救う者と救われるもの 第十一話

勢いよく上ってくる第七音素の奔流、徐々にその光が収まっていくと最後に特大の第七音素の集まりが姿を表した。



『ルーク・・・よくぞ我を解放してくれた・・・』
「ローレライ・・・」
『フローリアンも今この地にて元に戻す』
するとルークの隣に人一人程の光が発生しだす。そして徐々に光が消えていくとそこにはフローリアンの姿があった。
「フローリアン!」
それを見てルークはフローリアンに勢いよく抱き着く。
「よかった・・・よかった・・・」
嬉しく、悲しく。ルークの声にはフローリアンを想う気持ちが現れている。
「え・・・お兄ちゃん・・・誰・・・?ここ・・・何処なの・・・?」
だがフローリアンは一向に状況を理解出来ずにうつろいながら戸惑いの声をルークの顔の横であげる。
「それに・・・僕・・・火山に落とされたんだんじゃないの・・・?あんなところから落ちたから僕、死んだんじゃないの?」
「え・・・?」
フローリアンの言葉にルークは何を言っているのかわからず、フローリアンを離して正面に見据える。
『・・・フローリアンを我が発見した時、フローリアンは仮死状態であった』
ルークの表情を見たローレライが説明に入る。
「え・・・?どういう事なんだ?」
『恐らくではあるがフローリアンは火山に落ちた時に自らが死ぬと思い、死の事実からの逃避の自己防衛のために意識を完全にシャットダウンしたのだろう。だが火山に落ちたと思った先は地核だった。だがそれで幸運だったのはそれだけではなく、仮死状態というのはフローリアンに命の維持の為の食事という行為が必要無くなっていた。つまり仮死状態にフローリアンがなっていなければ餓死していたというのが確実だったという事だ』
「・・・っ!」
ローレライの言葉にルークは息を呑む。
『事情を全く理解出来ないのも当然だろう、フローリアンはたった今目覚めたばかりだ・・・火山から落ちた時からな』
「そんな・・・」
悲惨な事実、そうルークは思うことしか出来ず愕然とする。もしかして前も目覚めた時、そうだったのだろうか?
「・・・お兄ちゃん、あの白い服を着た人達とは違うの?僕にひどいことしないの?」
怯えながらも、フローリアンはルークに何か期待の目をよせる。純粋な子供の目はルークを今までとは違う人間だと思っている。
「・・・ああ、俺はフローリアンにひどいことなんかしない」
「・・・フローリアン?それが僕の名前なの?」
「ああ、そうだ。だから・・・行こう、フローリアン。もうフローリアンは苦しむ必要はないんだ」
ルークはそっと笑顔で手を差し延べる。
「・・・うん!お兄ちゃん!」
フローリアンは一瞬どうするかと迷っていたが、すぐにルークの手を両手で取り満面の笑みを見せて付いていくと答えた。
「なんかお兄ちゃんって呼ばれるのも変な感じがするから俺の事はルークって呼んでくれないか?」
「うん!ルーク!」
嬉しそうに答えるフローリアンを見て表情を綻ばせるルーク。



だが、その喜びはすぐに消えた。



「イ、イオン様・・・!?」
戸惑いがちの声は自分が入って来た入口から響いてきた。ルークが声に反応して入口を見ると、そこには・・・
「アリエッタ!?」










終末の終わりを告げるには其に相応しき試練が待つ



焔と裏切る者に立ちはだかるは最悪を越える最高を作る為に避けては通れない試練である・・・




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