救う者と救われるもの 第十一話

「早くジューダスの言ってた事を試さないと・・・!」
セフィロトの前のユリア式封呪の前に急いで駆けるルーク。
「じゃないとジューダスが危ない・・・!」
相手は六神将かもしれない、そうなればジューダスの身に危険が!・・・そう思っているルークの顔には焦りがうつっていた。



「よし、早く・・・!」
ユリア式封呪を解いてセフィロトツリーを操作する、ローレライからもらった指輪の熱が意味するのはセフィロトの封呪の解除が指輪の力で出来るという事。ジューダスはそう仮定づけ、ルークはそれに従いセフィロト内部へと入り込んだ。そして今制御板の前に立ったルークは急いで封呪を解除しようと、指輪に願をかけて念を込める。



だが、少しして指輪から発せられたのはユリア式封呪が解けたと思われる合図ではなかった。



‘キィィィン’
「えっ!?」
少しして突如指輪が光りだし、それが指輪からの解除の証かとルークは思った。だが指輪からの光は一向に収まる事はなく、まばゆさをより一層増していく。
「な、なんなんだ!?」
まばゆさに目を細めながらも意味が分からない指輪の暴走を見続けるルーク、すると唐突に光がルークを包み込んだ。









「こ、ここはあの時の・・・」
光に包み込まれたルークがまばゆさに目をつむり、目を開けるとそこはかつてラジエイトゲートで経験した星の記憶を見た場所だった。
「どーなってるんだ・・・?」
いきなりの異常な情景にルークは戸惑うしか出来ない。するとまた指輪が唐突に光りだした。
「・・・今度はなんなんだ・・・」
呆然としながらまた自らの意志を離れてなにかを起こす指輪に、ルークは不安な顔つきで呟く。



やがて指輪が光を納め、何もない空間に戻ったかとルークが思った瞬間、それは起きた。



‘カッ!’
「うっ!こ、今度は・・・?・・・えっ・・・嘘だろ・・・」
また現れた別の光に今度は何事なのかと目を細め、ゆっくり大きく目を開けていくと信じられない光景がルークの前に広がっていた。



「ロ、ローレライ・・・なのか・・・?」



今自分の目がおかしくなければ確実にあのローレライが目の前に来ている、ルークは混乱の極みに達し自分の目を疑うばかりであった。
『・・・いかにも・・・我がローレライだ。・・・お前はルーク、か?何故・・・』
その自信のないルークの呟きにローレライはそうだと答える。だが、ローレライも事情を把握しきれていないのかやたらに疑問的に発する声が強い。
『・・・我を呼ぶ我の声が聞こえたから声に導かれて来てはみたが・・・どういう事だ?』
自分を呼ぶ自分の声、奇妙な言い回しのローレライからは戸惑いが強く嘘を言っているようには感じられない。ならばとルークが理由を考えると、答えは一つに行き着いた。
「もしかしてさっきの光はローレライを呼び寄せるためだったのか・・・?ローレライ・・・」
『・・・我が我を呼ぶ?どういう事だ?』
「あ・・・えーと、この指輪、ローレライからもらった物で多分この状況もローレライが・・・じゃなくて!」
大分自らの範疇外の出来事なだけあって、ルークは自分の導き出した結論を自分の中に納めきるだけで精一杯だった。そんないっぱいいっぱいな現状のルークは言葉にすることを得意としていないため、またもやどう言えばいいかと頭を抱える。
『指輪・・・確かにその指輪から我の力を感じる。ルーク、その指輪を調べてもよいか?』
「へ?あ、うん・・・」
指輪と聞き、ローレライが興味を示す。ルークは下手に説明するよりも、指輪から事情を把握してもらった方がいいと返事を返し、近づいて来たローレライに左手をかざした。




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