救う者と救われるもの 第十一話

「フローリアンを助けて欲しいんだ・・・」
そのルークの痛ましい言葉にローレライはその存在を思い出す。
「あの時はヴァン師匠が地核から引き上げて来たけど・・・このままローレライが地核から出るとフローリアン、地核に残されたままになってしまうじゃないのか?」
『・・・確かにこのまま放っておけばそうなるな』
「なあ、ローレライ・・・フローリアンを助けて欲しいんだ。頼む・・・」
頭を下げるルークの必死さはローレライにもよく伝わってくる。
『わかった、前もヴァンがやったことだ。我にも出来るだろう。ただ、少し待て。ルークがセフィロトの操作を終えるまでにはフローリアンを上に戻せるようにする』
「・・・わかった!」
ローレライからの返しに、ルークは嬉しそうに返す。するとルークの体にまた指輪からの光が全身を包み込んできた。






「・・・ハッ!」
パッと目が覚めるようにルークが目を開け、パッセージリングの前に戻って来たのだと自覚する。
「早くリングを操作しないと・・・」
すぐさまルークは操作板の前に陣取る。既に操作板の操作のためのユリア式封呪は解除され、起動状態になっている。先程の光で解除されたようだ。
「えっと・・・こうやって操作するの初めてだからどうすれば・・・」
超振動での操作じゃなく、操作板をまともに使ってのリング操作。勢いで操作板についてしまったが、やはり超振動で操作した方がいいかもしれない。そうルークが思っていると、またもや指輪から発行しだす。
「・・・あっ、使い方が分かる・・・」
光が出てきた瞬間、頭にマニュアルらしき物が浮かんできた。
「・・・これでセフィロトの操作は俺にしか出来ないようになったな・・・」
ジューダスのセフィロトでの目論見はルーク以外に操作板を操作出来ないように設定するというもの、これでヴァンにはアッシュを連れてくる以外にパッセージリングの操作が出来ない事になった。現在開いているセフィロトはこのアクゼリュス以外にない。シュレーの丘のセフィロトは扉は開けられていないし、ザオ遺跡のセフィロトが開けられていたとしてもヴァンには操作のしようがない。現在ヴァンはバチカルで牢に繋がれているのだから。
「・・・あ」
するとルークは周りに第七音素の光の集まりが出てきた。何事かと思ってその現象を見ていると、第七音素の光は一つに集まり徐々に形どられていく。



「ローレライの鍵・・・ってことはフローリアンが見つかった・・・うっ!」
ローレライの鍵が目の前に現れ、それを手に取り嬉しそうに顔を綻ばせると途端にルークの顔が苦痛に歪む。
『見つかったぞルーク』
「あ・・・うん、ありがとう・・・ローレライ・・・」
苦痛に顔を歪めながらも、ルークはローレライに礼を返す。
『フローリアンは我の解放とともにそこに連れていく。早く我を解放してほしい』
「うん・・・わかった・・・」
ルークが苦しみながらも返事を返すと、ローレライは通信を切る。頭痛が無くなったルークは体勢を立て直すとすぐさまローレライの鍵を高々と上げ、宣言する。
「・・・地核から出てこい!ローレライ!」
そのままの勢いで鍵を地に突き刺す。すると、地核から急激に大量の第七音素の光が立ち上ってきた。





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