救う者と救われるもの 第十三話

・・・リグレットが決定させたベルケンド行き、アッシュが迷っている事など知るよしもなくタルタロスがベルケンドへ向かうとその時にはジェイド達はテオルの森を越えてグランコクマに到着していた。





「・・・ふぅ、たどり着きましたね」
馬車から降りたジェイド達、グランコクマの地を踏み締めながらジェイドは一息つく。
「けど大佐、馬車を使ってグランコクマに来れるなんて思わなかったんですが・・・」
「まあ私達も急ぎですしね。それに私達に追っ手がかかっているというのもありませんし、馬車に乗っても構わないでしょう」
同じように馬車から出て来たティアが馬車でグランコクマに何事もなく無事に来れた事に、多少の戸惑いを隠せずにジェイドに声をかける。だがジェイドは普通に返す。



カイツールを越えて馬車を降りると、フーブラス川を歩きで抜けてからジェイド達はセントビナーに入ると再び馬車に乗り一路グランコクマへと一直線に向かって行った。



「・・・ジェイド、それではピオニー陛下の元へ向かいましょう」
二台あった馬車の中から最後にアニスのエスコートで馬車から出て来たイオンがジェイドに向かい合う。
「ええ、そうですね」
「・・・カーティス大佐。連絡は受けていましたが、戻られたのですね」
そこに銀髪の人柄が良さそうなジェイドと同じ青のマルクト軍服を身に纏った人物が何人かの兵士とともにイオン達の元へやってきた。
「・・・フリングス少将、迎えにこられたのですか?」
フリングスの顔を見て、ジェイドはいつもとおりに努めて顔を引き締めさせる。だがイオン以外の面々は気まずそうに顔を背ける。
それもそうだろう、ルークの腕の中で安らかに逝った場面を見た彼らからすれば痛ましい場面を思い出さずにはいられなかったのだから・・・



「ええ、セントビナーから届いた手紙からそろそろだろうと陛下から迎えに行ってこいと承りました」
だがフリングスはいたって周りの変化に気付かず、ジェイドに人柄の良い笑みを向ける。



手紙、それはジェイドがジューダス同様に先を見越した行動を取ろうとセントビナーからグランコクマのピオニーに宛てた物を出した。故にその手紙を元に、テオルの森を手続き無しに通り抜ける事が出来た。



「お気遣いありがとうございます」
「それではフリングス少将、ピオニー陛下の元まで案内していただけますでしょうか?」
「はい、それではこちらに・・・」
フリングスの先導を受けて、ジェイド達は気を取り直して顔を前に向けて宮殿へと歩きだす。






そしてすぐに宮殿へと着いたジェイド達、謁見の間に入る扉を前にすると一同は緊張を全員顔に表す。
「それでは・・・行きますよ」
フリングスの一言で、謁見の間の扉が開かれる。先頭にフリングスをつけたままジェイド達が謁見の間を歩いていくと、そこには変わらない天真爛漫と年に似合わない表現が似合うピオニーの姿が玉座にあった。



「おう!ご苦労だったな!ジェイド、それに導師!もう住民を救出してくれたなんてな!いつもながら早いな!お前の仕事は!」




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