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「…あっ」
唇がそっと離れたときキルリアの身体が光だす。この光には見覚えがある。
キルリアは進化する。
カズキは手で光を遮りながら目を閉じ光が消えるのを待つ。まばゆい光は部屋を包み込む。
少しだけ、足にかかる重さが増えた気がする。そう思ったと同時に光は弱まって緑色の髪は変わらずサラッと揺れた。
背が伸び髪はボブっぽく短くなり、雰囲気はだいぶ大人っぽくなっていた。
キルリアはサーナイトへと進化した。
「マスター…。」
『また、綺麗になったね、サーナイト…』
進化をしてもなお愛らしさは変わらず口付けをする。サーナイトは進化したことで背丈が高くなり足の上に座っていると目線がほぼほぼ同じになった。
ロング丈のスカートの合間から見える脚はキルリアの時よりもそそるものがあった。
すっとサーナイトは立ち上がって進化した自分をくるくる回りながら見ていた。
その様子を愛おしそうに見つめる。ある程度くるくる回って満足したのかカズキの目の前に座るサーナイト。
子供っぽさが抜けなかったキルリアのときには無かった色っぽさが急激に出ていて急にドキドキし始めた。
「マスター…どうしました?」
『ん?…ううん、なんでもないよ見惚れてたかも。母さん達にも見せてこようか』
「はいっ」
ニッコリ笑うサーナイトはキルリアの面影を思い出させる。手を繋いで歩くと身長差はあまり無くなっていた。
階段を降りてリビングに入る。庭の方で物音がする、おそらく母親が洗濯物を干しているのだろう。窓に手をかけてカラカラと開ける。
窓が開いた音に母親が振り返って少し驚いた。おそらくサーナイトに気付いたのだろう。
「あらあら、また可愛くなって」
「サナッ!」
「まぁ、サーナイト!キルリアの時のまんまの明るさね」
サーナイトが母親に抱きついてはしゃいでいる。進化した姿をよほど見てほしかったのだろう。
母親も喜んでサーナイトの頭を撫でている。
その後はサーナイトも洗濯物を干すのを母親の隣で手伝いながら3人でゆったり時間を過ごしていた。
これからは背が高くなったり力がついたりでたくさん手伝いができそう、とサーナイトはすごく喜んでいた。
過去の僕と、彼女(6)
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