救う者と救われるもの 第十二話

そしてパッセージリング前、二人の異変をすぐにでも察知しようとルークが様子を見ていると、二人から光が急速に離れて行きローレライの元へと戻る。
「ルーク!急いでジューダスの所に行くです!」
「え!?」
意識が戻った瞬間アリエッタがルークの手を取り、走りだす。
「どうしたんだアリエッタ!?」
『まずいことになっている、ジューダスの元にアリエッタ以外の六神将が来ているかもしれんのだ』
「なんだって!?」
ただ事ではない様子にルークが足を止めずに疑問を走りながら聞くと、ローレライが並走する形でルークに答える。
『我はとりあえずその指輪と同化する。この我がルーク達について行く様子を見られたらなんだと嫌疑をかけらねかねん。最悪ジューダスの元にいる人物にそれを見られ、逃げられでもしたら目も当てられんからな』
「わかった!」
元気よくルークが返事を返すと、ローレライは左手の指輪に自らの身を収縮させて包み込むように指輪に入り込む。
「ねぇ、ルーク。そのジューダスって人、仲間なの?」
ローレライが指輪に収まりきると同時に後ろからフローリアンの声がかかる。
「・・・仲間ってジューダスが思ってくれているかどうかはわからない。けど、俺はジューダスの事を仲間だって思ってる」
考え込みながら喋るルークの様子は明るくはない。
「いっぱいジューダスは俺の為に考えてくれた。けど、それに対して俺はジューダスにやってあげれてる事は少ないから・・・ジューダスが俺の事を仲間って思ってるかどうか・・・」
助けられてはいる、だが自分はジューダスを助けていないのではないか?不安な心情をルークの声から聞いたアリエッタはルークの手をギュッと握る。
「大丈夫です。ジューダス、ルークの事仲間だと思ってる、です。ジューダス、優しいからルークの為にあそこに残りました。ジューダス、優しい人。だからアリエッタもジューダスの事、仲間だと思ってます」
後ろを向きながらアリエッタはルークにはにかみながら微笑む。彼女なりの気遣いと本音が混ざった言葉に、ルークは自然と微笑みを返す。
「ありがとう、アリエッタ」
懸念を吹き飛ばしてくれる答えをアリエッタは自分にくれた、ルークは意識せずに感謝の言葉を零した。
「じゃあ行こう、ルーク。早くジューダスって人助けに行かないと」
「ああ!」
フローリアンの言葉に三人は走る速度を早め、扉の前へ急いで行く。











「・・・てこずらせないでくれる?」
「通せん坊をしている奴が素直に道を通すはずもないだろう。てこずらせるのは当然の行為だ」
一方二人の争いは熾烈を極めていた。
「ハッ!」
「・・・ッハァッ!」
「・・・チィッ!」
片方が攻撃をすればそれを避け、片方が反撃をすればまたそれを避ける。その展開は武器こそ違えど、素早さを身上としたヒット&アウェーのダメージを避ける戦い方をする二人からすれば必然であった。
今も二人を見れば大怪我といった類いの怪我は見られず、かすり傷すら見て取れない程だ。しかし、それも二人の力量の差が無いに等しいが故だ。シンクが勝っているという点を挙げるならば身体能力からくる純粋な戦闘能力、ジューダスが勝っている点は大小問わずにシンクよりも色んな戦闘経験を重ねているという熟練さ。だが勝っているという点を挙げてもそれにも大きな差はない。それらを考え計算すれば+-0、故に二人の戦いは拮抗という形で膠着していた。







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