーク・フォン・ファブレ・・・」
「はい・・・未来で私達は滅びの預言を知り、どうにか預言を覆すべく行動を起こしていきました・・・その過程を話すのは今は省かせていただきますが、その中で様々な命が失われていき、彼は心を痛め・・・そして・・・彼はローレライの解放を終えた所で、彼自身の命も失われてしまう所でした。ですが絶命という状況を救ったのが解放されたローレライなのです。それでローレライは彼を過去・・・アクゼリュスが消滅する前に送り込みました。そのことを知った私達は彼が失われた命の為にも過去に戻ったという事で、手助けしたいと思いこの場に戻って来たのです」
「・・・だからアニス達はルークという人に会う事を目標としていたのですね・・・?」
「・・・黙っていてすみません、イオン様。このことはあまり大事にしたくはなかったので、戻った我々以外にそれを出来るだけ明らかにしたくはなかったのです」
実際イオンに事情を話せば、何故自分が一緒に戻って来ていないのかと質問されかねない。イオンとルークが浅からぬ関わりを持っていたという事を知れば尚更だ。多少そらとぼけた言い回しで、ルークとそんなに関わっていないとジェイドが言っているように聞こえるのは彼なりの気遣い故の事だ。
「いえ・・・そういう事なら仕方ないですから」
「ありがとうございます・・・それでアクゼリュスが崩落する事を以前の経験から知っている彼は内密に預言を実行させようとしている預言遵守派を欺いて、彼独自のやり方でアクゼリュスの住民を救出していったのです。その手続き、及び作業には我々は一切関わっていません」
「・・・だからお前は追い付く事が出来なかったから、和平を結ぶ為にグランコクマに戻って来た・・・そういう事か?」
「その通りです。我々の調べではインゴベルト陛下は彼に協力しています。それにこの親書は預言の事を自ら出して、マルクトに真の和平の意があると信じてもらおうとインゴベルト陛下は引き合いに出したのですよ。陛下は我々までもが戻って来たとはその時点では知らなかった、だから意に偽りはないと示す為にこの内容だったのです」
「お前達が最初から返答の試写だったら別の内容で和平の書簡は届けられていた、というのか?」
「はい。このように真意を明らかにした内容ではなく、和平に合意するという事を言うだけで我々の事を黙ったまま終わらせようとしたでしょう・・・ですが、陛下。今までの話を全て信じて下さるのですか?」
「お前は冗談は言うが、言いにくい事は出来るだけ言い出さないし、色々と腹に溜め込む奴だ。だが根も葉も無い言葉を真面目一徹に皮肉無しに口にするような奴じゃない。俺はそれを知ってる。それでいいだろう?」
「陛下・・・」
自らを信じてくれている皮肉混じりのピオニーの返答にジェイドは少し声のトーンを上げ、眼鏡を抑える。
「それに和平は実質成功したようなもんなんだ!失われた命もない、喜ばしい事だろ?なぁ、ゼーゼマン?」
「えっ!?・・・はっ、はいそうですね」
振り撒く笑みを辺りに見せ、ピオニーは本当に嬉しそうにゼーゼマンに玉座から身を乗り出してだろ?と同調を求める。ゼーゼマンは勢いに負け、あたふたしながら返した。
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