救う者と救われるもの 第十二話

そしてすぐにセフィロトの前に来たルーク達、ついて間を空けずにルークは制御板の前に立つ。



「・・・制御板に打ち込むのはリングに限界が来たら連結を自動で絶つ、でいいのか?」
どうすればいいかと、制御板に向かい合っていたルークは難しい顔でジューダスに振り向きながら問う。
「ああ、細かく条件を入力してもそれが枷になるかもしれん。必要以上の情報は書き込まなくていい」
「・・・わかった・・・えっと・・・これ・・・でよしと」
入力が終わったルークは制御板から離れ、ジューダス達の元へ戻る。
「じゃあ戻ろう」
「ああ」
「どこに戻る、ですか?」
「とりあえずカイツールの港だ。しばらく徒歩になるが、いいか?」
アリエッタの疑問にジューダスは簡潔に答える。だがアリエッタは眉を寄せてまた疑問の声をあげる。
「アリエッタのお友達呼べばいいんじゃない、ですか?」
「えっ・・・?」
「・・・今ここには僕たち五人を連れていける程の数は来ていないんじゃないのか?アリエッタ」
ジューダスも意外だと、アリエッタに言外に返す。アクゼリュスに来た時は確実にアリエッタとシンクの二人分のフレスベルグしかいなかったはずでいて、近くに都合よくアリエッタの仲間が数を揃えてくるはずがなく呼べるはずがないとジューダスは思っていた。
「大丈夫、です。あの子達に頼めばルーク達の為のお友達も連れて来れる、です」
「あの子達が?・・・あぁ、ここに来た時に掴まって来たフレスベルグか」
「はい、あの子達も近くにいます。ここから出ればあの子達に頼む事、出来ます」
「・・・うん、わかった。とりあえずここから出よう」
ルークはシンクとフローリアンをどう?と見ると二人もコクりと頷く。そうと決まったルーク達はセフィロトを後にしていった。






坑道から出ると、アリエッタは立ち止まり右手を上げる。するとジューダスの前にも姿を現したフレスベルグ二匹がどこからともなく現れて来た。
そして何やらアリエッタがフレスベルグ達との話し合いを始める。
ルーク達が黙ってそれを見ていると、一分もしない内に話が終わるとフレスベルグはまたどこかへと飛び立っていった。
「すぐに連れて来てくれるって、そう言ってきてくれました。しばらくしたら、すぐに来てくれるそうですから、先に進む、です」
会話を終えたアリエッタの言葉に、フローリアン以外の三人は頷く。フローリアンは目を輝かせてアリエッタをキラキラと見つめている。
「すごい!すごいよ!アリエッタ!あれがアリエッタのお友達なの!?」
衝動を我慢出来なかったのだろう、フレスベルグの存在に興奮覚めやらぬといった感じでフローリアンはアリエッタの肩を掴み輝かしい笑みを浮かべてはしゃいでいる。
「は、はい。そうです」
「うわぁ・・・すごいよ!アリエッタ!」
「・・・はいはい、はしゃぐんじゃない。今からまた少ししたらあいつらまた来るんだからその時にはしゃぎな」
イオンの表情にはない幼さにアリエッタは戸惑いを見せ、シンクが仕方ないと言わんばかりにフローリアンをなだめに入る。
「わかったよ!シンク!ほら!早く行こっ!ルーク!」
「へっ?・・・おわっ!?」
フローリアンは元気よく楽しみだというのがわかるようにルークの手を引っ張り、勢いよく走りだす。いきなり手を掴まれたルークは反応しきれず体勢を崩したが、すぐに持ち直すとフローリアンの手に引かれて勢いを殺さないように一緒に走っていった。
「・・・子供だね」
「・・・子供、です」
二人は意見を一致させ、同時に声を出す。
「・・・それよりルーク達の後を追うぞ。ルーク達だけ先に行かせてもフレスベルグ達とは仲良くなれんだろう」
「あっ、はい。そうする、です」
ジューダスの言葉には、アリエッタがいなければ駄目だろうという響きがこもっている。アリエッタもそれを理解し、早く行こうとしていたジューダスの後をシンクと一緒に追って行った。






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