救う者と救われるもの 第十三話
現在港に向かっている船、その中に乗っているのは・・・
「いよいよですね、大佐・・・」
「ええ・・・そうなりますね・・・」
港を目視出来る状態になり、ティアは表情を硬くし、ジェイドも彼にしては珍しく緊張しているかのように顔を俯かせる。
「いよいよルークに会えるんですわね・・・」
「待ってろよ・・・ルーク・・・」
「・・・あ~、もうなんだかどきどきしてきた~・・・」
ナタリア、ガイ、アニスも同様に表情が硬くなる。だが残りの一人は違った。
「やっぱり皆さんルークっていう人に会いたいんですね・・・」
アニスの横で考えるイオンの表情は五人を心配しているために暗い。
「大丈夫ですの、皆さん!絶対皆さんはあの人達に会えるですの!」
重くなりつつあった雰囲気を意識せずに覆そうと、ミュウが手をビシッと上げて六人を励ます。それを受けたジェイドは自然な笑みをこぼし、膝を屈めてミュウの頭をなでる。
「ありがとうございます、ミュウ」
ジェイドの礼の言葉と同時に皆雰囲気が先程までから嘘のように、笑みを浮かべミュウを囲む。
・・・ルークに会える、その想いを胸に五人はここまで来た。だがそれはここに来る前のバチカルで一つの問題を解決してからであった・・・
時はルーク、もといジューダスの思惑にジェイドが気付いた日の夜。ジェイドはナタリアを先頭に二人でインゴベルトの私室の中にいた。
「・・・このような夜更けに何用だ?ナタリアよ。しかも・・・連れて来ているのが死霊使いとは・・・」
ナタリアを無下にインゴベルトが扱えるはずもなく、夜中に何事かと尋ねようとすればジェイドが共に。何故少しさっきに来た時もジェイドを引き連れてだったのか?表面ではジェイドを快く思っていない顔を出し、インゴベルトはその辺りも含め疑問を口に出す。
「・・・お父様。単刀直入に言わせていただいてよろしいでしょうか?」
「・・・申してみよ?」
やけに神妙にナタリアがしているせいもあり、インゴベルトは多少毒気を抜かれ少し声のトーンを落とす。
「お父様はもうすでにルークに会い、それを秘密にしているのではありませんか?」
「・・・!な、なんだと・・・何を言い出すのだナタリア・・・?わしはそのような事は知らぬ・・・」
「嘘をつかないでくださいませ、お父様。預言のキムラスカの勝利も一時の物だとルークから聞かれたはずですのに・・・」
「・・・っ!」
本音を突かれ、それでも嘘を突き通そうとするインゴベルトの言葉に悲しそうに紡がれるナタリアの声。その内容はこの時は知らなかったはず、なのにナタリアは何故その一時の勝利とまでもヴァン以外知らなかった事実を今知っているのか?
