救う者と救われるもの 第十二話

その後フローリアンに連れられたルークにジューダス達は追い付き、デオ峠の方へと歩いて行った。





しばらくルーク達が歩いていると、アリエッタがアクゼリュスの方を振り向く。それに四人も一斉に振り向くと、フレスベルグが人数分こちらに飛んできた。
「うわぁ!来た来た!」
アハハッとルークの肩に手をかけながらフローリアンはフレスベルグの来訪に跳びはねて喜ぶ。
「今はしゃぐのはいいけど、捕まってる間は抑えててよね。フレスベルグがそれで手を離していきなり空から落ちたなんて事態になったらこっちも助けようがないんだからね?」
「はーい!」
元気にシンクの声に返事をしながらフローリアンはフレスベルグに近付いていく。
「・・・むぅ」
「心配するな、子供は目上の人間の言うことは聞くものだ」
だが元気過ぎて自分の言葉を聞き流しているようなフローリアンに、シンクは若干首を傾げそれをジューダスがフォローする。
「行くぞ。不安なのはわかるがあいつらに捕まって行かねば話にならんからな」
「・・・わかったよ」
その様はまるで弟を心配する兄のよう、不安を隠しきれていないシンクの目はフローリアンに向いたままフレスベルグへとジューダスと肩を並べ歩いていった。






そんなシンクのフローリアンへの不安をよそに、フレスベルグはルーク達を連れて徒歩より早いスピードでカイツール軍港に無事にたどり着いた。



そしてフレスベルグから降り、港の中へ入っていくと何やら兵士達に指示を出しているアルマンダインをすぐに発見する。
「アルマンダイン伯爵!!」
「ルーク様!ご無事で・・・六神将!?」
その姿を見たルークが声をかけ、アルマンダインは振り返りながら対応しようとするがアリエッタとシンクの二人を見て笑顔から驚愕に変わる。
「どうされたのですか!?ルーク様!」
「落ち着いて下さい!アルマンダイン伯爵!とりあえず基地の中で話しますから!」
「は、はい・・・わかりました・・・」
なだめに入ったルークの必死な声にアルマンダインは戸惑いながら頭を軽く下げる。
「ではこちらへ・・・」
アルマンダインが先頭を歩き、基地の中へと入っていく。そして全員が基地の中に入ると、今までの経緯をルークが説明しだした。







「・・・成程・・・そのような事があったからこの三人はルーク様達と行動を共にしておられるのですね・・・」
「はい・・・で、それでお願いなんですが和平の手続きもあるんですが陛下へ出す手紙もお願いします」
「わかっております。ルーク様はすぐにセフィロトへとお向かい下さい。和平とヴァン謡将を抑える手紙は私にお任せを」
「ありがとうございます・・・じゃあ、行こう」
ルークの呼び掛けに四人はコクりと四人ともに頷く。ルークを先頭に基地を出ていく姿を見送ったアルマンダインはおもむろに置いてあった紙とペンを手に取り、サラサラと文字を紙に書き起こしていく。



「・・・よし、これでいい」
手紙を封に包み、家門の印を押してアルマンダインは満足げな顔になる。その顔のままアルマンダインが外に出て近くにいた兵士に手紙を渡す。
「これを急いでバチカルまで飛ばしてくれ」
「はっ!」
兵士が急いでその場を離れていくのを見て、アルマンダインは難しい表情になる。
「後はマルクトに書簡を届けなければいけないのだがな・・・」
はぁ、と溜息をはく。今この和平の条件を満たした今、マルクトへの和平の条件は満たした。だが、マルクトの代表になっているジェイドがいない。ジェイドがマルクトに行けない以上、位の高い身分の人間を寄越さねば失礼にあたる。それを考えれば自分だけしか適任がいないが、今この場から離れる訳にもいかない。失礼を承知で下っ端を送るか、自らの役割だと自ら行くか?アルマンダインは二つの考えで板挟みになっていた。






だが、そんなアルマンダインの考えを察知したかのように港にある人物達を乗せた船が到着した。





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