その驚きが消えないインゴベルトを見て、ナタリアは表情を悲しみから一転させて首を傾げながらジェイドに振り向く。
「これでいいのですか?ジェイド」
「ええ、十分です」
ニッコリ笑顔でナタリアに返すジェイドを見て、ここでインゴベルトはある可能性に気付いた。
「・・・もしかしてナタリア達も・・・戻って来たのか・・・?」
やけに親密な顔を覗かせる二人に、思い浮かぶのは会話からしてそれだけ。間違いではないと信じつつ、インゴベルトは声を出して確認を取る。
「その通りですわ、お父様」
「・・・やはり・・・」
「ということは陛下はやはり協力しているのですね?彼に・・・いや、彼らに」
ジェイドの言葉に頷くインゴベルトの顔は動揺に彩られている。だがそれとは逆に、ナタリアは顔を綻ばせてインゴベルトに駆け寄る。
「お父様!お父様が事情を知っていて下さるなら話が早いですわ!私達のお話を聞いてはくださいませんか?」
「・・・わかった、聞こう」
過去に戻ってきた理由は大方ルークのため、表情からそう語っているナタリアを見たインゴベルトは了承を返した。
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「いよいよですね、大佐・・・」
「ええ・・・そうなりますね・・・」
港を目視出来る状態になり、ティアは表情を硬くし、ジェイドも彼にしては珍しく緊張しているかのように顔を俯かせる。
「いよいよルークに会えるんですわね・・・」
「待ってろよ・・・ルーク・・・」
「・・・あ~、もうなんだかどきどきしてきた~・・・」
ナタリア、ガイ、アニスも同様に表情が硬くなる。だが残りの一人は違った。
「やっぱり皆さんルークっていう人に会いたいんですね・・・」
アニスの横で考えるイオンの表情は五人を心配しているために暗い。
「大丈夫ですの、皆さん!絶対皆さんはあの人達に会えるですの!」
重くなりつつあった雰囲気を意識せずに覆そうと、ミュウが手をビシッと上げて六人を励ます。それを受けたジェイドは自然な笑みをこぼし、膝を屈めてミュウの頭をなでる。
「ありがとうございます、ミュウ」
ジェイドの礼の言葉と同時に皆雰囲気が先程までから嘘のように、笑みを浮かべミュウを囲む。
・・・ルークに会える、その想いを胸に五人はここまで来た。だがそれはここに来る前のバチカルで一つの問題を解決してからであった・・・
時はルーク、もといジューダスの思惑にジェイドが気付いた日の夜。ジェイドはナタリアを先頭に二人でインゴベルトの私室の中にいた。
「・・・このような夜更けに何用だ?ナタリアよ。しかも・・・連れて来ているのが死霊使いとは・・・」
ナタリアを無下にインゴベルトが扱えるはずもなく、夜中に何事かと尋ねようとすればジェイドが共に。何故少しさっきに来た時もジェイドを引き連れてだったのか?表面ではジェイドを快く思っていない顔を出し、インゴベルトはその辺りも含め疑問を口に出す。
「・・・お父様。単刀直入に言わせていただいてよろしいでしょうか?」
「・・・申してみよ?」
やけに神妙にナタリアがしているせいもあり、インゴベルトは多少毒気を抜かれ少し声のトーンを落とす。
「お父様はもうすでにルークに会い、それを秘密にしているのではありませんか?」
「・・・!な、なんだと・・・何を言い出すのだナタリア・・・?わしはそのような事は知らぬ・・・」
「嘘をつかないでくださいませ、お父様。預言のキムラスカの勝利も一時の物だとルークから聞かれたはずですのに・・・」
「・・・っ!」
本音を突かれ、それでも嘘を突き通そうとするインゴベルトの言葉に悲しそうに紡がれるナタリアの声。その内容はこの時は知らなかったはず、なのにナタリアは何故その一時の勝利とまでもヴァン以外知らなかった事実を今知っているのか?
その驚きが消えないインゴベルトを見て、ナタリアは表情を悲しみから一転させて首を傾げながらジェイドに振り向く。
「これでいいのですか?ジェイド」
「ええ、十分です」
ニッコリ笑顔でナタリアに返すジェイドを見て、ここでインゴベルトはある可能性に気付いた。
「・・・もしかしてナタリア達も・・・戻って来たのか・・・?」
やけに親密な顔を覗かせる二人に、思い浮かぶのは会話からしてそれだけ。間違いではないと信じつつ、インゴベルトは声を出して確認を取る。
「その通りですわ、お父様」
「・・・やはり・・・」
「ということは陛下はやはり協力しているのですね?彼に・・・いや、彼らに」
ジェイドの言葉に頷くインゴベルトの顔は動揺に彩られている。だがそれとは逆に、ナタリアは顔を綻ばせてインゴベルトに駆け寄る。
「お父様!お父様が事情を知っていて下さるなら話が早いですわ!私達のお話を聞いてはくださいませんか?」
「・・・わかった、聞こう」
過去に戻ってきた理由は大方ルークのため、表情からそう語っているナタリアを見たインゴベルトは了承を返した。
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